昔の僕と今の僕
ちょこっとあっちけいです。
お嫌いな人はご遠慮ください。
どこかでだれかが打たれる音がした。
火薬の匂いが鼻につく。
「起きろ、朔! 死ぬぞ!」
仮眠をとっていた僕は、目を覚ました。
「さっさと武器を持て! もたもたしてるとおいて行くぞ!」
「はい! 大佐!」
僕は急いで拳銃を持つと、中を抜いて玉を確認した。
シリンダ式の銃は持つと手にしっくりくる。
「危ない!!」
装備を確認しているときに飛んで来た敵の砲弾。
僕が最後に見たのは大佐の驚いた顔だった。
そして、僕はいつもそこで目を覚ます。
「あーあ、またこの夢か」
目を覚まして、着替えて、顔を洗って、パンを食べて、歯を磨いて、家を出た。
「おはよう、朔。ぼけっとしてると車にしかれるぞ」
「あ、おはようございます。大佐」
僕がそういうと彼は訝しげな顔をした。
「またそれか。大体大佐ってなんだ? 俺は一高校生だけど?」
夢に出て来た大佐が彼にそっくりなのだ。
だから時々夢とごちゃごちゃになって彼を大佐と読んでしまうのだ。
「まあ、大佐って軍の階級的には上の方だから嫌な気はしないけどさ」
彼の名前は片瀬信吾。僕の高校の同級生であり、前世からの付き合いだ。
夢を、僕は前世だと考えている。
「・・・なあ、朔。今日の放課後、デートしねえ?」
「はあ?! デートって僕たち男同士だよ?!」
「・・・冗談だ。ちょっとつきあってほしいところがあるんだよ」
心臓がばくばくいって信吾を直視できない。
「あ、ああ。いいよ」
それだけ帰すのが精一杯だった。
放課後、僕と信吾は・・・カフェに来ていた。
「なんで、カフェ?」
「パフェ食べたかったから」
何でも男一人で入るのには勇気がいったそうだ。
男同士で来ても大差ない気がするけど。
「さあ、いくぞ」
どうやらまだ行く場所があったようだ。
「ここは?」
そこは古びた建物で、そこらが薄汚れている。
「博物館。っていうと展示館みたいな」
信吾はすたすたと中に入って行く。
そして、一つの硝子ケースの前で止まった。
「これ、わかるか?」
「これ・・・」
中に入っていたのが拳銃だ。
「僕の・・・」
「そう、あのとき、敵の砲弾で吹き飛んだお前の唯一の遺品だ」
驚いて信吾を振り返ると、信吾は笑っていた。
「正直、驚いたよ。まさか、お前まで記憶を持っていたなんて。言わないでおこうかとも思ってたんだけどお前があんまりしつこいもんだから」
僕が何も言えずに黙っていると、信吾はため息をついた。
「あの後、この銃をもって帰った俺は、残るように保管してから命を断った。お前のいない人生で生きる意味などないと思ったから」
「信吾・・・」
「今度はともに生きよう。もう、争いは終わった。平和な世界で平和に暮らせる」
僕はいつまでも泣き止まないで信吾を困らせてしまった。
何日かしてから信吾は僕にぬいぐるみを買って来た。
何故かと聞くと
「昔は可愛いものなんてかえなかっただろ? 今しかできない事をしようと思ってさ」
僕は男なんだけどと思ったけれど、まあいいかと何も言わなかった。
これからは平和に静かに生きよう。
命をなくす、悲しい戦いはもう終わったのだから。
なんだか、訳の分からない感じになりました。
ご気分を害されない程度に読んでいただければ光栄です。