教室(1)
「茂~、お~い!」
僕を起こしたのは明るい綺麗な声だった。
「ん?美琴か、どうした?」
ん?なんだ?このクスクス声は、ていうか今は確か授業中で
……あークラスの全員がこっちをみてる。
「授業中だよー茂、寝てちゃダメだってー」
いや寝てた僕が悪いんだけど、でもこの状況を作ったのは。
美琴め。
「大きな声で起こすなよ!バレるだろ!」
「少なくとも今まで先生は気づいてなかったのにね」
うっ、しまったつい大声で突っ込んでしまった。
亜海美琴
小さいころからの幼馴染で、活発で陽気、クォーターで髪の毛は綺麗な金髪。
あんまりに騒ぎすぎるところが玉に瑕だ。
まあそれは置いといて
「授業中なのに叫びすぎだよ先生こっちみてるよ~あーあー怒られるー。どうすんのさー」
「まずいな、ここは僕の見せ場だぜ」
「と、言いますと?」
任せろと言って不敵な笑みを浮かべる。
「大上バレるとはどういうことだ?」
先生が問い詰める。
「いや亜海さんの横の子がさっきまで寝ていたんです。それを大きな声で起こすから僕が大きな声で起こすなと言ったわけです」
「貴様罪を擦り付けるつもりか!?」
すまない亜海の横の人。仕方ないことなんだ……たぶん。
「なるほどつまり悪いのはこいつの方だということか」
「その通りです先生」
「ところで亜海は茂~と言っていたが?」
「美琴!お前が起こしてたのバレてるじゃねえか!」
「え!?嘘嘘、だって先生にだけは聞こえないようにしたもん!」
「やはり寝ていたか」
……。
カマかけられた!
「というか亜海の横の藤沢はさっきまで黒板に答え書きに来てたんだから寝てるわけねえんだよ。もっとちゃんと誤魔化せ」
「先生、それは教師の言葉ではありません」
「うるせえなあ、こちとらニコチン切れてイライラしてんだよ。てめえ罰則。放課後職員室で反復横跳び100回」
「屈辱的だ!」
そして理不尽だ!
「仕方ないよねえ茂が寝てたのが悪いよ」
「それと亜海も喋りすぎだ。放課後グラウンドの中心で愛を叫べ」
「そりゃないよ先生!ていうか愛をさけぶって何!?抽象的すぎて分かんないよ!!」
そんなことを言っているうちにチャイムが鳴った。
「じゃあ宿題はちゃんとする、もしくはバレないようにサボるように、じゃあ起立」
ありがとうございました、と生徒が揃って談笑をはじめる。
今日はついてないなあ。