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ナイトクラブ

Club Music: Dawn Of Ashes - A Breathing Holocaust (LSD Project Remix)


## (2028年4月2日・当晚・ドイツベルリン・某地下インダストリアルエレクトロミュージッククラブ)


耳をつんざくようなエレクトロミュージックが鼓膜こまくつらぬき、Dawn Of Ashesの「A Breathing Holocaust (LSD Project Remix)」が薄暗うすぐらいクラブの中にひびわたっていた。ネオン管が天井で怪しい(あやしい)形状けいじょうゆがんで、紫、青、赤の三色さんしょく光影こうえい投射とうしゃしていた。ダンスフロアの人々は奇抜きばつ衣装いしょうを身に着け、蛍光色けいこうしょくの髪をめたものもいれば、金属きんぞくアクセサリーをつけた者もいた。重低音じゅうていおんのリズムに合わせてはげしくからだらし、あせ灯光とうこうの下でつやはなっていた。


バーのそばで、Feng Ruide (Redeal)(冯锐德)は黒いレザーベストを着て、せんの流れる美しいうで露出ろしゅつさせていた。中国系ちゅうごくけい米国系べいこくけい混血こんけつの顔立ち(かおだち)は光影の下で格外かくがい立体的りったいてきだった。彼はコーラのグラスをにぎり、指先ゆびさきでグラスの側面そくめんを軽くたたきながら、となりのボーイフレンドであるWinslow "Win" Hawke(温斯洛・“温”・霍克)の方をた——Winslowは白いシャツを着て、えりのボタンを二つほどき、まゆせながらスマホのニュースプッシュを見ていた。


「まだひるのパークのニュースを見てるの?」Feng Ruideは笑いながら彼のグラスに軽くてた,「ラクーンシティの廃墟はいきょをパークにするのは確かにとんでもないけど、そんなに眉を寄せ続ける必要ひつようはないよ」Winslowはスマホをき、コーラを一口ひとくち飲み込み、無念むねんごく口調こうちょうで言った:「むかし親友しんゆうのYang Yue(阳跃)と、彼のボーイフレンドLing Yi(凌翼)が、まえにメキシコのヒルトンホテルに行ったとき変人へんじんったんだ。いまはそこでこんなパークまでつくるなんて、あの場所ばしょはどんどん不可解ふかかいになっていく。いつかトラブルがきそうな予感よかんがする」


「人それぞれ追求ついきゅうするものがちがうだけだ」Feng Ruideはバーのカウンターにもたれかかり、視線しせんをダンスフロアにいた,「俺たちは永遠えいえんいのち自由じゆうもとめているし、彼らはかね刺激しげきを求めている。本質ほんしつおなじじゃないか?ただ方法ほうほうがとんでもないだけ」隣のTengu(天狗)はマティーニのグラスを持ち、この話を聞いてくちき出した——彼は黒いスーツを着て、かみ一筋ひとすじにコームし、日本の京都きょうとにいた時の緻密ちみつ姿すがたのままだ:「刺激だって?ただの狂気きょうきだよ。災害現場さいがいげんば題材だいざいにするなんて、いつか天罰てんばつけるよ」そう言いわると、頭をげてはいの中のさけ一気いっきに飲みぎ、グラスの口元くちもとさったオリーブを正確せいかくき、美味おいしそうにかみくだいた。


そのとき、Zi Gui(紫鬼)がドアをひらいて入ってきた。にはいた新聞しんぶんを持ち、かお典型的てんけいてきな中国の幽霊ゆうれいのような面相めそうをしていた——蒼白そうはくはだ暗紫色あんししょくくちびるに、紫色の長い葬儀着そうぎしを身に着け、広いすそ地面じめんきずり、しわ隙間すきまから金のいとわれた雲模様くももようがかすかに見えた。周囲しゅういのスーツ姿すがたの人々とは怪しい(あやしい)対比たいひをなしていた。彼は言葉ことばはっもうとしたが、Feng Ruideに笑いながらさえぎられた:「まなくていいよ。俺たちは全部ぜんぶ知ってる。ラクーンシティパークのこと、ニュースはもうあふれてる」Winslowも一緒いっしょうなずいた:「まだ新聞を読んでるの?いまだれがこんなものを読むんだ?」


Zi Guiは照れくさそうに新聞を巻きなおしてむねに入れた:「ふる習慣しゅうかんで、なおせないんだ。むかし深センの廃墟はいきょの家にいた時は、ひろった新聞でそとのことをっていた。今はインターネットも使つかえるけど、やっぱり新聞の触感しょっかん安心あんしんするんだ」彼は愚痴ぐちをこぼした,「でもあのパークは本当ほんとうにとんでもない。バベルのとうがまだ手仕舞てじまいしてないのに、またラクーンシティの廃墟まで作るなんて、Spauldingスポールディング一家いっかはトラブルがりないのかな」言葉が終わると、彼はTenguにっ張られて芸能界げいのうかいのゴシップしにはいった——Tenguは最近さいきん日本のアイドルグループにはまっていて、ちょうどZi Guiもこういった新しいことに興味きょうみがあるため、二人はすぐに意気投合いきとうごうして話し込んだ。


