真実と新しい仲間
ベットサイドモニターの音が夜の暗い静寂の中鳴り響く。時間は真夜中の12時を過ぎた頃だ。
私と眼竜先生と狩野、高田の4人は狩野の病室が見える柱に隠れて、見ていた。
「眼竜先生。なんで隠れて見てなければいけないんですか?」
「静かに見張ってろ!」
眼竜先生は小声で私に言った。
「はいはい。わかりましたよ。」
私は少しイラつきながらも、眼竜先生の言われた通りに、狩野の弟の病室を見張た。
しばらく、すると「カツン、カツン」と足音が聞こえてきた。
「誰がきた?」
「静かにしろ!」
私の言葉を制して眼竜先生が言った。
足音は次第に大きくなり、ついに狩野の弟の病室きた。そして、表札を確認するとドアを開けて中に入っていた。
「よし、いくぞ」
眼竜先生が向かいの柱に隠れている高田と狩野に合図し、病室に入り、電気をつけた。
「はい、そこまで」
先に中に入った人が振り返り、眼竜先生を見た。
そこにいたのは、心不全の患者さんの担当医の石先生だった。
「何やってるんですか石先生?」
私は尋ねた。
「いや、その‥‥」
石先生は目が泳いでいた。そして、狩野の方を見て、指を刺していった。
「そう、彼!彼の弟が入院してるって聞いて、一緒に働いた中だから心配でね。様子を見にきたんだよ。」
「じゃあ、その手にあるのはなんですか?」
「これは、その‥‥」
石先生は手に持っていたものを後ろに隠したが、眼竜先生は石先生の手首をつかに持ち上げ強く握った。
「いてて‥話せ!」
ボトッ
てから、何か落ちた。
私は落ちたものを拾い上げてみると、白い液体が入ったシリンジだった。それを見た狩野は石先生に尋ねた。
「これは、なんですか?石先生!」
「‥‥」
黙り込む石先生に私は確認のため尋ねた。
「先生。これは‥‥麻酔薬ですよね‥?」
石先生は顔をそらす
「先生、これを彼の弟に入れていたんですか?‥‥先生!どんなけ、危険な事してるかわかってるんですか?呼吸抑制作用があって、呼吸が不十分になったり、止まったらするんですよ!殺すつもりですか!!」
「う・さ‥‥」
小さい声で話す石先生
「なんですって?」
「五月蝿い!」
急に大声で言い出す石先生
「お前に何がわかる!私がこんな事したくてしたと思っているのか!俺だって、俺だって、こんな事したくなかった!でも、しょうがなかった!なんも取り柄もない僕が医師としてい続けるためにわ‥‥」
泣き出す石先生に狩野は近づき優しい声で言った。
「石先生、何があったか、話していただけますか?」
「それは‥‥」
また、黙り込む石先生。それを見かねてか、眼竜先生が頭をかきながら言った。
「お前は昔から自分の事しか考えてないよな。狩野。こいつは昔、手術に使った針を、患者の体内に置き忘れると言うミスをおかしたんだよ。当時俺はこの目のおかげで、その事に気付いたから石に患者に正直に話すように、進めたんだよ。でも、こいつはそれをしないで主任だった金田に隠蔽してもらったんだよ。どうせ、今回も‥‥」
「うるさい、うるさい!うるさい!お前に何がわかる。入局当初から天才として扱われ、なんでもできたお前と違って、上に従わないとやっていけないんだよ!」
肩を落とした石先生の胸ぐらを掴み壁に押し付けた眼竜先生は言った。
「だからと言って、人の命を弄んでいい理由にはならないんだよ!」
石先生を地面に投げ捨て、睨みつけ言った。
「金田に伝えとけ、いくら病院のためとはいえ、俺はお前のやり方を認めない。首洗って待っとけ」
その言葉を聞くと石先生は逃げるように病室から出ていった。
そして、眼竜先生は振り返り、ベットの下をゴソゴソと探しはじめた。
「さっき、石のやつこの辺を触ってたんだけどなぁ〜。‥あった!」
麻酔薬は気づかれない様にベットの下で多連活栓で繋ぎ投与されていた。眼竜は麻酔薬を取り外し、狩野の弟の状態を確認した。
「よし、これで目覚めるはず」
「あ、ありがとうございます!」
狩野は涙目になりながら言った
そして、眼竜先生の言った通り、狩野の弟は10数分後に目覚めた。
そして、翌日になって、驚く事が起きた。
朝、出勤し、特別救急医療科の部屋に入ると中から元気な声が聞こえて来た。そこにいたのは狩野である。
「おはようございます。マリナ先生!今日からコチラに配属になりました!狩野 実です!」
新しいお荷物が増えたのである