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神さえも裁けない  作者: 筧 耕一
起承転結の起
11/59

亜紀の接近

 数学の授業が終わり、私が影君に話かけようとすると……

恵日えにち君って凄い頭良いんだね」

 同じクラスの一人の女子がえい君に話しかけた。

 影君は読んでいた本を少し止めて、その女子を見た。


 あっ あの人はまだ名前覚えてないけど、成績がかなり優秀な人だったはず。そんな人が影君になんの用だろう?

 私は影君達の話を盗み聞きする為に、教科書を読んでいるフリをした。

『あなた……どなた?』


 おい おい 影君 いきなりそれは失礼だよ。 私も名前忘れたけどさ。

「私は真田亜紀さなだあきさっきの数学の時間、恵日君が凄かったから…私…頭の良い人好きなんだよね」


 えぇ~ 真田さなださん、いきなり影君に好きとか言ってるし。あ! でも真田さん結構美人だ。頭良くて美人ってイヤミだよ。影君も真田さんみたいな人に惚れちゃうよね。

 すると、影は……

『僕は頭良くないよ』

「でも、さっきの数学の時間は凄かったよ」

『僕は数学だけは得意だから』

恵日えにち君は前回の数学のテストは何点だったの?」

 真田さんは負けずに聞いた。

 今の台詞はただの謙遜としか思わなかったのだろう。それとは別に確かに私も影君の個人情報は気になる。

『78点だった』

「その点数は嘘でしょ? あの問題をすぐに解いた人が、そんなに点数低いわけないじゃない!」


 78点で低いのかい! 真田さん凄すぎ! 私なんか60点でも満足なのに。


『それでも、本当の事だよ』

 影君は静かに答えた。私は真田さんと影君が仲良く話しているのを聞き、悲しい気分になってきた。

朝奈あさな~……ってなんでしょんぼりしてんの!」

 見上げると、美波みなみが居た。

『別に……なんでもないよ』

 影君達が仲良さそうに話していたから、なんて影君が近くに居るのに言えないよ。私が黙っていると……

「分かった! どうせ朝奈の事だから、教科書の問題を解けなくて泣いていたんだな?」


 違うよ~ 確かに教科書持ってるけど、これはダミーだよ。今の絶対に影君に聞かれたよ 美波のバカ~

『ち、ちが…』

 ふと、なにやら嫌な視線に気づきて美波の後ろを見ると、真田さんが見下したような目をしてこっち……というか私を見ていた。

「じゃあまたね。恵日君」

 私を見るのに飽きたのか影君に別れを告げ、真田さんは自分の席に戻っていった。今度は美波が影君の席に行った。

「ちょっと影君! さっきの数学の時間凄かったから、このおバカな朝奈に数学教えてあげて?」


 ちょっと、ちょっと美波なに言ってんの! ちょっと嬉しい気持ちもあるけど…

『美波~! それは影君に迷惑だよ』

「なに言ってんの! 教科書見ながら悲しそうな顔していたくせに」

『違うよ~』

「とにかく影君! 放課後、朝奈に勉強教えてやって」

 美波は強引に頼み込んだ。


 えぇ~ 毎日放課後に影君と二人っきりで勉強なんて出来ないよぉ。と、私が少し想像していると……

『ごめん。放課後は無理なんだ』

 私は理想と現実は違い、ちょっとがっかりした。

「いつなら、大丈夫?」

 美波はさらに聞いた。

 

 ちょっとグイグイ行き過ぎだって~ 美波~

 私は目で訴えるが、美波は気づかない。

『いろいろ用事があって……ごめん』

 影君が、申し訳なさそうに詫びた。

『こっちこそ、ごめんね』

 私も謝った。


 その時、西森君が影君の机に来た。

「なあ兄弟! さっきの数学凄かったぞ」

『もう、その話はいいよ』

 影君はうんざりしている様子だった。

「そろそろテスト近いだろ? テスト勉強会しようぜ! 美波ちゃん達も来る?」

 美波が即OKした為、私達はその勉強会に参加することにした。 影君はテスト前々日の勉強会にしか参加しないらしいが、西森君はその理由を知っているらしくなにも聞かなかった。

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