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episode1 『黎魔の華』

横浜の街には、さまざまな勢力の裏の者たちが集う。その中でも、特段横浜で幅を利かせているのは、中国系マフィアの黎蓮会。


その名は横浜で知らない者はいない。

そしてもう1つ________



その黎蓮会には1つの噂がある。



【黎魔の華】



『黎魔の華と呼ばれる女には関わるな』


『彼女を一目見たら老若男女問わず魅了される』


『彼女に出逢ったら最後、全てが崩壊する』



『黎蓮会の裏のボス』



など噂は広まれば広まるほどいつも尾ひれをつけて広がっていく。誰もが彼女の噂を知っているが、実際の姿を見たことない。


***


朝の暖かい春の日差しその“噂の中心”である夏華シアファは目が覚める。


夏華シアファがベッドの隣を見ると

隣にいるはずの夫_

レイ凌雅リンガの姿がない。しかし、その代わりにとてもいい匂いがリビングの方の引き戸からする。


ゆっくりリビングに歩いていく夏華。


食卓には美味しそうなご飯が並ぶ。

夏華に気付いた凌雅は夏華に声をかける。



「おはよう、シア


裏社会のトップとは思えない優しく、温かい表情で夏華を見つめる。


夏華はスマホを出して文字を打ち込む。

全て打ち終えると機械の声が代わりに口を開く。



『おはよう、お兄ちゃん』



「もうすぐ…ご飯できるから座っててな」



『わかった』



夏華は座ってご飯を待つ。

大好きな凌雅の作るご飯。凌雅は昔から料理上手で、よく夏華にご飯を振舞っていた。


(…でも、あの事があってから…私が食べれなくなって…お兄ちゃんに迷惑かけちゃったんだよな)


夏華は、凌雅の後ろ姿を申し訳なさそうに見つめる。

すると、目の前に並べられる茶色い食べ物達。


「さぁ、食べよう。シア



【いただきます】



夏華は口パクでいう。

小鉢に4種類のおかずが入っている。

合わせても一人前にも満たない私の食事。

ほとんどの食事が凌雅のもとにある。



【ごちそうさま】



食べ終わって口パクでいう。

なんとか頑張って完食した夏華。

それを見て、凌雅はホッと安心する。



「…少し量が多いかなと思ったけど…食べれたねシア



その言葉を聞いて、夏華はスマホを手に取り文字を打つ。



『お兄ちゃんのご飯が美味しいからだよ』



一瞬、凌雅の顔を曇らせたがいつもの優しい表情に戻る。



「ははっ、ありがとうシア



夏華はスマホ文字を打つ。



『お兄ちゃん、食器は私が洗うね』



「お、本当?ありがとう。よろしく〜」



食器を下げ、ご機嫌に洗い物をする夏華。

それを凌雅がリビングのソファから、どこか寂しそうに見つめていた。



【お兄ちゃんのご飯が美味しいから…】



にこやかに答えられた言葉。

そのことを考えていると瞼が重くなる。


「いい加減にしろよ!シア!?」


__ シアは悪くねぇんだ!



「_____お兄ちゃん…待っ」



場面は変わり、トイレでしゃがみ込み、俺の方を向いて震えながら土下座をするシアの姿。




_____謝んなくていいから…。




悪いのは俺なんだから…。




トントン。



「ッ!!?」



誰かに肩を優しく叩かれて目が覚める。

目の前に先ほどまで洗い物をしていた夏華の姿あった。



(どうやら眠ってしまったらしい。)



