命拾い
「あ〜、もう。お金ないなのにぃ〜」
私は、新しく入った机に突っ伏した。
「まぁまぁ、よかったじゃないですか。勝手にドクターカーを使ったのに減俸だけで済んで。はい。どうぞ」
狩野はコーヒーを入れて私に渡してくれた。
「それに、絶対に特別救急医療科に支給しなかった机やパソコンを入れてくれたんだからね!」
「そうなんだけどさぁ〜。でも、減俸はないじゃん!」
こうなったのは、この前の爆破事故で勝手にドクターカーを使って現場に行った事が原因だ。事故が落ち着いてから、特別救急医療科の面々は院長に呼び出されたのだ。
「君たち、なんで呼び出されたかわかるな?」
院長は私たちに尋ねたが、眼竜先生を私は見たがアクビをしていて、全く答える気配がなかったので、私が答えた。
「ドクターカーの件ですか?」
「ほー、わかってるって事は、覚悟があって、やった事なんだね」
「やったのは眼竜先生ですけどね…」
私は院長が聞き取れないような小声で言った。
「うん?なんだって?」
「いや、なんでもありません」
「まぁ、君たちのやった事は、立派だよ。ただ、規則は守らないとねぇ〜。」
「そうですね。」
「じゃあ、出しなさい」
「何をですか?」
「何をってあんた。責任を取るんだろ!出せよ!!」
私が惚けたのが気に入らなかったのか、次第に声が大きくなっていく院長が手を出して、おそらく、退職届を要求してきた。
暫く、院長室が静寂に包まれる。
そして、静寂の時間はリンリンと電話の音が鳴り、壊れた。
院長はチッっと舌打ちをしてから電話に出た。
「はい!誰だ。今取り込み……あ、これは理事長どうなさいました?」
電話の主はこの病院の理事長のようだ。
「えっ!あ、はい。……わかりました」
院長は悔しそうに電話を切った。
「よかったな!」
「何がですか?」
「理事長が今回の事故で、事故現場で活躍した医師を取材したいとの依頼が来たから受ける様にと…」
「はぁ」
「だから、今回の規則違反は減俸で許してやる」
「えっ〜!減俸ですか?」
「なんだ、文句あるか」
「いや、ないです」
心の中では大ありなんですけどね!
「それと、今回の取材の為に特別に、机とパソコンは用意してやる」
「えっ!本当ですか?」
「本当だ!わかったら、もう出てけ!」
院長室から出て行った後、何か物が割れる音が聞こえたけどなんの音だったのだろうか?
と、まぁこんな感じで現在に至るのだが、減俸の原因となった、張本人の眼竜先生はいつもと変わらず、ベットで寝ている。
「ねぇ、眼竜先生。先生の目って臓器とかが見えるんですよね……と言う事は…服が透けて見えるって事!?」
私は急いで体を隠した。
その行動を見た眼竜先生は、フッと鼻で笑っい眼竜先生はこたえた。
「さぁな?…まぁ、もし見えたとしてもねぇ〜。子供には興味ねぇよ」
「……子供…子供ってなんですか!洗濯板は女性の権利はないんですか!確かに…私は京子と比べて貧相ですけど、女性の価値はそんな所には無いんです!」
「ハイハイ、お子様は、少し静かにしましょうね!」
この男やっぱりムカつく奴だ。
「まぁまぁ、そのへんで、終わりにしましょ。眼竜先生、実際どうなんですか?」
狩野が仲裁に入る。
「見えるのは、筋層から下だな。これは、この能力を手に入れてからわかった事だが、見たい場所によって目の色が変化する。筋層を見たかったら目は青色に、臓器は緑、そして骨は黄色だな」
「だ、そうですよ。マリナ先生」
「ありがとう。狩野くん」
本当に眼竜先生と違って狩野はいい奴である。
「さてと、くだらない話はここまでにして、ご飯食べてくるわ」
眼竜先生はベットから起き上がり、部屋を出て行こうとした。
「待ってくださいよ。ご飯って…30分後には取材が来るんですよ」
「あ?あー?そうだっけか?まぁ、任せるわ!お前達で適当にやっといてや。科長命令な」
眼竜先生はそう言うと部屋から出て言った!
「‥ムカつく〜。何、あの態度!」
「まぁまぁ、マリナ先生!落ち着いてください。それに、ほら先生はこの科の花形じゃないですか!」
「ええ!そう?やっぱり〜」
「単純な人」
「えっ?なんか言った?」
「いえ!別に」
「そう?ならいいけど」
「やっぱり、眼竜先生みたいな愛想ない人よりも、私みたいな可愛い人がいいよね〜」
「…はぁ〜」
なんか、狩野くんにも呆れられたような気がするがまぁ、この際はどうでもいいだろ。だって、私は花形だもん!
その頃、院長室では院長と救急科長が話をしている
「何でこんな事になったんだ!」
足を組みながらイライラを募らせる院長
「すいません!!奴らがたまたま助けた患者がまさか、あの有名なジャーナリスト、香川 雅だったです」
院長はバン!と机を叩き立ち上がり科長に言う
「そんな事聞いて無いんだよ!奴らが有名になると、検査をしなくなるから、赤字になるんだよ!せっかく、仕事を与えないように追いやって辞めさせようとしたのに、有名になった患者達が奴らを指名するから、奴らの仕事が出来てしまうじゃないか!折角の計画が無駄になったじゃないか!お前が使っていた奴らも裏切ったしどう責任を取るつもりだ!えっ!」
「すいません!」
「すいません!じゃないんだよ!考えろよ!」
「はい!早急に!」
科長は院長に背を向け、部屋から出て行って廊下を歩きなが小声で呟く。
「クソ!眼竜、運のいい奴め!なんかいい方法はないだろうか…」
考えきながら歩いてたら、事務員とぶつり、事務員は持っていた書類をバサッと落とした。
「すいません!先生」
「気をつけなよ」
書類を拾う事務員を見ていると一つの広告に目が止まりたずねる、科長
「ねぇ、これって…」
「これですか?」
広告を渡す事務員
「……これだ。これもらっていいか?」
「えっ?あ、はいどうぞ」
広告を貰うと不敵な笑みを浮かべながらその場を科長は立ち去った。




