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モンスター

## (2028年4月17日・深夜・Dream Domain(夢域)被覆区域ひふくくいき・ラクーンシティ廃墟プロジェクト下地堡したえんたい


懐中電灯かいちゅうでんとう光柱こうちゅう通路つうろの中でゆらいでいた。Jill Valentineジル・ヴァレンタイン、Grace Ashcroftグレース・アッシュクロフト、そして二名にめい観光客かんこうきゃく階段かいだんしたりていった。一階いっかいに着いたところで、暖かい黄色きいろの明かりが突然とつぜん点灯てんとうした——このかいには確かに電源でんげんがあり、廊下ろうか両側りょうそく部屋へやらした。数室すうしつの部屋を探索たんさくしたあとひとつのコーナーのなか光景こうけいにGraceとJillは同時どうじ愣然ろうぜんとした:廊下のローカルキャビネット、クリスタルライト、レトロな椅子いす、さらに使つかわれている壁紙かべがみまで、当時とうじラクーンシティのロードマウンテン療養院りょうよういんの廊下とそっくりだった。


「これ……どうしてこんなことが?」Graceはをゆっくりと手洗いてあらいばのカウンターにき、指先ゆびさきうすはいもった台面だいめんをなぞった。2026ねん大雨おおあめそそいだよる記憶きおくが、津波つなみのように彼女のあたませてきた。当時とうじたような配置はいち療養院りょうよういんで、Jillが彼女を怪物かいぶつするどつめから懸命けめいすくい出してくれたのだ。かべりかかりながら、見覚みおぼえのある油絵あぶらえを見つめ、呼吸こきょうはますますあらくなり、こえふるまなかった:「ここの配置はいちは、ロードマウンテン療養院りょうよういんとまったく一緒いっしょだ」


二名にめいの観光客はたがいにわせ、顔色かおいろあおざめさせた:「あまりにあやしい……もどろうか?万一まにあわながあったらどうしよう?」JillとGraceが説得せっとくするまえに、二人ふたりじゅうかまえてうえかいのがげていった。「うえってるから」とのこしてだけだ。Jillは無念むねんごくあたまったが、Graceは懐中電灯かいちゅうでんとうにぎめた:「大丈夫だいじょうぶ。俺たち二人ふたりつづけよう。はやをロックしよう」


二階にかい娯楽施設区ごらくしせつくしたりると、二人ふたりはまた愣然ろうぜんとした——ミニメリーゴーランドのカラフルなライトが突然とつぜん点灯てんとうし、ビリヤードだいうえのペンダントライトもついた。このかい電源でんげん自動的じどうてきったのだ。Graceは即座そくざかべのスマートコントロールパネルのまえに行き、指先ゆびさき画面がめんはやたたいた:「だれかが事前じぜん電源でんげんれたの?」数十回すうじゅうかいボタンをしてシステムをハッキングし、電力流向図でんりゅうりゅうこうずすと、まゆせた,「エリアに追加ついか電力でんりょく供給きょうきゅうされている。エリア自带じたいの電源ではない。地表ちひょう街灯がいとうとプロジェクト建物けんぶつに電力を供給きょうきゅうするための追加ついか電源でんげんだろう」


追加ついか電力でんりょく?どこからたの?」Jillは画面がめんながらたずねた。「スターダスト放射線異常物発電機ほうしゃせんいじょうぶつはつでんきだとおもう」Graceははや画面がめんえた,「この発電機はつでんきは2003ねん大津波おおつなみまえはよく使つかわれていたもので、一部いちぶのスターダスト放射線ほうしゃせんを電気エネルギーに変換へんかんできる。エリアの人々(ひとびと)ははやくから準備じゅんびをしていたようだ」Jillはかがやかせた:「じゃあこのかいじれば、このかい占拠せんきょすることもできるね」


二人ふたり娯楽施設区ごらくしせつく注意深ちゅういぶか検査けんさしたが、すみから「シュシュッ」というおとれるだけだ——ネズミがはしるような音で、ほか異常いじょうつからなかった。「こう、三階さんかいてみよう。問題もんだいがなければうえもどろう」Jillはじゅうかまえて、さき階段口かいだんぐちかった。


三階さんかい完全かんぜん暗闇くらやみつつまれていた。懐中電灯かいちゅうでんとう光柱こうちゅうでも前方ぜんぽう数メートル(メートル)しかえなかった。空気くうきには湿しめったカビの臭い(におい)がただよい、未開放みかいほうのホラーハウスの入りいりぐちちかづくと、Graceが突然とつぜんあしめた:「って、においがする」Jillは即座そくざ呼吸こきょうめた——ホラーハウスの隙間すきまからい生臭さ(なまくささ)がただよってきた。くさった血肉けつにく鉄錆てっさびの臭い(におい)がざったような味わいだ。「わるい!のがげろ!」JillはGraceのっ張ってり返った。