『…お兄ちゃん大丈夫?うなされてたけど…』



嫌というほど聞いた機械の声。

それでも心配そうに凌雅を見つめる夏華。


凌雅は夏華の腕を引き、自分の胸元に夏華を収めた。

胸の中で困惑してる夏華をみて、愛おしそうに笑う。



「大丈夫だよ。シア



『大丈夫』それはまるで自分に言い聞かせるように

凌雅は夏華を抱く腕を少し強める。


しばらくして、凌雅は家に出る準備を始める。

夏華は準備をする凌雅の邪魔にならないようにソファでテレビを見る。



「なぁ…シア



凌雅に声をかけられ、凌雅の方を見る夏華。

凌雅は身だしなみを整えた後、コレクションの腕時計を手につけながら優しく問う。



「今日良い天気だし、外出てたりする?」



それを聞いて夏華は少し考える。

そしてスマホで文字を入力する。



『お散歩しようかな〜とは思ってたよ』



「うん、気をつけてね。知らない人にはついていっちゃダメだよ。あと、適度に休憩して…」



『私…もう22だよお兄ちゃん(笑)』


声は出ないがクスクスと笑う夏華。

その様子を見て「そう…だよな」とつられて笑う凌雅。


「んじゃ、いってきます」


凌雅は夏華の頭をポンポンと軽く叩く。


『いってらっしゃい、お兄ちゃん』


玄関の方へ姿を消す凌雅。

夏華は静かに見送った。


***


《今日はシアが散歩をするらしいから〜トラブルに巻き込まれないよう、そしてバレないように護衛よろしく〜》


黎蓮会のアジトのお店に向かう車の中。

凌雅は夏華の護衛担当に指示を出す。

返信はすぐに帰ってきた。



《承知しました》



***


夏華は身支度を整え、必要なものを物の確認をする。



【よし!完璧】



鍵とお財布と携帯を持って外に出た。



商店街にて____


「あら、なっちゃんじゃないの!?この間はうちのばあちゃんを助けてくれてありがとうね」



お気に入りのパン屋さんに足を運ぶと、パン屋の奥さんが夏華を見るや否や駆け寄り声をかける。

夏華はスマホを打ち話す。



『花音さん!!いえいえ、花綾さん、あのあと大丈夫でした?』



「おばあちゃん、心筋梗塞で緊急入院になったけどなっちゃんが早く気づいて病院に連れていってくれたから、最近退院したんだよ」


『本当ですか!!!良かった〜』


安心するように笑う夏華。

それをみて花音ももう一度頭を下げる。



「お母さんが無事なのもなっちゃんのおかげよ。本当にありがとう!それでなっちゃんのために____ちょっと待っててね」



パン屋の奥さんは夏華が持ってるお盆をとって

パタパタと奥に行ってしまった。

夏華は状況が読めずただ茫然と立っていた。

しばらくすると紙袋を持って奥さんが出てきた。



「はい!これ」



渡された紙袋には焼きたてのパンがたくさん入っていた。


『えっ…こんなに買えないですよ』



焦る夏華をみて、奥さんはアハハと笑う。


「お礼だからお金はいらないよ!」



『え…でも…』



申し訳ないと悩む夏華。



「本当いいから!持ってって!じゃないとお母さんがなっちゃんの家に行って、延々とパンやらお菓子やらを作りにいくって聞かないんだ」



「!!!!?」



少し呆れながらパン屋の奥さんが教えてくれたことに夏華はカチンッと体を硬くする。


花綾さんは元パティシエ兼このバン屋の創設者。

とても美味しいが、無限に近い量のパンやお菓子は少食の夏華にとっては地獄。


そして何より…黎蓮会のトップである夫の存在。

マフィアの巣窟に一般人を入れるとなると…

流石に夏華も気が引ける。


困惑している夏華をみて、奥さんは苦笑いをしながら話す。


「なっちゃんが困っちゃうからって私言ったの!それでもお礼したいって聞かなくて、焼きたてパンとお母さんが焼いたクッキーで手を打ってもらったのよ!だからお願い!!持っていってじゃないとお母さんが暴走しちゃう」



『…わかりました』



結局折れてパンを持って帰ることになった夏華は、外に出てゆっくりと家に帰ろうとする。


しかし道中、凌雅御用達の八百屋とお肉屋さん、魚屋さんに声をかけられて夏華の両手が塞がってしまった。


(疲れたー)


公園で休憩がてらサンドイッチを一つ食べる。

春の優しい日差しと静かな海に癒されながら食べる。


(ふぅ、お腹いっぱい。残りは明日食べよう)



ぼーッと日向ぼっこする。

ウトウト眠くなっていると後ろから声をかけられた。



「あれ?シア



目を開けて見上げればそこには黎 凌雅の姿があった。



【…お兄ちゃん】



どうしてここに彼がいるのかはわからない。

でも後ろにボディーガードがいるので多分仕事で近くにいたのだろうと推測する夏華。


凌雅は夏華の周りある荷物を見て、疲れて休憩してたら眠ってしまったのだろうと考え、チラッと夏華の護衛の人たちを睨む。


それに気付いた護衛達は顔を真っ青にする。

凌雅はそれを見ずに疲れてる夏華に優しく声をかける。


シア、この荷物運ぶの大変だろう?俺、車だから家まで送るよ」



すると首を小さく縦に頷く夏華。

凌雅は周りの部下に荷物を持つように伝え、夏華をエスコートする。


車に乗るとまだ寝足りないのか凌雅に寄りかかる夏華。


それを愛おしそうに凌雅は肩を抱き、

眠っている夏華の額にキスを落とした。


恋愛コミックみると書きたくなっちゃった

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