第一章 後編 小橋零
東京港……
ビシャッ!
コンテナの上に大量の血が飛び散った。そして希種はそのコンテナの上に倒れてしまった。
「はんちょー!倒しました!」
星水はコンテナの上から顔を覗かせてそう言った。そして倒したゾンビを小橋のいる下に放り投げた。すると小橋の足下に星水が倒したゾンビが落ちた。小橋はそのゾンビを見ると、首に綺麗な切れ込みが入っているのがよく分かった。
「アイツもよくやるな……」
小橋がボソッとそう言うと星水がコンテナから飛び降りてきた。星水は降りるとすぐに短剣を出した。
「サクッと倒しましたよ」
星水はそう言うと小橋の顔を見た。が、小橋は星水を見ていなかった。変わりに見ていたのはさっきまで星水が乗っかっていたコンテナだった。星水は謎に思いそのコンテナを見た。するとそのコンテナの側面に穴が空いているのが見えた。多分戦っている時に空いてしまったのだろう。
「星水と西原はここで待ってろ。ここの職員を呼んであのコンテナの中身が無事か確認してもらうから」
小橋はそう言うと走って行ってしまった。その間は星水はほぼ一人同然なので、星水は再びコンテナに乗っかった。が、今度はさっきのコンテナではない。星水は一番高く積まれているコンテナに乗ろうとどんどん上がっていった……
それからしばらくして下に小橋が管理の人を連れてきているのが見えた。なので星水は急いで下に降りた。
「見事にあけましたね」
小橋はそう言われると顔をその連れてきた人に向けなかった。係の人は仕方なく荷物が大丈夫か確認しようとコンテナを開けようとした。すると突然二人の職員がやって来た。
「その荷物をどうしようとしている?」
小橋はそう聞かれるとこう言った。
「穴を開けてしまったのでその確認をと……」
小橋がそう言うと一人の男性がコンテナに近付いた。そしてコンテナの扉を開けた。
「この中に不審物がある可能性が高い。俺達はそれを調べに来たんだ」
そう言うと二人の職員は懐中電灯を持って中に入っていった。そして一つのダンボールを中から取り出した。そしてきっちりと貼られているガムテープをカッターナイフを使って切り取り、箱を開けた。すると中からは発泡スチロールによって厳重に扱われている瓶が出てきた。
「なんだこれは?」
一人の男性がその瓶を持ち上げた。すると中に緑色の液体が入っているのが分かった。
「おい!こっちの白い紙に包まれているのはなんだ?」
そう言うともう一人の職員の男性がその紙を剥がし始めた。そして……
「なんだこれは?人の手か?」
男性はそう言うとその切断された腕を床においた。
「ちょっといいですか?」
そう言ってコンテナの中に入ってきたのは小橋だった。小橋はすぐにその腕を見るとゾンビのものだと分かった。
「これはゾンビの腕の可能性が高いです。ここからは我々の仕事です。ここから出てください」
小橋はそう言うと対策官だけが持つ手帳を見せた。そして、二人の職員をコンテナの中から出した。そして小橋はスマホを取り出し、警察を呼び出した……
10分後……
その現場に警察官が到着した。その現場には最初に鑑識の人間が足を踏み入れた。そしてその腕にゾンビ検査液を入れた。
ゾンビ検査液とはゾンビになる元となるゾンビ菌に反応する試薬であり、ゾンビ菌に反応すると透明だった液体がすぐに赤色に変わるものだった。
「赤色に変化したのであとは頼みますよ」
鑑識の人は小橋にそう言うと現場をあとにした。すると今度は小橋が別に呼んでいた対策4の研究員が現場に入った。
「また嫌らしい感じに切り取られてるね」
その研究員の女性はそう言うとゾンビの腕を眺めた。そしてその腕を四角いケースに入れると現場近くに停めていた専用車に入れた。
「一応これも調べてみるか……」
研究員はそう言うと緑色の液体が入っている瓶の箱を持ち上げた。そして車に乗り込むと小橋にこう言った。
「結果が出たら報告するよ。先に本部に戻ってるから」
その研究員はそう言うと行ってしまった。小橋は車が行ったのを見ると再び捜査に戻った。
一週間後……
「瓶の中に入っていた緑色の液体の正体が分かったよ!」
対策2専用室の扉が突然開くとそう聞こえた。すると小橋は急いで部屋の外に出た。
「蒔村、何だった?」
小橋にそう聞かれると蒔村は束になっている紙を小橋に渡すとこう言った。
「あの瓶からはゾンビ菌が大量に出てきたよ。全ての瓶を調べてたから時間がかかっちゃった。あとは資料を読んでね」
蒔村はそう言うと小橋から離れていった。多分彼女にはまだ色々と調べることが残っているのだろう。小橋がそう考えていると小橋の元に菊川がやって来た。
「東京港作戦についてまとめました」
菊川はそう言うと小橋に束になっている紙を渡した。すると小橋は菊川にその紙の束を返してこう言った。
「お疲れのところ悪いけど、この内容もその資料にまとめてくれないかな?」
小橋はそう言うと今さっき蒔村から受け取った紙の束を菊川に渡した。すると菊川は嫌がることもなくその紙を受け取った。
「明日には出来ると思うのでそれまでお待ちを……」
菊川はそう言うと部屋の中に入っていった。
「小橋!」
突然小橋は誰かに呼ばれた。なので後ろを見るとそこには宇土がいた。
「東京港作戦お疲れ」
宇土はそう言いながら小橋に近づいてきた。
「悪いけど今からその作戦の話を聞きたいから話してくれないかな?応接室ならとってあるから」
宇土はそう言うと小橋の答えを待った。すると小橋は宇土の顔を見てこう答えた。
「いいですよ!話したいこともありましたので……」
宇土はそれを聞くと小橋を第一応接室へと連れていった……
蒔村花純
准高研究官
武器……短剣
拳銃