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プロローグ

 その日唐突に、萩原明人の人生は幕を閉じた。


 少し時を遡る・・・・・・


 いつも通り、起床して顔を洗い歯を磨いて、今日も一日が始まったなーなんて考えながら朝食をとる。

横目でテレビを見ても、相変わらず殺人やら政治家の不手際など俺には関係ないことばかりが流れている。

と思っていたが実はそうでもないらしい。どうやら俺の住んでいる近辺で、動物などの変死体が見つかったようだ。


 世の中には何を考えているかわからないやつがいるな。

まあわかったところでどうしようもないんだけど。

別に頭のおかしい奴がいたとしても、そいつをどうにかしたいとも思わないし、こちらから関わらなきゃ大丈夫だろう。というか関わりたくない。


 なんて考えているといつの間にか次の番組に代わっていた。


 あれ?確かこの番組の開始時間って・・・・・・


 時計を確認すると、普段家を出る時間はとっくに過ぎていた。


 「やばい!遅刻する!」


 大急ぎで朝食の残りを口に詰め、荷物をまとめて家を出た。


 朝っぱらから走ることになるとは・・・。

こればっかりはボケっと考え事をしていた自分が悪いのだが。


 だけどこういう日って言うのは何かと不幸が続くものだ。

信号は全部赤、靴紐は切れるし頭には鳥のフンが落ちてくる。

どっかの主人公のように心の中で不幸だぁぁぁぁぁぁ、なんて言ってみる。

だが状況は一向に変わる気配もなく、不幸が続いていく。

道に迷ったおじいさんの案内をしたり、転んで怪我をしてしまった女の子を学校まで運んだり。


 もうこの時点で遅刻は確定である。


 良いことをした。とは思ってみるものの、やはり遅刻をした事実は変わらない。


 「はぁ~、3年間無遅刻無欠席で皆勤賞を狙えたのに。まぁ仕方ないか」


 ぶつぶつと呟きながら歩く俺の姿は、さながら不審者に見えただろう。


 そんなこんなでやっと学校が見えてきた。


 「今日は朝からどっと疲れたなー。睡眠学習を頑張るか」


 なんてな。俺はまじめだからそんなことしませんよー。

誰に言うわけでもない言い訳を自分の中で続ける。


 突然だが明人には友達がいない。いわゆるボッチだ。素行が悪いとか、見た目がいかついなんてこともない。

なぜかボッチなのだ。

友達がほしいと思ったことは何度思ったことか。そのためにいろんなことをしてきた。

勉強、スポーツ、人柄を。変えられることは変えてきた。

そのために努力もした。人に優しく、原因が自分にあると信じて。

だけど何も変わらなかった。

まるでそれが必然のように、運命がそうしているように。

と、こんな感じに明人は生粋のボッチである。


 そのため授業中に寝るとノートを貸してくれる人がいないので、困ったことになるのだ。

 

 今までの努力の結果、友達はいないものの勉強では学年で5位以内、スポーツでは陸上などで賞をもらうなど、その他もろもろ含めてハイスペックである。友達はいないが。大事なことなので(ry


 悲しい悲しい明人のボッチ人生はまだまだ続く・・・と思った矢先の出来事だった。


 ある光景が目に入る。上下を黒のジャージで身を包み、前髪とマスクで顔を隠している男がごみを捨てている。

放り投げられたごみ袋の口からなにか落ちたようだ。

遠目からはわかりづらかったが、黒いボールのようなものだ。

ごみを捨てた男は気が付いていないようで、そのまま来た道を戻っていく。


 「なんだあれ?」


 普段なら気にも留めない。ごみ捨て場ならよくある光景。

そのはずだった。だけどその時俺はそれが気になって仕方がなかった。

それが間違いだった。その物体を確かめるために足を進める。

次第にその物体の輪郭がはっきりし、それが何なのかを理解する。


 「・・・っ!」


 ドクン、ドクンと鼓動が早まる。


 「なん、だ、よ、どういうことだよっ」


 その物体は猫の頭部だった。

明人は今朝のニュースを思い出していた。ーーー○○町で動物の変死体が発見されました。警察は事件のーーー


 どんなアンラッキーだよっ!くそっ!

関わりたくないって思った矢先にこれかよ。


 ただ人でなかったことだけは不幸中の幸いだった。


 考えていても仕方がないと思い携帯を手に取る。

110と押す指が震えていることに気が付いた。

それは仕方のないことだろう。道を歩けば動物の轢死体を見ることはあるが、それはあくまで事故だ。

しかしこれは人為的に行われたこと。その事実は普通の高校生にしたら恐怖でしかなかった。

震えを何とか抑え、通話ボタンを押す。

数コールもしないうちに繋がった。

 

 「警察です。事件ですか、事故ですか?」


 「事件だと、思います。えっと、人間じゃなくて、猫の頭がごみ捨て場に・・・っ」


 ドンっ!


 衝撃が背中を伝う。

次第に背中が熱くなる。暖かいとかいうレベルじゃない。熱い!とにかく熱い!!


 「なんだっ、これっっ]


 「もしもし、どうしましたか?もしもし!」


 携帯から声が漏れている。


 何とか声を絞り出そうとすると


 「っ・・・ゴフッ」


 出たのは声ではなく血の塊だった。

もう何が起こっているのか理解できなかった。


 落ちた携帯を拾おうにも意識がかすんでいく。

俺が最後に見た光景は、血に沈む携帯を何者かが拾うところだった。


初作品です。温かい目で見守ってください

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