図書館(1)
「聞いてくれ美琴、なんと火の玉シリーズを知ってる奴がいたんだよ。いやこれはびっくりだね。そんで速攻喋りかけてさーもう友好を深めてきたぜ」
「なんだか過去が美化されてる気がしますが……」
「へえ~あの変態の兄とブラコンの妹のやつだよね。あれ読んでるって変わってるなあ、なんていう娘?」
「ああ、聞いたことあるか?青井 由衣ってやつ」
「ん?知らないなあ有名人なの?」
「いやそうでもないけど……」
噂に疎い美琴だし、知らないのも無理ないか。
「また食堂で出会ったら紹介しますよ」
「そだねー、と授業始まるよー」
そう言うと同時に始業のベルがなった。
しかし、美琴と青井を会わせたら十中八九青井さん大ピンチだけどいいのだろうか?いや絶対ダメだな、どうカバーしていこう。
「えー今日は授業の前に報告がある。明後日の校外学習のことだが」
HRで言えよ、なんで授業をブッチして校外学習の話なんだよ。
校外学習はこの学校は馬鹿みたいに力を入れていて、なんと月に一回行われる。
「なんとまだ班決めをしていなかった。校則によると今月の校外学習に限り班決めは生徒の自由らしい。明日の放課後までに5人の班を決めておくこと、以上だ。それでは教科書……」
班決めか、この高校は全校生徒揃って校外学習を行うので一応は他学年と班になることも許されている。
「まあ大抵しないけど、となると班は……」
友達の多いほうじゃないし、結構限られている。
美琴と都丸を誘ってあと二人か、どうしようかな。あと仲のいい奴がいるわけでもないし、まあそこらへんはあと二人は人気者だし任せるか。