第九話『姫、奪還作戦!? 突入!黒果ノ核と桃魂連合の逆襲!!』
「やめなさいっ! わたくしは……わたくしは、葵様の――!」
清水白桃姫、黒桃王の力で強制連行!
黒き果実戦艦〈黒果ノ核〉は空へと消えた。
――清水白桃姫、さらわる。
黒桃王アモルグレアの襲撃により、桃楼宮は混乱の渦に包まれていた。姫たちは動揺し、心にぽっかりと穴が空いたように、立ち尽くしていた。
「白桃が……いない……そんな……」
「わらわが……もっと早く動いていれば……っ」
「……きゅんが……きゅんがいないなんて、無理ぃぃ……っ」
「葵くん……どこ……どこに……」
そんな悲痛な空気を裂いて、静かに声が届いた。
「泣いてるヒマなんて、ないだろ」
全員が振り返る。そこに立っていたのは――
「……俺が、必ず連れ戻す」
葵だった。夢みずきの力を宿し、背には桃色の翼がほのかに揺れている。
「葵様っ!!」
姫たちの目が一斉に輝いた。
「おかえりぃぃぃぃぃっ!!」
「さすがっスね、うちの継承者!!」
「今すぐ“連れ戻し団”結成ですわ!!」
「よっしゃ、焼き芋も準備OK!!!」
「……焼き芋は置いてきなさい」
葵は微笑んで、力強く拳を握った。
「行くぞ。白桃を、みんなで取り戻すんだ!」
◆
突入作戦の舞台は、空にそびえる“黒果の塔”。
かつての文明桃樹時代の遺産であり、黒桃王の拠点へと通じる唯一の道である。
「最上階に、清水白桃姫が囚われている。ここを突破するしかない」
「うぉぉぉ! じゃあやるっきゃないじゃーん!!」
「各員、突入準備! ……川中島姫、焼き芋は置いて、と言いましたのに」
「違うよ黄貴妃ちゃん、これは“芋式スモークバリア”! つまり、戦術的焼き芋!」
「もう……滅ぼしてよろしいかしら?」
こうして、最も濃くて強くて個性的すぎる集団【桃魂連合】による、史上最大の突撃戦が始まった――!
◆
【第一階層:桃汁しぶき地獄】
踏むと爆発する果汁タイルの連続地帯。
なつっこ姫のバーベキューソースが撒かれ、敵果実が暴走。
「バフ付き!? 味で強化されてんじゃん!!」
「味覚は正義!!」
【第二階層:渋みの迷宮】
渋み成分の霧で方向感覚が狂う。
葵の声も渋語調に。
「……俺の心は……渋いな……」
川中島「ちょうどいいね、焼き芋干しておこう!」
「おまえだけ異常な適応力やめろ!!」
【第三階層:柿のトラップ部屋】
姫(?)ツルコ・柿による“全自動すべる床”トラップ。
さくら白桃、すべって葵に激突→頬チュー事故。
「ちょっ、きゅんとの間接チュー……///」
「……いったん全員落ち着いて?」
◆
【最上階:黒果ノ核】
氷の檻に囚われた清水白桃。
「来て……くれたのですね、葵様……♡」
そこに立ちはだかるのは、黒桃王と闇の姫たち。
「ここで終わるがいい、白き魂たちよ」
黒蜜ネクタリン、あんず、スモウル・プラム、柿姫……
それぞれが、桃魂姫たちと激突!!
・なつっこ vs あんず(バーベキュー剣 vs 渋み拳)
・黄貴妃 vs プラム(氷の魔導 vs 無感情AI)
・川中島 vs 柿(焼き芋 vs ??)
・さくら白桃 vs 黒蜜ネクタリン(恋愛小悪魔 vs 過去を喰らう女)
「今こそ魂燃やすとき!!」
「うぉぉぉぉ桃ォォォッッ!!!」
◆
決戦の果てに、葵が白桃姫を救出。
「……葵様……わたくし、信じていましたの……」
「……もう、二度と離さない」
だが、黒桃王は消え際に告げる。
「我を倒しても、“黒果の種”は既に芽吹いた。次に裁くのは、この世界そのものだ」
黒果ノ核、崩壊。
塔全体が光に包まれる中、桃魂連合は撤退。
◆
次回――
第十話『はじまりの桃畑へ! 夢みずきと葵、桃界の原点を巡る旅!!』
新章突入! 始まりの地で語られる“桃界の真実”とは!?
ついに水着回!? そしてまたしても芋を焼くのか川中島!!
ドンキの焼き芋、値段の割においしいよね♪