手を繋ぐ お外の時間
「お父さん、お父さんあれって何?」
「あーーあれか?あれはスムキと言ってな食べ物だ」
あれって食べ物なんだ...
ジャンボレインボースプリングという玩具みたいな色合いと形をしている
少女が手でブチッと半分に千切り、先端部分を口に入れてチュルチュルと麺のように吸っていた
「お父さんあれは?」
「ロムキだな」
「ロムキってなに?」と聞こうと口を開きかけて止まった
理由は私達を指差しながら談笑している人の声が耳に入ったからだ
「なあ。あれってランドルさんとこの娘さんだろ。確か身体が弱くて外に出れなかったっていう」
「ホントは違うみたいだったがな。」
「どういうことだよ?」
青年の質問に、会話を楽しんでた男は、嘲笑を浮かべながら青年を見て言った
「泥人らしいぞ」
『泥人』という言葉を聞いて、私は心臓がドクン!と鳴った
この国では、差別言語としてよく使われる言葉
それが『泥人』だ。
青年は、親子見ながら言った
「神様に捨てられたのに、まだ生きてるってお笑い者だな」
会話に勤しんでた青年と初老の男は、親子に指を指しながら口を開いた
「おーーいそこの泥人、神様に捨てられたのにまだ、生きてるってお笑い者だな。父親も大変そうでなによりだよ」
ランドルの右手を見ると、拳をぶるぶると震わせており、親指の爪が皮膚刺さり血が滴り落ちていた
「お父さん!駄目だよ。ここで刃傷沙汰を起こしたら...」
「....そうだな」
もう帰ろうかな...
ここから逃げたいという気持ちは、私の歩みは、自然に家の方角に変わっていきそうになる。
お父さんにも申し訳ない。
「...ごめんなさい」
屈辱を噛みしめるような目で、嘲笑していた青年を見ていたランドルは、私を見て笑みを作った
誤魔化すようなそんな笑みだ
「アリアは、悪くないさ。それよりこれの説明だったな」
そのランドルの優しさが余計にアリアの心を締め付けた
耐えないと...耐えないと。
ランドルは、耐えているのだ。
流れそうになった涙を何とか押さえて、周囲をよく観察する
先程私達を嘲笑した男達、その声で集まってきた人達がコソコソと声を潜めて私達を侮蔑の視線を送ってくる
店主もそうだ。
先程まで、外用の接客を私達に向けていたが、私が『泥人』と知ると鼻で笑い早く帰れと手をシッシッと動かした
そんな態度の店主を無視してランドルは、「これはこういうものだ」とか「これはこうやって使うんだ」と優しく説明してくれる。
私は、罪悪感で一杯な心に叱咤する
そんな辛い時間が、1時間程度続いて私達は家に帰った
もうごめんなさい。とは言えないと、私は思い
「ありがとう。お父さん!!」
と元気な笑みを作りランドルを見る。
うまく言えたか分からないけどランドルは「まあ娘の頼みだからな」と得意そうな笑みを作った
一時間ほどの苦行で気づいたのは2つ
一つ、この世界の文明だ。
最初は、中世レベルだと思っていたけど、ルネサンス時代を通り越して近世時代にも見えた
近世時代と中世時代が起用に折り重なっているイメージだ。
近世までの底上げとして一つは、魔術具だ。
水が出たり、火を作ったり、魔力を流せば扉が開いたりと、これを中世レベルにしていいのか迷ってしまう。
たまに火縄銃のようなものを担いでる男を見た
もうここは何レベルなのか判断しづらい
もう一つは、識字率の問題だ。
ランドルは、普通に文字が読めるらしいので、他もそうなんだろう。と勝手に勘違いしていたのだが、そうではなかった。
店先に並ぶ看板には、文字が刻まれてたり、売り出している商品の絵を掘った看板が並んでいたりしていた
偶に聞こえる声には、「俺は文字が読めないんだから、何で書いてるか教えろ」と言ってる男の人や「これってなんて読むの」と聞く女の人を複数見かけたことがある。
字を読めないのは、客側だけではなく、店主も読めない事があるらしい。
そんな状態のなか、どうやって商売をしているのか、分からないけど。
識字率の話だけど、実は私も読めません。
最近お父さんに文字を教えてもらっているけど、ホントに難しすぎて知恵熱出そうな勢いだ。
「お父さんこれは、(さ)?て読むの?」
「それは(か)だ。」
「分かんないんだけど!もういや!」
この世界の文字は、世界一難しいと言われているアラビア文字とハングル文字を重ねたようなものが全63種類だ。
(ـثـ)と(ـتـ)を見分けてくださいと言っているようなものだ。
「これは(さっ)?」
「アリア...それは(あか)だ」
むりむりむりもう覚えられる気がしない
心が折れて、折れた心をガムテープで補強して、またランドルに習って、また心が折れてを繰り返しながら文字を覚えることができた
計算は、とても簡単でランドルからは、「アリアは商人を目指した方がいい」と言われるほどだ
1年経って私は6歳になった
最近は、ランドルやミカリアに、黙って外に出るようになった
理由は、両親に私が商人になることを知られない為と、私が考えた物を作ってもらうための資金として何処かの商人に出資してもらう、または、職人に作ってもらう場合、私一人の方が都合がいいからだ。
両親は、昔からここに住んでいるので多くの人から顔を知られているが、私は、そこまで知られていないらしい。




