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神さえも裁けない  作者: 筧 耕一
起承転結の起
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2 運命の出会い

 ジリリリリ! 目覚ましの音とともに髪のボサボサの青年が目を覚ました。この青年の名は、恵日影えにちえい高校2年生である。

『もう、朝かよ!』

 1階からは母親の呼び声を聞きながら俺はタンスから服を取り出す。タンスの中にはオシャレな格好とは言えないような平凡な服しかない。着替えをすませて1階に降りてみると、すでに母親は朝食の準備を終え、自分も食べるとすぐにパートに出かけて行った。

 俺は、テーブルに置いてある朝食を食べ、身支度を整えた後に走って学校に向かった。



 学校に着くと、校舎に貼ってある紙の近くに多くの人が集まっていた。

「ヨッ えい!」

 人ごみから出てきた男に声をかけられた。

『なんだよ。西森かよ』

 声をかけてきたのは、西森雄介にしもりゆうすけと言って、小学生からの付き合いの親友である。身長は俺よりも少し高く、髪型は昔から坊主でそれは今も変わらない。

「なんだよってヒデ〜よ。そういえばクラス分け見たか?」

 少し拗ねた様子だった。

 まだ見てない事を告げると西森は先にネタバレをした。どうやら俺と西森は同じ3組だったらしい。

 そんな馬鹿な。俺はかなりショックを受けた顔をすると、西森はヒドイと言って涙を流していた。俺は泣いている西森を無視し、クラス分けの紙を見にいった。

 正直、西森と一緒のクラスとなら運が良かったと安心する。

『3組…3組…あった。しかも西森も一緒に…』

 紙を見ると西森に聞いていた通りだった。まぁ知っている奴がそばに居ることは頼もしい事だけどな。そんな事を考えていると横から西森がニュッと出てきて、言った通りだろと威張っていた。

 それくらいで威張るなよ。 

「まあ、早く我が教室に行こうぜ」

 そうして俺達は人ごみを掻き分けて教室に向かった。


 

 西森とは別れて、自分の名前が書かれている席に着いた。

 辺りを見回しても周りの人はほとんど来ていなかった。しかし、隣の女の子はすでに席に座ってなにか本を読んでいた。

 肌は白く、髪は肩にかかるかどうかギリギリの長さで揃えられており、いかにも化粧してます。という事も無くナチュラルメイク? なのか普段からしていないのか分からないような感じであり、地味というか落ち着いているような感じで、本を読んでいるとまるで文学少女みたいな少女であった。

 何の本を読んでいるんだろう?

 ふとそんな事を考えていると視線に気づいたのか急に振り返ってきた。

 ヤバイ! 見ていたのがバレた。

 目をそらそうとすると、女の子が話しかけてきた。

「気になるの?」

『え?』

 なにか誤解されないように正直に言うか…。チラッと女の子の名札を見て名前を確認した。

 日向さんか…ひなたって読むのかな?

『あの〜…ひなた…さんは、何の本を読んでいるのですか?』

 すると、女の子はキョトンとしていた。

 ん? 俺はなにか変な事を言ってしまったのか?

 俺がそう戸惑っていると女の子は突然笑いだした。

「ぷっ、あははは。私は日向朝奈ひゅうが あさなだよ? ひなたって読むんじゃないよ?」

 彼女は笑っているので俺はどうすればいいか迷ったが、とりあえず自己紹介しておこうと考えた。口を開こうとすると、彼女が先に口を開いた。

恵日影えにち えい君でしょ?」

 俺はいきなり名前を言い当てられたので驚いた。もしかして俺は有名だった? などと考えていたが予想外な返答がきた。

「名札にそう書いてあるからね。宜しく……あれ? 名前違った?」

 確かに書いてあるけど…色々想像して焦ったぜ。

『合ってるよ。まあ、これから宜しくね。…ひゅー…が…さん』

 すると日向さんは少し微笑み、苦笑いをしていた。

「あ! でもさっきの面白かったからアレでも良いよ?」

 日向ひゅうがさんは先ほどの苦笑いを止めて、今度は笑いをこらえている顔で言ってきた。

 俺は、なんのこっちゃって感じでいると、それに気づいたのか日向さんはヒナタって呼んでも良いと言った。

『あ! それって、俺をバカにしてるでしょ?』

 日向さんは、俺が機嫌を損ねたように見えてしまったのか、慌ててフォローしてきた。

「そんな事ないよ…日向って名字が好きじゃないから…名字以外で呼ばれたかったの。私は影君って呼ぶね」

 日向 と言う言葉を口にした時に少し嫌そうな顔をしていたので、本当に嫌なのだろう。

『分かったよ。宜しく。ヒナタ』

「宜しく。えい君」



 この時は気付かなかったが、これが俺の運命の女との初めての出会いだった。


プロローグと全然違うじゃん!! と思うでしょうが、あれはいつか未来の話のつもりです。

 伏線好きなもので……


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