廊下(1)
「お、放課後反復横跳びの茂君じゃないか」
「嫌な言い方はよせよ理会、ていうかなんで知ってるんだよ」
白梅 理会
ひとつ年上の高校3年生。
腹黒で情報屋。こいつに知らないことなんて大宇宙の真理を含めても無いに違いない。
つまりこいつになんで知っているなんて疑問は正直意味をなさないのだ。
なんでも最近もはや伝説となった二人の不良「ゴミ拾い(リサイクル)と「殴打主義」のうち殴打主義のほうの正体をつきとめたらしい。
ちなみにこの厨二全開な名前をつけたのは当時の僕である。
「今ラインではそのことが話題になってるぜ?みんな放課後グラウンドか職員室に集まる予定だ」
「最低だな!」
「ちゃんと灰皿先生の許可もとってあるから心配はいらない」
「なんで許可が降りるんだよ!」
灰皿 猪狩
僕らの数学の教師及び担任。
付いたあだ名は「教師失格」
「ところで私たちは食堂に向かうところなのですが、白梅くんももしよければ一緒に昼食をいかがですか?」
「ん?悪いな黒木、俺は委員長の仕事があるからな。それと今から取引もあるから忙しいんだ」
「そうですか残念です」
さほど残念でもなさそうだな。
こいつも表情が顔に出ない上に敬語使ってるから全く心情がわからない。
「こっちからは読めたりして」
「まじか!」
驚いた、読心術か?
さすがは万能人間。
「つか、取引ってなんだよ、お前仕事でもしてんのか?」
「いや趣味の領域だ。今日は弱みを握った奴らへの脅迫が3件と、美琴の写真集の注文が2件だな。うまくいったら明日はなんか奢ってやるよ」
「まてまてまて、今さらっと僕らの友達の写真が売買されているという発言を聞いた気がするんだが!?」
あいつ人気あるからなあ。
そのくせ無防備すぎる、教室で着替えとか普通にするし。
「ああ心配するなR18じゃない方だ」
「まるでR18の方があるみたいな言い方を!」
「高いぜ?」
「買わねえよ!!」
流石にね。
いくら高校2年生、思春期でも幼馴染の写真集を買おうとは思わない。
「大上くんはいつも見てますしねー」
「えっR18の方をか?」
「都丸!誤解のある発言をやめろ!」
してねえよ、友達関係が崩れるような発言はやめてくれ。
「まあR15くらいはしてるんじゃねえか?」
「R15ってなんだよ」
難しいところだな。
そこらへんの線引きは業界でも大変なところじゃないのか?
「具体的にはノーブラTシャツやスク水、及び肩を揉む等がR15指定だ」
「し、してねえよ」
どもった。
「もししているのならその写真を売ってくれ。一枚5万で引き取ろう」
「えらく高いな、お前美琴ファンなのか?」
少し意外だな、異性に興味なさそうなのに。
「いや、俺ならそれを1枚10万で売れる」
最低な思想だった。
「そろそろいきましょうか茂くん、時間がなくなってしまいます」
「ん、ああそうだな。じゃあまたな理会」
「ああ、1枚7万でもいいぞ?」
「売らねえよ!」