お茶会
石畳を歩いて行くと
一枚の紅葉が落ちていた。
白き石の上に
真っ赤に色づいた紅葉が
主人の粋な演出なのか
はたまた自然がなしえた事なのか
その先に
一軒の東屋が
はきなれぬ草履で
痛くなった脚を
そこで休めていると
かすかに ししおどしの音が響きます。
今宵は 久しぶりの茶会
客人達が揃ったようだ
今宵の客人は
またまた変わった方々だ
ひとの眼には映らぬ方々
月夜の晩に一服頂こうと参った方々
躙口からお茶室へ
と言いたい所だが
そのまますり抜けてしまうものもおり
まぁ
ここはご愛嬌
わたしはというと
皆様が見えぬ物が見えてしまうという
聞こえないものが聞こえてしまうという
それで、このお茶会に呼ばれてきたというわけ
ここにきた客人達も
一筋縄ではいかない方々
亡くなったとはいえ そこそこのお方達
その亡くなった方々のお話しを聞き
伝えるのがわたしの役目
まぁ
イタコかな?
ここの主人がわたしの雇い主
【なんでもやる屋】
今日の、依頼は、お茶室で亡くなった
某会社の会長さんのひとり娘からのご依頼
亡くなった会長さんの秘密の金庫の暗証番号
を聞きたいとの事
3度間違うと中身はパァになってしまうという事で
高い料金を払ってここの主人に依頼してきたとの事
こんな大掛かりなお膳立て
亡くなった会長のワガママ
まぁ私には関係ない事
あ!
お茶会が始まる
美味しい和菓子に
お抹茶
美味しくいただけるのはわたしだけ
床の間の掛け軸
香炉に茶花
この香りは白檀
とても良い香りが茶室を満たしています。
皆様
静かにいただいてると思います?
まぁ
うるさい
政治の話し、芸能界の話し、スポーツ界の話し
『今の日本は駄目だ!決断力がなさすぎる』
『その通り、その通り、、、』
『あの俳優もこっちにきたな』
『オリンピックは開催するみたいだな』
『今年のプロ野球は、どんな感じだ、、、』
『サッカーも野球も無観客試合は、寂しいものがあるな』
などなど
オレや私がいた頃はと延々と話しています。
おっと肝心な暗証番号と
「会長様、あのー、隠し金庫の暗証番号を教えていただけませんか?」
「あー、あれか、忘れた」
「えーーーー!」
読んで頂きありがとうございます。(◞‿◟)