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第5話 How old are you?

「え……?」



 私が言葉の意味を理解するより早く、私はフォレスタの腕に包み込まれていた。

 

「私は、あなたを望む」


 もう一度、ゆっくりと、含んできかせるように言った。



 気付いたときにはもう遅い。

 涙が後から後から流れ出てくる。


「っく……!」


 今、フォレスタはどんな顔をしているんだろう。呆れられてしまっただろうか。

 だけど頭ごと抱き込まれている私に、フォレスタの顔は見えない。


 ぽん、ぽんと背中を叩いてくれている手が優しくてひどく懐かしい。

 泣いてもいいのかな。私は、望まれたいと思ってもいいのかな。

 まるで小さな子供がお母さんにあやしてもらっているように安心する。


 こんなに泣いたのはいつぶりだろうか。

 堰が切れたように涙が流れ続けると同時に、私はどっと疲れを感じた。



 そして、


「……おやすみなさい」


 そう言われてすぐに、激しい眠気に襲われて意識が遠くなった。




――――



「おはよう、レイ」


 起こされて目を開ければ、そこにはフォレスタが居た。


「あ……おはよう、ございます……」


 寝起きの顔を見られたことが恥ずかしくて少し俯く。

 そして昨夜の事を急に思い出して更に恥ずかしくなった。


「あのっ……昨日……は、ごめんなさい」

「なんで謝るのよ。謝るのは私の方」


 ………違う。

 違うの。私本当はすごく嬉しかったの。初めてそんなこと言われたの。

 だけどそれは言葉にならない。

 首を左右に振るのが精一杯だ。


 するとフォレスタは無言で、だけどとても優しい笑顔を浮かべて私の頭を撫でてくれた。

 そして私の手を取った。

「さ、行きましょう。朝ご飯が待ってるわ」


 みんなもね、と可愛らしくフォレスタは付け加えた。



――――


「ねえ、そういえばレイは歳いくつなの?」


 朝食を食べ終わってから、フォレスタが突然そんなことを聞いてきた。

 川沿いの、すこし拓けた場所に五人、それぞれ自由に座っていた時だ。

 ムツキとカイラもそういえばそうですね、なんて言って興味を示してきた。

 私も実は少し気になっていたところだ。


 でもそんな中、何故かムクモだけがすごく嫌そうな顔をしていた。何故だろうか。


「え? っと16です」

 昨日のことがあったからだろうか、フォレスタに対しては少しまともに話せるようになった気がする。


「あら、じゃあ一番年下ね」

 そう言ってフォレスタはふふっと笑った。


「皆さんは……?」

「私は19よ」

 と、フォレスタ。あぁ、やっぱり年上なんだなと思った。


「俺は18です」

 これはカイラだ。これには少しだけ驚いた。

 2つしか違わないのにこんなに大人びているのか。こんな年下に敬語を使ってくれている上に、この人はいたって紳士的だ。


「ほらムツキは?」

 そうフォレスタに言われ渋々といった様子でムツキは言った。

「……18」


「え」

 思わず声が漏れてしまった。

 まさかこの人がカイラと同じで私より2つも上だとは思わなかったのだ。


「ぷっ」 「ふはっ」


 カイラとフォレスタは吹き出す次第。

 それはやはり本人も気にしていたらしく、ムツキの眉間にはどんどんしわが寄っていった。


「……! すっ……すみません……!!」


「いっ、いいのよ…レイ! ぷっ」

「そうです、いつもそうですから…くっ」


 私はとんだ地雷を踏んでしまったようだ。

 二人が爆笑したことでいいかげんムツキが本気でイライラしてきていたので、二人はそこで笑うのをやめた。


 だけどまだ必死に笑いを堪えていた。

 そしてムツキの機嫌がすごく悪くなって、ぷいと向こうを向いてしまった。

 とりあえずムツキの年齢からは離れた方が良さそうなので、もうそのことには触れないでおこうと思った。

 話を逸らすためにも今度はムクモに聞いてみようと思ったが、大人の女性に年齢を聞くのは失礼かと思い止まった。


 その話の間中ムクモがずっと負のオーラを放っていたことは気のせいだと思いたい。

 何より二度目の地雷を踏むことだけは避けたかった。


1話にいくつもぶちこんで申し訳ない。

とりあえず4人の年齢です。


ムクモが歳を教えたくないのは相当な理由というか、彼女なりに色々あるんです。 笑

そのうち出しますね。

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