第四話 第九地区 カザムドゥム
義理の兄と別れ
向かうは第九地区
「まさか、あの人がニコレッタの義理の兄だとは
思いもしませんでしたよ」
「でしょ?
あのくそ兄貴いちいち絡んでくるから
うざいんだよ」
「凄く好かれてましたね汗
そう言えばニコレッタは他の組織いたんですか?」
「あのバカ兄貴が言ってたことの続きだよね、
あれは
私が8歳のときに
今の阿吽星と言われている
国際犯罪組織の一味だった時に
単身で乗り込んできたあいつが
私を救ってくれたの
すっごく嬉しかったんだ
すっごくね」
「そんな国際犯罪組織の一味だった
のですか?」
「まあね!
今や5000人を超えると犯罪組織
3人の総司令官がいると言われてるんだ
三人とも凄く強いから気を付けてね?」
阿吽星...。
覚えておこう。
「ひとまずはもうちょっとで着くから
早く行こう!」
「はい!」
そう急かされるように
また二人は歩き始めた。
しばらくすると
街のようなものが見えてきた
「キイチ!着いたよ
あれが第九地区だ!」
「あれが第九地区」
外観は少し高い塀が周りを囲んでいて
正面らしき所に大きな門がある
皆無事でいてくれ。
そう思い
ニコレッタの後をついていく
正面までくると白い門番が二人立っていた
「何者だ!通行証を見せなさい!」
通行証?
そんなものないぞ
少し焦った表情でニコレッタの方を
見ると
フード外し
通行証を出していた
そのニコレッタの顔をみた
門番が
「長官殿!お疲れ様です!
どうぞ中にお入りください!」
え?
長官??
「どういうことですか??」
そうニコレッタに問いかけると
「ひとまず入りなよ」
門番が大きな声で
「長官が戻られた!
門を開けよ!!」
そう言い放つと
ギィーという木と石の軋んだ音と共に
ゆっくりと門が開き始めた
門が開ききると
中は家やテント、屋台や人で溢れていた
外の世界とは比べ物にならないくらい
街は活気で賑わっている
「キイチ!ここが第九地区
“ガザムドゥム”だ!」
外観との温度差にあ然としていると
近くに兵士らしき人物が近づいてきた
「地区長、よくぞご無事で。
外に変わりはございませんでしたか?」
体格のいい長髪の白い顎髭がある
兵士がニコレッタに聞いていた
「ち、地区長?!」
驚きを隠せない俺は少し大きな声で
そう言い放つとニコレッタが
笑った顔で答える
「言っていなかったか??」
いや、聞いてない聞いてないと
俺が首を横に振るとニコレッタは
なおさら
クスクスと笑う
「私はね、ここ第九地区を治めている
ヴァンラーレ王国
9番地区長なんだ!キイチがいた
元々の世界だと九城間研究所がある
西側の町だった場所だ
それと街の皆からは長官と呼ばれているけど
気にしないでねー」
西側??
ヴァンラーレ王国??
話を頭の中で整理しよう
確か自分がいた元?の世界では
九城間研究所があった場所は
北にあたり
九城間町と呼ばれる場所
東には八京町
南は六堂町
西は七島町だったはず...。
しかし、ヴァンラーレなんて王国は
聞いたこともない
それとあそこには七島研究所があった
あっ!
忘れていた
ニコレッタはあそこの研究所の所長の
名前。
いや、絶対そうだ
いろいろなことがあり
頭から抜けていた
とりあえず何食わぬ顔で遠回しで
聞いてみよう
「あの、一つ聞きたいのですが」
「ん?なあに?」
「ニコレッタはこの
地区出身とかですか?」
「そうだよ!それがどうした?」
「いや、なんというか元?いた世界に
この辺の西側に知り合いがいて
そういえばニコレッタという
名前だったなって思い出して
まさかなーと思って聞いてみようと」
恐る恐る聞いてないか凄く心配だ
今までのことを整理しても
変な質問をして
殺されるという結末もあり得る
とにかく顔色を見ながら
話を進めていく他ないのだろう
そう思い俺は顔色変えず
不安な気持ちと妙な好奇心を
押し殺し
ニコレッタの顔を見つめる
「んーたまたま名前が一緒ってだけじゃない??
ほら、同じ名前の人なんていっぱい
いるじゃん?」
明らかに話を流している気がする
ただ、彼女の顔色を見る限り
嘘はついてなさそうにみえる
それに矛盾な点もある
彼女はここにつく前に話していた
阿吽星という組織に8歳頃いた
と言っていた
私が七島研究所でみたニコレッタ
という女性は20代後半
実年齢はわからないが
見た目的にもそうだろう
というと彼女の言う通り
名前が一緒なだけで別人なのだろう
ひとまずそれはまた考えるとして
まだ質問したいことはある
「あと、もう一つ聞きたいことがある
のですがいいですか?」
再び彼女の顔を見つめ
質問を投げ掛ける
「全然いいよ!ただ、人がこんなに
賑わっているところじゃあ
話もろくにできないでしょ?
中央に私の司令部がある
そこで話の続きをしましょう」
気を使ってもらったのだろう
確かに仲間の安否さえ聞けてない
少し静かな場所に行って話が
したいと思ってた所だ
「わかりました!
ありがとうございます」
そう言うとニコレッタは頷き
中央の司令部まで向かう
少し時は遡り
第二十地区
ヴァンラーレ王国
天星の間
「遂にきたか」
盲目の男が話している
「どうされましたか?」
厚手の軍服を着た綺麗な女性がいる
「いや、なんでもない。
ところで
神々の跡地“ドルモンド”
について
何かわかったか?」
「いえ、精鋭部隊を派遣して
情報を集めさせてますが
今の所有力になるものは
ございません」
「ふむ、早急に頼んだぞ」
「かしこまりました」
「それとなんだが....」
「はい」
「第九地区のニコレッタ地区長のとこで
今回は総長会を始めようと思う。
各地区長に第九地区に集合せよと
伝令を出してくれ」
「かしこまりました
日にちはいつにいたしましょう」
「すぐにでも始めたいのだ
どうしても皆に話したいことがある」
「かしこまりました
それでは、すぐにでも伝令を」
そうお辞儀をして
さっと立ち去ろうとした姿は
地面が水にでもなったのかの如く
地面に吸い込まれるように消えていった
「では、私もいくか」
そういうとパリッと縦に稲妻がが走り
天星の間には誰もいなくなる
次回 事実と集う者