第32話 現場に居合わせた推理作家がずっと上から目線で犯行を評価しててウザすぎた
よく分からないんですけど、小説家は自分の作品が評価されないと頭おかしくなるらしいです。ちょっと前に出くわした小説家もやばい奴でした。
皆さんも小説読んだらちゃんと評価が形になるようにした方がいいですよ。じゃないとモンスターを生み出すことになりますからね、よく知らないですけど。
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花で飾られた死体がうちの近所の公園に現れたんで見に行ったんですよ。ちょうど花見の時期だったんでね。
「あー、花がしおれてるなぁー。綺麗じゃないよねー、これぇ」
なんか難癖つけてる声がするんです。警察と一緒にみすぼらしい男がいるんです。刑事が「ホントですねー、さすが先生」とか刑事がゴマすってて空気感終わってるんです。
話聞いてると、このみすぼらしい男、推理作家らしいんですよ。あれです、推理作家が探偵ってパターンです。よく知らないですけど、推理作家って事件作る側だから犯人の方が向いてそうですよね。
「現場も微妙に人目につかない所だし、難易度低いからこの事件大したことないよねぇ。マイナスポイントだねぇ」
なんか勝手に事件評価して勝手に採点してんです。こういう奴いますよね。私も旅先のお土産あげたら点数つけられたことありますよ。饅頭握りつぶしそうになりましたからね。
「あと、不可能殺人じゃないってもテンション上がんないんだよなぁー。ショボい事件だとオレはやる気出ないよぉ」
「そこをなんとかお願いしますよ、先生〜」
こんなアホさっさと切って他の探偵連れて来ればいいのに。探偵なんて腐るほどいますからね。っていうか、警察が探偵頼ってんじゃないよ。集まってきた野次馬もせっかくの殺人なのに顔引きつってんです。
「それに、人殺すなんてのは最低なことだからねぇ」
急に常識的なこと言い出したんですけど、それじゃ埋まらないくらい文句言ってましたよね。
※ ※ ※
もう面白いことなさそうだし帰ろうかなってタイミングで作家探偵がiPad出して刑事に何か見せようとするんです。
「こんな事件より、こっちの殺人事件なんてどうかなぁ? ポイント高い事件だよぉ」
こっちのカラーの方がおすすめですよ〜みたいに別の事件おすすめしてんです。アパレル店員じゃないんだから。アパレル店員もホントに似合うと思ってすすめてきてないからね、あれ。
「な、なんですか、これは! しかも、不知火先生じゃないですか!」
刑事がiPadの写真見てめちゃくちゃびっくりしてんです。警察も関知してない事件持ってきてんですよ、この作家探偵。どうやら死んだのは有名な小説家らしいです。
「これ、現場の状況からして不可能殺人だし、小説の内容を取り入れて装飾してあるから、こっちの事件よりポイント高いよ〜」
「は、はぁ……。さ、さすがお目が高いですね〜」
もう刑事も困ってんです。でも、作家探偵の押しが強くて断りきれてないの。訪問販売に弱いタイプですよ、あの刑事。なんで持ち寄った事件担当しようとしてんのか分かんなかったんですけど、作家探偵がベタ褒めしてんです、その事件を。
「すごくエレガントな死体でしょ〜? しかも、これ、オレにちゃんとアリバイあるからね〜」
とか自慢し始めたんですけど、じゃあこいつ犯人じゃん。自分からアリバイあるって主張し始めたらおしまいですよね。案の定、殺人の準備段階にしか撮れない写真が出てきたとかで緊急逮捕されてました。勝手に犯罪バレて勝手に地面に両手ついて勝手に動機喋り始めるんです。何したいんですかね、こいつは?
「オレが書いた小説は評価されず、名前だけは売れててつまらない小説書く奴は評価されてて……オレは正当な評価を与える世の中にしたかったんだよ〜!!」
急に登場して勝手に自爆して好き勝手に動機を語るようなモンスターを生み出さないためにも、これを読んでる人もちゃんと感想書いたりレビュー入れたり星やポイントやら入れた方がいいですよ。私はよく知らないですけどね。




