第一章 前編 小橋零
今から90年前…… 奴等は突然現れた。当時の日本政府は何故ゾンビが現れたのか調査を開始したが、その理由は明かされないまま今日までいたっている。
「距離、100メートル。南西からの風」
双眼鏡を手に持っている女性がそう言うと、ライフルを持っている男性が引き金を引いた。その男性が放った弾丸は見事に100メートル先にいるゾンビの頭に当たった。
「菊川!当たったのか?」
そう聞いたのは班長である小橋零だった。小橋にそう聞かれると菊川は再び双眼鏡を覗いてこう言った。
「倒れています。当たりました!」
それを聞いて一番喜んでいたのは、そのゾンビに弾丸を当てた双葉ではなく小橋だった。それから小橋班はそのゾンビの亡骸を回収しにその場所に向かった。そしてそのゾンビの亡骸を見るとちょうど額の所から血が流れ出ていた。
「相変わらず双葉は凄いね!」
双葉は小橋にそう誉められても一切表情を変えなかった。別に小橋に誉めれるのが嫌と言うわけではない。ただ、双葉は普段からあまり感情を表さないタイプなのだ……
ゾンビ殲滅局対策2,E班専用席
小橋達はゾンビの亡骸を回収班に任せてから本局に戻っていた。この対策2の部屋にはA班~Z班までが存在しており、班と班の間は本棚等で区切られていた。なので、あまりに大きな声をだすとすぐに五月蝿いと文句がくるのだった……
「双葉、菊川!水瀬班と合同捜査に関する会議を行う。第五会議室に行くぞ!」
小橋はそう言うと二人の部下を連れて対策2と書かれた扉を開けて廊下に出た。
小橋率いるE班には部下が五人いる。その内の二人は既に会議室にいる為、今のところ待ち合わせ場所にいないのはこの三人だけだった……
第五会議室……
「遅れて悪い。水瀬二佐」
小橋はそう言ってドアを開けると席に座った。一応小橋は水瀬より歳上だ。なので階級が負けていようと敬語は使わなくても良いのだ。
「小橋三佐。遅刻ですよ。そんなに俺の事が怖いのですか?」
水瀬はそう言いながら手を顔に当てていた。小橋はもちろん、この場にいる全員が水瀬は中二病と言うことを知っていた為、見事にスルーした。しかし、小橋には水瀬の部下の桜庭が完全に呆れきっている姿を見ると、本当に大変なんだな~と思った。
「それでは今回の合同作戦の内容を説明をします」
そう言うと桜庭は部屋にある小さなホワイトボードをいくつか持ってきて、そこに何かを書き始めた。
「簡単に言いますと東京港に行きます……」
それから桜庭はホワイトボードに色々な説明を書きながら話していった。そして、その桜庭による説明が終わったのは開始してから20分後のことだった。
「要するに明日から一週間東京港のゾンビ殲滅にあたるということでいいのかな?」
「はい。そう言うことです」
小橋がそう聞くと桜庭はそう返した。しかし、何故この二班が東京港のゾンビを殲滅する任務に就いたのか…… それは元々東京港のゾンビ殲滅活動は一週間ごとに1つの班が行うものである。
……が、今回の場合は少し違っていた。何故なら前の週を担当していた九条班から希種と遭遇したとの情報が入ってきたのだ……が、本来ならば希種だろうと何だろうとその班が倒すことに変わりはない…… が、今回はその希種の数が五体を越えている為にこの二班にまわってきたのだ……
対策2,E班専用席……
その専用席では小橋の部下がとある話をしていた。
「そう言えば何で今回の作戦で私達の班が選ばれたのですか?」
そう聞いたのは今月に入局したばかりの新人、西原登だった。
「少年!そんな事知らないのか?」
「いえ…… その…… スミマセン」
西原は星水にそう言われるとつい謝ってしまった。すると、その話に菊川が入ってきた。
「じゃあ夏希は何でか分かるの?」
菊川がそう聞くと星水は自信満々にこう答えた。
「分からない!」
星水がそう自信満々に言うことのできる自信が何処からくるのか西原には分からなかったが、星水はヤバイ人だということは分かった……
小橋零
三等ゾンビ対策佐官
武器……刀
拳銃
短剣