なぜか高校の同期が夢に出てきて、そいつと前の席に座ってた女とパチンコに行く流れになる話
なぜか高校の同期が夢に出てきて、そいつと前の席に座ってた女とパチンコに行く話3
人は強く覚えようと思ったことしか覚えない。だから明日には今教えてることなんて何一つ覚えてないかもしれない。でも、知りたいと思った人には教えてやりたい。
「じゃあまずどこにお金を入れたらいいでしょーか?」
ミキは台を正面に眼をひたすら動かしている。(台のどこかに入れるとこがあるはずだ…)。きっとそう思っているんだろう。普通そうだ。自販機の金銭投入口は当然自販機についている。普通に生きていればそれが常識。
でも悲しいかな。お金を入れるところは台の外側。ただの台と台の間の黒いスペースにそれが存在する。
「はい時間切れー!答えはここでしたー」
俺は正解の場所にさらば野口する。
ミキは想定外の場所に少し呆気に取られていたが、すぐ何かに気づく。
「あっ、お金!」
「いいよ。どうせ今日優しい教育機関からもらった分あるし」
「でも」
「じゃあ今日ギャンブルに勝って返してよ」
「……うん」
納得いかないって顔。でもここは強引にいかせてもらった。
「んじゃあ次、今台のこの部分に10って表示されてるのわかる?」
台の右下付近。ハンドルの上付近にあるデジタル表示を指差す。
「これが1000円分入ってるってこと?」
「正解~」
「でも何も出てこない…」
「そりゃそうよ。飲み物買う時に金入れてもボタン押さなきゃなんも出てこないっしょ?それと同じ。」
「なるほど」と口だけ動かして俺の次の言葉を待っている。
「そしたら次に近くにある貸出ってボタンを―――」
でーでででで~~~い!!
急に隣からありえない音が聞こえてくる。
まさかと思い左を向くとカルクがニカッと笑う。こいつ作り笑顔ムカつく。
「お前合わないって言ってたじゃん」
「今日合わせろって言ったのお前だろ。だから合わせてやったんだよ」
「どうせ上見たら白だよ」
「俺もそんな気はしてる」
演出が一段落したとこで∨の形に似たところを二人で仰ぎ見る。
赤。
「すまんな、お先」
「てめー今日夕飯奢れ」
もう結果は見えたので、カルクの方を見るのは止めようとした時、
左打ちに戻してくれーい!!!!
また急に隣から大きな音が聞こえてきた。
まさかと思い右を向くと、ミキが真顔でそこにいた。やけに眼が見開いてるし、右手はハンドルからさも今さっきビックリして放しましたみたいな位置にあるが。
「……ごめん。なんかダメだった?」
「いや、とりま大丈夫。ビックリしただろうけど」
一応1人で貸出ボタンを押して、玉を出すとこまではやってくれたのか。んで、周囲を見て皆が持ってるとこを真似してみたと。
「とりま台の音量下げようか」
音量ボタンで調節してやる。ついでに光量も最低に。
「これでうるさくなくなる?」
「いや、さっきのは音下げても大きいまま」
「なんで?」
「う~ん、今説明だるい。後でな」
「わかった」
素直なやっちゃ。育ちがいいんだろうな。