Ⅱ
新たなキャラ
雷斗のグループマネージャー
柚木さん。
友人達がコンサートへ行くと言っていた日、留佳は友人と駅でばったり出くわした。まさか同じ電車だとは思いもしなかった。
「・・・あれ!留佳じゃん!どこ行くの?!」
「あ・・・。えっと本買いに行くんだ。ちょっと遠出しないとない本があって、」
「そうなんだ。留佳は本当に本が好きだね。」
咄嗟に誤魔化した嘘には友人も信じてくれたらしい。内心ホッとしたし、このまま騙されたままていてもらいたい。私はあなた達の好きな、雷斗に逢いに行くんだ。なんて死んでも言えないけど、いや、むしろ会える保証もない。それでも、そこに行けば会えるような・・・。そんな気がしていて。
友人と別れ、会った場所へ歩き出す。あの場所なら、人通りも少なくきっと大丈夫。そう思ったけれど、目的の人物は見当たらず。
「・・・やっぱり、期待外れかな・・・。」
「・・・期待外れってなにが?」
ボソリと呟いた、その声は誰かに拾われて慌てて振り返ると笑顔を向けた、目的の人物がそこにいた。あまりの嬉しさに胸が高鳴った。
「・・・留佳。久しぶり。元気そうだね。」
「うん。そっちこそ。元気そうでよかった。」
「俺は元気じゃねぇとやってけねぇし。それよりさ、ここに来たってことは俺に会いたかったの?」
彼は嬉しそうに聞いてきた。彼も会いたかったのだろうか。
「・・・うん。会いたいと思ってきた。雷斗くんが誰なのかも、ちゃんと分かった上で。」
「あぁ、わかったんだ?友達から聞いた?」
「・・・聞いたというか友達が、話しながら雑誌広げてて見たら雷斗くんが写ってて。そういう事だったのかって納得した」
相変わらず、興味がある訳では無いのかと雷斗は少し落ち込んだ。なんたって一目惚れしているんだ。彼女に。だから少しでも興味を持ってくれたらなと彼は思う。
「・・・留佳は・・・あ、やべっ。留佳ここで待ってる!」
「・・・え?あの・・・?!」
「じゃあな!」
突然慌てて何か紙を渡されたかと思うと、突然彼は走り出し駅の方へ姿を消した。そこへすぐにファンなのだろうか走ってきて呆然としている留佳の前で止まった。
「ねぇ!今、雷斗くんと話してなかった?」
「・・・え?あ、今のかたなら雷斗によく似てると言われる方だと言っていました。全く別人だと仰っていましたよ?それと彼になら道を聞かれただけなのでわかりません。」
「・・・そう。じゃあ、あれは違うのかなー?」
咄嗟に出た嘘を2人のファンらしき女達は切なげに帰って行った。それから雷斗に渡された紙を見るとそこにはなんと、今日やっているコンサートの会場のもので、友人達が行っているやつだ。チケットをよく見ると裏にメッセージが書いてあった。「ここに来い。」と。会場のだろうか地図のようなものも書いてあった。これは慌てて書いたものでないと知らされる。ファンに気が付かれるかもという予測して前もって書いてあったと思われる。
指定された通り会場に向かうと、多くの人たちでごった返していた。こんなにもファンの人達がいるのか。と驚きしかない。
「・・・ここだよね?」
「すいません、ここからの侵入は禁止されておりますので。」
「え、いやでもここに・・・。」
指定された場所へ回ったがどうも入ることが許されなかった。迷っていると女性が1人こちらへやってきた。
「ちょっとあなたその券見せてくれる?」
「あ、は、はい。」
「・・・あいつの言う通りだ。あなた、留佳ちゃんね。入って。」
あとからきた女性は何者なのかどうして留佳を知っているのか、あいつとは誰なのかも分からずその人に着いていくしかはいれる方法なく、後をおっかけた。しばらく歩いて先へ進むと関係者エリアに入ったところで女性は口を開いた。
「留佳ちゃん。私は雷斗のマネージャーしてます、柚木といいます。うちの雷斗がすいません、いろいろご迷惑おかけしたみたいで。」
「・・・改めまして、五十嵐留佳です。・・・いや、そんなことありません。私の方こそ助けてもらってばかりで・・・。」
簡単に自己紹介してくれた、女の人は雷斗のマネージャーだった。歩きながら先へ行き話してくれる姿はとても大人びて見える。
「・・・留佳ちゃんは雷斗が好き?」
「・・・好きです。人としてすごく。」
「それはアイドルだからではなくて?」
分かっていそうな含み笑いで、聞き返してくる。当然の質問だろう。
「・・・はい。私アイドルなんて興味がなくて知らなかったんですよ?それなのにあいつに初めて会った時に一目惚れしちゃったんですよ。めちゃくちゃ優しくて。」
「・・・そう。じゃあ、雷斗に聞いた話とかわらないわね。この先に雷斗が居るわ。本当は合わせるわけには行かないんだけど、留佳ちゃんは嘘はついてないみたいだし、特別ね?」
きっとこれがゴリゴリのファンだったら、このマネージャーに通して貰えなかったんだろうな。
「・・・なんで分かったんですか?ファンではないって。」
