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ゴスロリ貧乏貴族は天才発明家(男の娘)!? ~働きたくないので魔道具を作ったら、いつの間にか国家経済を支配していました~  作者: 星島新吾
第二章:王都シラクーザ編

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49/80

おバカ貴族と犯罪シンジケート結成

外連味というか、中二病と言うか。

そういうのを沢山摂取したい方、コチラへ。

「さあ、商談といこうか」


 カサルの言葉が引き金だった。

 静まり返っていたサロンが、一瞬にして熱狂の坩堝(るつぼ)と化す。


「素晴らしい! 金貨一万枚だ! その理論、私に買わせてくれ!」


「はした金で独占する気か!? 私は西地区の病院を丸ごと提供しよう! 設備は最高だぞ!」


「私は処刑場の管理官だ! 新鮮な『材料』なら、正規ルートを通さず横流しできる!」


 我先にと群がる狂人たち。

 彼らは理解してしまったのだ。目の前の少年が持っているのは、単なる新説ではない。

 魔導医学の歴史をひっくり返す、禁断の「革命」であると。


 地下室の空気が、ドロリと重くなるのを肌で感じた。

 それは知識欲という皮をかぶった、剥き出しの欲望の熱気。

 その歴史の証人になりたい。あわよくば、その甘い汁を啜りたい。


 充血した眼球、飛び散る唾、歪んだ笑顔。

 カサルの視界を、醜くも純粋な人間の業が埋め尽くしていく。


(……どいつもこいつも、飢えた野良犬のようだな。よかろう、その欲求を満たしてやる)


 カサルは仮面の奥で微笑を浮かべ、パンッ、と乾いた音を立てて手を叩いた。

 瞬間、世界が生静止する。


「勘違いするな、必要なのはそれだけじゃない」


 水を打ったような静寂。


 全員の視線が、タクトを振るう指揮者を見るようにカサルに集中した。

 カサルはグラスを傾け、傲然(ごうぜん)と言い放つ。

 揺れる赤ワインが、まるで彼らの血のように照明を反射し、妖しく(きら)めいた。


「我々に必要なものは、そんなありふれたものではないはずだ」


 静謐(せいひつ)に響く声が、彼らの鼓膜を震わせる。

 そう、彼らは決して金や権力のために研究を続けていたわけではなかった。

 知りたいという純粋な渇望、そして何より求めたのは──それを共有できる「同類」の存在だ。


「必要なのは『共犯者』である自覚と、『鉄の掟』だ」


 カサルはウィリアム、ジェーン、そして数人の有能そうな貴族を指差した。


「我々の研究は、神への冒涜だ。教会に見つかれば火炙りは免れん。

 それでも尚、(オレ)と共に深淵を覗きたいという『命知らず』だけが、この船に乗れ」


 ゴクリ、と誰かが唾を飲む音が響く。

 恐怖と、背徳的な興奮。

 数秒の沈黙の後──、一人の貴族が震える手で自身のマスクを外した。


「……乗りましょう。地獄の底まで」


 それを皮切りに、次々と仮面やマスクが床に落とされる。

 素顔を晒すことは、退路を断つこと。

 もはや商談ではない。これは誓いであり、儀式の場でもあった。


 ここに悪魔を召喚する、冒涜的なミサだ。

 そしてその中心にいたのは紛れもなく、悪魔(カサル)だった。

 客の全員が仮面を取り、ウィリアムも素顔を晒して膝をついた。


 リヒャルトラインもまた、無言で狐の面を外し、主の背後に控える。

 その瞳は、これから始まる賭けを楽しむように細められていた。


 全員の視線が、最後に残った「烏の仮面」の少年に注がれる。

 彼にとってこの仮面は、これまでの人生全ての重みがあった。


(……人生を懸けた博打だな)


 カサルは小さく溜息をつくと、仮面の留め具に白魚のような指をかけた。

 カチリ、と小さな音が、静まり返ったサロンに響く。

 

 時が歪み、永遠のように引き延ばされた刹那に、

 誰もが呼吸を忘れ、その「正体」を見届けようと目を凝らす。

 そして黒い仮面は外され、テーブルに置かれた。


 その瞬間──。


 ふわりと解き放たれた黄金の髪が、蝋燭の灯りを受けて輝いた。

 露わになったのは、陶器のように白い肌と、夜の闇をも射抜くアメジストの瞳。

 それは、この薄汚い地下室には似つかわしくない、神々しいまでの「美」の顕現だった。


 腐臭と薬品の臭いが充満するこの場所で、彼だけが別世界の住人のように潔癖で、高潔で、そして何よりも美しい。


「……あぁ……」


 誰かが、ため息のような声を漏らす。

 その顔には見覚えがあった。かつて社交界で噂された、伝説の神童。


「ヴェズィラーザム家の……」


「カサル・ヴェズィラーザム様だ……」


 ざわめきが波紋のように広がる。


「あの神童の……?」


「彼は事故で才を失ったと聞いていたが……虚偽の情報だったのか」


「そうか、あの最年少魔法使い……だから異端核にこれほど詳しいのか!!」


 ここに全てのピースが集まった。

 目の前にいるのは、ただの変人ではない。

 神に愛され、そして神を欺いた、本物の「天才」なのだと全員が理解した。


 畏怖と崇拝。


 カサルに向けられる視線の質が、「値踏み」から「信仰」へと変質するのを肌で感じる。

 心地のよい重圧だった。


 カサルは優雅に髪をかき上げ、慈悲深く圧倒的な支配者の瞳で彼らを見下す。


(オレ)の名は知っての通りだ。……改めて問おう。

 この耽美(たんび)で冒涜的な計画に、命を懸ける覚悟はあるか?」


「「「仰せのままに(アズユーウィッシュ)!!」」」


 カルトじみた熱狂が、地下室を震わせた。

 カサルは満足げに頷き、赤ワインを掲げる。


「今宵、ここに新たな『同盟』を結ぶ。

 名付けて──『死装束機関(シュラウド)』。

 深淵に生き、深淵を歩く、敬虔なる死の巡礼者どもよ。(オレ)の手を取るがいい」


 グラスが触れ合う音が、高らかに響き渡った。

 それは王都の地下に、最悪で最強のシンジケートが誕生した瞬間だった。


遂に動き出した死装束機関シュラウド

彼らは主に研究やそのパトロンとして動く予定です。


そしてココで第二章前半終了です。


更にココからは後半戦、マリエの手術を開始するため、

エルドラゴの経済圏が王都シラクーザの死装束機関と合わさり、更に巨大化していきます。

第二章で登場したタヌキはもちろん、皆さんお忘れかも知れませんが、メディシスと言う女性も活躍します。

そして後半最後には、遂にたった一人の少女の夢を叶えるために、カサルは歴史に名を遺す大偉業に挑みます。

怒涛の展開が続くかと思いますが、丁寧にこれからも作品を作って行こうと思います!!

よろしくお願いいたします。(=゜ω゜)ノ



リアクションされると喜びます。

それではまた、次のお話でお会いしましょう。(´・ω・)ノシ

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