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どうも、私、人間のクズです。  作者: 藤原そら
3/3

始まり

「いらっしゃいませ〜!」

活気のいい声、おそらく高校生であろうアルバイターの目はキラキラ。

「お客様何名様ですか!」


「あ、いえ、面接に…。」冴えない顔した私に、高校生アルバイターの店員さんは「失礼しました!店長呼んでまいります、座ってお待ちください!」とペコリと頭を下げて駆けて行く。


「凄い神対応。若いのに素敵だな。」と心の中で関心した。


暫くすると、がたいの良い男性がまるで謙虚な王様のように足を広げて歩いてくる。

私の前に来るとニコッと笑って「こんにちは。」と挨拶をした。

「これがギャップか。」と改めて言葉の意味を理解させられる。



とある飲食店のアルバイト募集の用紙を見た時、すぐに電話をした。

きっと『仕事は楽しい!!!』という赤で縁取られた大きな黒い文字に惹かれたのだろう。



履歴書を1通り読んでくれた店長が私に向かって、目を見ずに「なんでこの街に来たの?」と聞いた。私は「いい所だなと思ったからです。」と答えた。

ここに来たのには理由が特にない。強いて言うならば比較的都心に近いし、家賃が安いからだ。

そんなことを1人で頭の中で考えていると、目だけ上を向いていた店長がペンをクルッと回し、「趣味は音楽って書いてあるけど、どんな音楽やるの?」と聞いてきた。

「ギターで弾き語りを。」と身を乗り出して言った。

そんな私に店長は「おお、そうだったのか。俺も昔は必死こいてやってたよ。懐かしい。」と続けた。

私は何だか店長が先生に見えてきて、ただただ身を乗り出したまま目を大きく見開いた。


「誰の曲聴いて練習したの?」という店長に、私は中学時代よく聴いていた歌手の名前をあげた。

店長は描画のパズルのピースをはめ変えたようにクシャッと笑って「いつから来れる?」と聞いてきた。

店長さんも同じ歌手が好きだったみたい。


お金がいち早く欲しかった私は「明後日っ!!とかっ…。」としゃっくりが止まらない時の喋り方みたいに拙い発声で伝えた。

その後に、採用してくれるんだ!と嬉しくなって「ありがとうございます。」と付け加えた。


店長はコクンと頷き、有線でかかっている曲を口ずさみながら裏へ。

暫くの間グルッと周りを見渡していた。いい香りが私のお腹の欲を増させていく。


「お待たせ〜。」とやっぱりギャップを感じさせる愉快な声の店長が、「事務所からOK出たので、明後日からよろしくね!」と椅子に座る。


音楽の話を30分近くし、働いていた人達に挨拶をして家路についた。


家の玄関を開けて「ふぅ。」と息を吐いた。

後に耐えられなかった表情筋がクッと上に上がった。

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