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【★完結★妻シリーズ第三弾】エロ小説作家の婿ですが、何か?  作者: うどん五段
第一章 妻はエロ小説作家ですが、何か?
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第2話 エロについて討論するのは庶民だけではないですが、何か?

本日3話更新です。こちらは2話目になります。

 リコネル王妃の経営する本屋の隣には、作家達が活動するアトリエが隣接している。

 そのアトリエには日々ファンが詰め寄せ、それこそ早朝や夜間に作家と出会う事があろうものならば、黄色い悲鳴、野太い悲鳴が木霊すカオスな場所として今では有名な場所だ。

 そして、今このアトリエには、妻であるミランダ……いや、ミラノ・フェルン作家の他に、今を時めく作家たちが通っている。


 恋愛小説作家である、ヴィヴィアン様。

 彼女の書く小説は、女性の夢をギュッと圧縮したような内容で、多種多様なイケメンとの恋愛模様や、切なく涙なしには読めない恋愛小説も数多く出している。

 ちなみに、妻に対して何かと噛みついてくる狂犬である。


 絵本作家であるヘンリー様は、年若い……と言っても、俺と同じ年齢の童顔少年。

 人々に優しい気持ちを表すその絵本に、子供から大人までが夢中になっているのだが、このヘンリー様、柔らかい物腰とは裏腹にかなり腹黒い。

 コイツに関しては、極めて危険人物だと俺は思っている。


 そして、絵本や恋愛小説絵師担当のレナス様。

 大人で柔らかい雰囲気のレナス氏の描く世界は、人々を夢中にさせる。

 柔らかいタッチ、まるで夢の世界にいるかのような優しい絵に、俺自身も癒されている。

 そして――。



「……今回のミラノ先生の作品、どこまでセーフですかね?」

「オープンはダメなのかね?」

『小説の書き口が少々エロさレベルが高いように感じる。我としてはもう少しオブラートに纏めてからの、挿絵による過激にならない程度の、そこが見たいのに隠されている的な絵を望みたいところだのう』

「「一理ある」」



 エロ小説兼恋愛小説の絵師担当、ヨハネル様は、そんな事を言いながらエロ本編集者であるクリスタル様と妻とで新しい小説をどう編集すべきか語り合っている。

 そう……この国最高権力者であろう、クリスタル様だ。

 クリスタル様が、エロ本編集者なのだ。

 世界の母とも言えるクリスタル様が、エロ本編集者。

 いや、見方を買えれば、子供が増えるエロ要素はクリスタル様がすべきなのか?

 その答えは俺の中でまだ出てはいない……。



「わたくしとしては、このまま突き進んでみたいと言う冒険心を擽られますわね」

「それはかなりの冒険になりますね」

『上も下も滝になるのう』

「たまには過激なものが出ても目玉になりませんこと?」

「でも、あまりエロ過ぎると引かれるかも知れませんよ」

「そこの兼ね合いですわよね……」

『難しいのう……』



 お解り頂けただろうか。



「リコネル王妃様は過激なエロも読んでみたい派ですか」

「ええ、たまにはこう……ガツンと来るようなものが読んでみたいですわ」

「過激派、それもまた良い!」

「文字に国の違いはあれど、エロに国の違いはありませんわ!」

『種の繁栄じゃからのう!』



 皆さま、お解り頂けただろうか。

 リコネル王妃、貴方はこの王国の王妃ですよ。

 その貴方が率先して進んではいけない方向に進んでいるのを、誰も止めることが出来ないのか?



「私は過激なエロよりは、巧みに隠されたエロの方が好みですねぇ……全てを曝け出すのは少々気が引けます」

「ジュリアス様はオープンより、チラ見せ派ですのね」

「隠されているからこそ覗きたい……というのも、男性にはあるのですよ」

「難しい考えですわね」

「男女でそこは解れるものなのかね?」

「僕個人としては、ジュリアス国王陛下に同意します」



 お解り頂けただろうか。

 国のトップ三人が、エロについて討論するこの異様な空間を。

 俺はそんな方々を生暖かく見守りながら、ミランダの好きな紅茶を全員にお出しすると、お茶請けのクッキーもお出しして静観する。



 ミランダが新しい小説を執筆し終える度に行われる、エロ討論会。

 今回はオネショタと言う、また新しい扉を開いたとして、リコネル王妃も興奮し、クリスタル様は『尊いっ 何という尊さ!!』 と身悶えしていたのは、最早記憶から抹消したい。


 ちなみに、モデルは俺じゃない。

 ミランダの脳と言う仮想空間にモデルを作って貰い、俺の大事な尊厳は確保された。



「年の差と言うのは尊いものですけれど、年下男子との甘酸っぱい恋愛、そして禁断の愛……これは売れると思いますわ」

『うむ、若い男との禁断の行為とは萌えるな』

「女性も年下の方がお好みなのですね……」



 あからさまにションボリするジュリアス国王陛下に、リコネル王妃はハッとした表情をすると、ジュリアス国王陛下に駆け寄り――。



「わたくし、ジュリアス様が一番好きですのよ!?」

「いえ、良いんです……私のような老いた男性よりも若い男性の方が良いのでしょう?」



 愛する妻がオネショタと言う扉を開いたことに、少なからずショックを受けておられるジュリアス国王陛下に、俺は同情せずにはいられなかった。

 リコネル王妃はまだ国王となる前のジュリアス様に対し、押しかけ女房までしたのだと国では有名だ。

 だから尚更ショックが大きいんだと思い、心中を察していると――。



「そうですわね……シャルティエは最高のモ……息子ですわ!」

「んん?! お待ちなさいリコネル、貴方は実子のシャルティエをどんな目でみているんです?!」

「あら、息子とは最高の萌え供給源でしてよ?」



 リコネル王妃――――!!!!

 それ、口に出したらアカ――ン!!!



 思わず心の中でツッコミをいれてしまったのは許して欲しい!!

 ポカーンと口を開けたまま固まるジュリアス国王陛下。

 笑顔のまま固まったヨハネルさん。

 豪快に笑うクリスタル様と……我が妻、ミランダ。



「解る!! 痛いほどわかるぞ!! 息子が産まれた暁には、私は最高に萌え尽くしてしまうだろうなぁ!!」

『子とは萌えである。うむ、真理じゃな』

「そう、我が子とは何をしても可愛いものですわ……オナラすらも愛らしいですもの!」

「ジュリアス国王陛下。お気を確かに」

「……ええ、そうですね……」



 俺の言葉にジュリアス国王陛下は涙をハンカチで拭い、遠い目をしたままその後は過ごされていた。

 そうか、でも息子が生まれたらそれは萌の供給源なのか。

 女性の謎が一つ深まった気がしたが、きっと一生理解することは無理な事なのだろうと納得し、その日は本の手直しを要求されたミランダが、夜からうなり声を上げながら書き直しを頑張る姿があった。


 だが一つ言えることがある。



「俺も、娘が生まれた場合、大変なことになりそうだな」


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