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ひとひらの花弁  作者: 櫻葉月咲
4. 俺が思うやさしい日々
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6枚目 想いは交差する

 公園を後にすると、ちらほらと往来へ人の影が出てきていた。

 早いもので、現在の時刻は六時半を少し回ったところだ。あと数十分で部活や早朝出勤の人々が増えてくるころだろう。

 そして、葵はまだ麗との衝撃の再会から抜け出せないでいる。


 (一丁前にかわ、ううん……あんな顔しちゃって。でも、あの様子だと気付いてたわよね。『私』のことも知ってる風だったし)


 恐らく麗はこの日以前から、前世の記憶を思い出していたのだろう。いつ頃からかは本人に聞かなければわからないが、確実にあの少年は「和則さま」だ。葵の本能がそう告げている。


 (また会えたらいいけど……難しそう)


 今日のように、のんびりと学校まで歩く日は少ない。原因は遅くまで起きているからだが、最近はいつもに増して眠りが深い。

 それもこれも、夢から覚めたくないからだった。


 和則と死に別れた先の記憶が無い。


 無意識に記憶へ蓋をしているのかもしれないが、葵にとっていい思い出であろうが、悪いものであろうが受け入れたい──そんな思いからだった。


 「悩んでても駄目よねぇ。切り替えなきゃ」


 人知れず溜息を吐く。

 今日から高校生活での二年目が始まるのだ。くよくよするのも得策では無いし、何より今世での日々を謳歌おうかするというながい目標がある。


 「……母さんのためにも頑張らないと」


 遅くまで働く母を安心させ、つ人に迷惑を掛けないように──そう思い直し、しっかりとアスファルトを踏み締める。

 まだまだ一日が始まって間もない。

 今日この日がいい日であるように、 “何事も” 無いことを願うばかりである。

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