「・・・だって、留佳ちゃんは雷斗の優しい姿しか知らないみたいだから?・・・この先にいる雷斗に会えばファンが見る雷斗の真相がわかるよ。行くよ。」
ファンでは入れない、関係者専用の特等席の前の扉の前で話していたマネージャーさんとともに扉の先に入ると熱気に負けそうになる。思わず顔を歪めた。ファンはこんな暑苦しいことするのか。留佳には考えられなかった。
しばらくするとマネージャーさんの言う通り雷斗がゲストとして出てきて、挨拶しているが、あの優しい塊のような雷斗ではなく、どこか違う。・・・毒舌で俺様でズバズバとした物言い・・・なるほど、これがファンの見る雷斗ということなのかと納得してした。だからマネージャーは聞いてすぐ分かったのか。こんな姿の雷斗を知らないる私を見て。
「・・・ね?分かったでしょ?あれが、ファンの見ている雷斗の姿。でも、さっき留佳ちゃんは優しさ塊のような雷斗しか知らなかったでしょ?」
「・・・はい。全然。今見て納得しました。面白いですね。」
「そうでしょ?ほら、雷斗の隣にいるあの彼は雷斗とグループ組んでいる二神蒼也って言うんだけど、今は優しそうでしょ?けど、彼は今の雷斗のような性格なのよ?」
雷斗達を見ながら、マネージャーさんが説明してくれている。私には初めて聞くことばかり。知ると面白くて仕方がない。
「・・・え、じゃあ、お互いの性格を演じてるってことですね。」
「そういう事。面白くて。あの二人が自分で決めてやってることなんだよ。」
説明してくれている彼女は「いつ見ても笑えてくるの」と、とても楽しそうに笑っている。確かにこれは面白い。
マネージャーと楽しくおしゃべりしたあと、彼らの楽屋へ案内してもらい、戻ってくる間もまだまだおしゃべりは尽きない。
「留佳ちゃんはさ、バイトとかしてる?」
「・・・してないです。」
いつの間にか雷斗達の話から留佳の話へと変わる。マネージャーさんのこともいろいろ聞いた。
「じゃあさ、うちでバイトしてみない?」
「・・・え?」
「・・・人足んなくてさ、探してんの留佳ちゃんみたいな子。お願い。雷斗を、思う存分眺めていいから。」
衝撃的なことを言われ固まった留佳。そこへ雷斗達が戻ってきた。
「留佳ちゃん、考えといてね?・・・で、雷斗この子はいい子だからいいけど、無闇に話しかけるなといってるでしょ。」
「そうだぞ、てめーが話しかけるからこんなのがほいほいついてくんだよ。」
「ちょっと!ほいほいって何よ!きたくて来たんじゃないわ!私あんたらのファンじゃない!ていうかアイドルなんて全く興味ない!」
つい、マネージャーさんの声に口を揃えて同意して答えた男、蒼也へ突っかかってしまった。
「・・・ふはっ!留佳・・・何、蒼也に突っかかってんだよ。」
「だって!私をそこらのファンと一緒にしてるし!ていうか、雷斗くんが私に話しかけたのが発端なんだからね!」
「・・・悪い、なんかつい話しかけちゃうんだよなぁー。でも、留佳に話しかけてからは話してないし、もう懲りたから大丈夫。」
雷斗はいたって呑気だ。アイドルと言う自覚はないのだろうか。
「これに懲りてしないってあんたねぇ。あの場所で何してたの。ファンの子がいたけど、あれは何?誤魔化して置いたんだけど。」
「・・・あぁ、あれね。なんか俺があそこにいるって噂になったらしい。あそこ行けば留佳に会えるかなって行ってたから。留佳に会いたくて。」
「・・・バカじゃねぇのか。アイドルが何してんだてめぇ!アイドルが、んな事言ってんじゃねぇよ。このドアホ!」
私の説教から、相方、蒼也の説教に変わった。毒舌でズバズバと指摘しまくり私なんかより説得力あると思う。それからマネージャーからも説教される。
こんなことは日女茶飯事なのだろう。アイドル飯島雷斗は俺様毒舌でも、本当の雷斗はとても心優しくて放っておけないお人好しなタイプ。そんな雷斗を叱る彼らも苦労しているはずだ。
あの運命的な出会いをしたとはいえ、私は少なくとも雷斗に一目惚れした。雷斗はどうだか分からないがアイドル雷斗とのギャップもみてさらに好きになったのも事実。そんな私がマネージャーさんの話を間に受けていいのか迷うところだけど、雷斗の近くに居れるならいたいと思う。
「…マネージャーさん、さっきの話受けてもいいですか?」
「…!いいわよ!大歓迎!明日からお願いできる?!」
「はい。いいですよ。」
私はマネージャーさんの話を受けることにして、詳しい話は明日するととりあえず『ここにきて』と渡された名刺を手に会場を後にして、今日のところは帰らせてもらうことに。
ちょうど帰る頃コンサートも終わったようなので友達と帰ることにした私は適当な理由で言った本の話をするのに近くの本屋で本を買い、友達に連絡してかえるのことになった。
相変わらず、友人たちはアイドルの話をしていたけど、前より耳が傾き、楽しく感じた。




