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春の翼  作者: Mariko
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二〇XX年 

   二〇XX年 元旦


   公共放送学生ニュースより

     青少年育成局長の年頭所感


 諸君、新年だ。新しい年を迎えて、諸君の胸中は希望に満ちていることと思う。

 その希望を虚しい憧れで終わらせることなく、たゆまぬ努力によって現実のものとすること、それが学ぶ諸君に与えられた義務である。諸君らはこの治安の良い国に生まれ、秩序正しい社会で良き大人たちに守り育てられていることに感謝し、それに報いなければならない。


 我々の国は、先の大戦の後、その復興期を乗り越えて、経済的・技術的に大きな進歩をとげてきた。これだけのことを成し得た国は、世界広しといえども我が国をおいてほかにない。

 現在国の中核となっている我ら大人は、この進歩を実践し、国の変化を目の当たりにしてきた先人たちを親・指導者と仰いで学んできた進歩の申し子なのである。

 そして、その我らを師として学んできた諸君もまた、我が国の発展と、その発展がもたらしたこの豊かな社会を誇りとしてきたはずである。そうであれば、この新しい年を漫然と過ごせる道理はない。先人の労を無にすることは許されないのである。


 この国のさらなる進歩・発展を担う原動力である諸君は、より良い国民となるために、日々の精進を怠ってはならない。身体を鍛え、健やかに保ち、汚れた誘惑の声に耳を傾けてはならない。


 公共の利益は何をおいても優先されるべきものであることを肝に命じ、諸君は個人の欲望を抑え、若い力を社会のために役立てるという覚悟を持って、新しい年に向かうのである。全体の幸福が、諸君ひとりひとりの幸福であることを忘れてはならない。


 青少年の健全な育成に関わる我々は、常に諸君のために心を砕いている。我々を信じ、我々の指導するところについて来ること、これこそが諸君を正しい大人として自立させるための最善の道なのである……


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