背後はいごから「ガチャン」というおおきなおとがした——ホラーハウスの入りいりぐちかっていた「工事中こうじちゅう」の木製きせい看板かんばん衝突しょうとつで粉々(こなごな)になった。二人ふたりり返ると、しゅん頭皮ずびがピリピリするおもいがした:二匹にひき巨大きょだいな、女性じょせいおもわれる怪物かいぶつ暗闇くらやみからび出してきた——ひだり怪物かいぶつはGraceにとってあまりにも見慣みなれた姿すがただ。身長しんちょう2.5メートル(メートル)、ふとったからだ肉色にくいろ変異へんい皮膚ひふおおわれ、灰白色はくびゃくしょく羽毛はもうつばさ背中せなかにだらりとれ、おおなかには巨大きょだいな「L」の文字もじ刻印こくいんされ、にまみれたかおにはするどきばだけがのこっていた。まさに2026ねんロードマウンテン療養院りょうよういんで彼女をいかけた怪物かいぶつだ!


みぎ怪物かいぶつはさらに恐ろしかった:おなじく身長しんちょう2.5メートル(メートル)、みだれた金髪きんぱつ半分はんぶんかおおおい、露出ろしゅつした巨大きょだい眼球がんきゅう充血じゅうけつし、くちみみしたまでかれ、するどつめ地面じめんいて耳障り(みみざわり)なおとて、おおなかには「А」の文字もじ刻印こくいんされていた。一歩いっぽごとによろめきながらも、はやさはおどろくべきものだ。「ああ!どうしてこれがここに?」Graceはさけんでまえのがげた。Jillは時折ときおりり返ってじゅうったが、銃弾じゅうだん怪物かいぶつ命中めいちゅうしてもあさきずしかのこらなかった。怪物かいぶつ追跡ついせきめることはできなかった。


「2026ねん、俺たちが遭遇そうぐうしたその怪物かいぶつひかりきらう!ひかりがある場所ばしょのがげろ!」Jillは突然とつぜん当時とうじ遭遇戦そうぐうせんおもい出し、大声おおごえでGraceをうながした。二人ふたり全力ぜんりょくくして二階にかいのがげた。背後はいご怪物かいぶついかけつづけ、娯楽施設区ごらくしせつくとおとき、カラフルなライトのひかり怪物かいぶつたちは一瞬しゅんかん躊躇ちゅうちょったが、それでも光源こうげんけていかけつづけた。「一階いっかいけ!一階いっかいの明かりのほうつよい!」JillはGraceをっ張って一階いっかい階段口かいだんぐちかった。


一階いっかい階段かいだんった瞬間しゅんかん二匹にひき怪物かいぶつはまるで見えないかべさえぎられたようにまった——一階いっかいの明かりにれると、耳障り(みみざわり)な咆哮ほうこうげてよろめきながらうしろにがり、最終的さいしゅうてき二階にかい暗闇くらやみまるまって、二人ふたりぬほどつめた。Graceはすき階段口かいだんぐちのボタンをした。かた鉄製てつせいが「ガチャン」とまり、怪物かいぶつそとへだてた。


「どうしたんだ?!」Leon S. Kennedy(レオン・S・ケネディ)が数人すうにん観光客かんこうきゃくれてはしんできた。にはじゅうかまえていた。Jillは彼らにはやもどるよう合図あいずした:「ちかづかないで!怪物かいぶつひかりきらう。もう俺たちは二階にかいしたへだてた!」衆人しゅうじんあわててホールにもどった。Graceはさらにホールから最下階さいかしょうへの鉄門てつもんのスイッチをし、二重にじゅう封鎖ふうさをしてやっと安堵あんどした。


到底とうていどんな怪物かいぶつなんだ?」Leonは追問ついもんした。Jillはあたまった:「からないが、2026ねんラクーンシティのロードマウンテン療養院りょうよういんでそのうちの一匹いっぴき遭遇そうぐうしたことがある」Leonは困惑こんわくした:「ラクーンシティはここからそんなにとおいのに、怪物かいぶつがどうしてここにあらわれたんだ?」Graceはかべにもたれかかり、いきらしながらった:「わたしにはかないで……もうはなしたくない」顔色かおいろ蒼白そうはくで、明らかにさっきの追跡ついせきおびえていた。Jillは彼女のかたかるたたき、衆人しゅうじんった:「どんな理由りゆう怪物かいぶつがここにたにしても、彼らはひかりきらう。俺たちは光源こうげんがあるエリアをまもれば、一時的いちじてきには安全あんぜんだ。だがみんなはばい注意ちゅうい必要ひつようだ。暗闇くらやみ通路つうろちかづかないように」

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