Feng Ruideは彼らをひらき、Winslowの手をっ張った:「彼らのことはほうっておこう。一緒にダンスをしよう」Winslowは笑いながら頷き、彼に引かれてダンスフロアに入った。ダンスフロアの中央ちゅうおうでは、Feng Ruideの部下ぶかであるQiang Zhen(强震)が臨時りんじつくられた高み(たかみ)に立っていた——ニューヨーク出身しゅっしん変種人へんしゅじんレスラーで、筋肉きんにく異常いじょう発達はったつし、体格たいかく巨大きょだいだ。黒いレスリングパンツを着て、音楽おんがくに合わせて鍛えげられた体のポーズを披露ひろめし、腕の筋肉が灯光の下であぶらつやを放ち、台下だいした観客かんきゃくから歓声かんせいき上がっていた。


DJブースのそばで、Dollyドリーは赤いクラブようの衣装を着て、ハーレイ・クインに似た造型ぞうけいをしていた。黒いポニーテールがうごきに合わせてり動いた。彼女は自我意識じがいしきを持つカビによって駆動くどうされるドールだが、普通人ふつうじんよりもファッションを理解りかいしていた。Feng RuideとWinslowが入ってきたのを見て、すぐに手をって挨拶あいさつし、音楽に合わせて激しくダンスをおどり、赤いスカーフのすそが美しいえがいた。


Feng RuideとWinslowはダンスフロアにけ込み、音楽に合わせて体を揺らした。Feng Ruideは手をばしてWinslowのこしせ、みみもとでささやいた:「やっぱりダンスする方が気持ちいい。とんでもないニュースを見るよりは」Winslowは笑いながら頷き、彼の胸にもたれかかり、一時的いちじてきにそういった悩み(なやみ)ごとわすれた。ダンスフロアの人々もますます興奮こうふんし、蛍光棒けいこうぼうかかげる者もいれば、歌詞かしさけぶ者もいて、クラブ全体ぜんたい狂乱きょうらん雰囲気ふんいきつつまれた。


しばらくすると、二階にかいさくのそばで、TenguとZi Guiが並んで立ち、したでダンスを踊る人々を見つめていた。Zi Guiは胸から新聞を取り出してまた巻き、真面目まじめな口調で言った:「本当ほんとうに、あのあらたしいラクーンシティの廃墟とバベルの塔のプロジェクトは、どうも縁起えんぎわるいよ。災害さいがいってものは怨み(うらみ)があるんだ。無理むり娯楽ごらくのプロジェクトに変えると、簡単かんたん災難さいなんまねきやすい」


Tenguは頷き、平時へいじのリラックスした雰囲気が少しうすれた:「俺もそう思う。まえ京都にいた時、老和尚ろうおしょういたんだけど、何事なにごとにも因果関係いんがかんけいがある。彼らがこんなにさわまわっていると、いつか報い(むくい)を受けるだろう」少しを置いてZi Guiの方を見た,「でも前に話していた『集合意識しゅうごういしき』って、本当ほんとうたよれるの?みんなが終末しゅうまつのことを思っていれば、終末がるの?」


「もちろん頼れる!」Zi Guiは確信かくしん満々(まんまん)に言った,「俺はこんな長い年月ねんげつきてきて、めずらしいこともたくさんた。人心ひとごころひとつになれば、泰山たいざんうごかせる。もしみんなが終末が来ると思っていれば、終末は早晚そうばんやってくる。おもってみて——あんなパークに注目ちゅうもくしてる人がおおいし、こわがってる人もいれば、興奮してる人もいる。ネガティブな感情かんじょうがたまりすぎたら、かならことが起きる」Tenguは半信半疑はんしんはんぎだった:「こんなに不思議ふしぎなの?」


けないか?」Zi Guiは笑いながら彼のかたを軽くたたいた,「あのパークが開業かいぎょうしてから半年はんとし以内いないに、必ずトラブルが起きるって賭けよう。俺がったら、一ヶいかげつかんさけおごって。君が勝ったら、君のアイドルの全行程ぜんこうてい調しらべてあげる」Tenguのかがやいた,すぐに頷いた:「いいよ!賭ける!そんなに不思議なわけないだろう」二人はたがいに笑いい、下の人々を見つめ続けた。眼底がんていには戲謔ぎゃくひかり宿やどっていた——彼らにとって、この「集合意識」をかけた賭けは、退屈たいくつな日々(ひび)の中でもっと面白おもしろ娯楽ごらくぎなかった。

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