No7 転生者が降りた世界
ハハハハハハハハハハハh。
最近小説書くのに苦労しています。
読者の皆様に迷惑かけるかもしれませんが、次回の投稿も遅れるかもしれません。
では!
メリル工場第34階層、B34研究工場
山羊の男が戦闘の最中、口を開く。
「おかしいと思わないか?」
「何がだ」
男の言葉にウーネルは返答する。二人は戦いながら会話をする。
「このメリル工場だ。山一つ工場に変えるなど、正気の沙汰ではない」
「あいにく、冒険者は依頼者のことを詮索しないんでな。そういうところは気にしてねえんだわ、俺たち」
「愚かだ」
「ああ?」
山羊の男は苦笑する。
「とある国が異界の魂を召喚させ、この世界は変わってしまった。召喚された魂は新たな命に宿り、転生者と名乗り、世界を変えた。ときには勇者として、ときには賢者として、ときには王とまで昇った。
この世界の政治、経済、国と国との力関係まで彼らは破壊し、新たに創造した。
まさに、我々にとって神そのもだった。
だが、彼らは人間だった。人間であるかぎり歳を取り、寿命を潰えてしまう。
残った者は、半端な力を持った転生者の子や孫だけだった」
戦闘するウーネルと山羊の男の周囲から破損した機械が高く浮かび、弓矢のように二人に向かって飛んでくる。
破損機械を喰らい、ひるんだその隙を山羊の男は見逃さず、掌底の一撃が当たる。
「ぐおっ!」
苦痛を漏らすも、踏みとどまったウーネルは大剣を横なぎに振る。
しかし、その体験は山羊の男の右手の御本の指で挟まれ、止められる。
「この工場も転生者の恩恵を言えるだろう。もっともこれは工場と呼ぶべきものではないがね」
分かるか冒険者、と山羊の男は達観した顔で工場内を見渡す。
「これは『ダンジョン』だ。『セキュラー』の大量配備も千を超える機械と魔術式を支えるエネルギーも全て『ダンジョンコア』から供給されている」
「ふざけるな」
ウーネルは怒気を含んだ顔で睨む。
「『ダンジョン』を保有するには危険が伴うはずだ」
「だからこそ、冒険者ギルドが存在すると言いたのか。だったら答えが一つしかあるまい」
山羊の男はウーネルの大剣から手を離し、半歩後ろに下がる。
「メリルは『人工ダンジョン』の製造に成功した、ということだ」
『人工ダンジョン』の製造に成功。
冒険者ウーネルは目の前の男が何を言いたいのか理解したような気がした。
男がウーネルの考えていた通りに、言葉を紡ぐ。
「冒険者ギルドは『ダンジョン保有率』がギルド同士の力関係を示している。
現在、BM、燕之涙、緋刃南、タケミコの四つのギルドがその他のギルドと比べ、群を抜いて『ダンジョン保有率』が高い。
この工場の管理監督官の一人である、カルパル・デュオを始めとする研究員たちは、この試運転の後、『人工ダンジョン』の大量生産に踏み込み、ギルドに売るつもりだったのだろう。
そうすれば、ギルド同士の戦争に発展し、メリルの薬品も大量に売れる。
まさに、一石二鳥だ」
山羊の男は呆れて溜息をつく。
「それがどうだっていうんだ? 商売は儲けて何ぼだろ」
「物事の表面しか捉えれないのだな。まあ、そのような愚かさも冒険者には必要な素質なのだろう」
山羊の男は失笑する。
「分からないのだろう。
既にこの世界は破綻している。
半端な恩恵を持つものがその力を振るい、絶望という結末を与える。
過ぎた技術が与えるのは何も人類の進歩だけではない。人の手に余る技術は暴走し、やがて独り歩きしていく」
山羊の男は構える。男の拳からは紫電が奔る。
山羊の男の魔法は『制御魔法』。魔法で物を浮かせるにも破壊させるにも、行使する際には威力・効力に沿った魔力技術が必要になる。男は魔力の制御に特化し、その技術力をさらに魔法で強化することで人間以上の力を扱うことを可能にした。
魔法による魔力の技術力向上。その技術の伴った魔力は血管・神経まで効果を及ぼし、内蔵された魔力が行使者に顕在する。
男の『制御魔法』により強化され、紫電する拳がウーネルに襲う。
しかし。
「があぁ!!」
ウーネルの大剣は紫電する男の拳をもろともせずに、斬撃を与えた。
その余りにも強大な一撃に、山羊の男は何も言えずに陥落した。
「てめえの言ってることはなんとなく分かった。
だがな、俺たち冒険者は破滅的ともいえる状況を幾つも乗り越えてきた」
ドサッ、と音を立てて倒れた山羊の男を一瞥する。
「大体人間は、一つや二つ不幸があったほうが幸せなんだよ」
冒険者根性からの気合の一撃により侵入者一名撃破。
メリル工場侵入者、現在確認数、2名。
1名撃破、及び1名確認不能。
ところで、翡翠の少女の服は海軍の黒軍服(染めた)ものですが、その正体はかなら見地されているものです。
予想するのも面白いかもしれません。