表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/15

第三話『なつっこ姫、バーベキューで参戦!? 桃魂(とうこん)試練の食材バトル!』

「よし! さっそく特訓だ! まずは筋肉! 次に炎! 最後に肉!!」


「ちょっと待って!? 何その三段構え!? 説明して!? お願いだから説明してーッ!!」


とんでもないテンションで葵を引きずるのは、もちろんあの川中島白桃。

あいかわらずの筋肉少女で、今日も“桃型肩パッド”の付いた服を着て、得意げにふんぞり返っていた。


「まずは桃魂を鍛えるには“肉焼きバトル”が基本なんだよ! 焼けぬ者に霊力など宿らぬ!!」


「……そんな理屈ある!? それ武道じゃなくてキャンプだよね!?」


「フン、野生の炎こそ桃魂の真髄! この桃界には伝説の調理試練『BBQバーベキュウ儀式』が存在するのだ!!」


「本当に!? その略し方でいいの!?」


「黙ってついてこい!! ドンブラッ!!」


また謎の掛け声とともに川を渡る川中島ちゃん。


(“ドンブラ”って、使い方がどんどん雑になってる気が……)


「あの……葵様? 少し、静かにされては?」


背後で優雅に歩いてくるのは、桃界の清き姫──清水白桃。

そのドレスは今日も露が香り立つように美しく、まるで朝の光を編んだような布地が風にひらめいている。


「川中島様は……元気がよろしいですこと」


苦笑ぎみに、そっと扇子を口元に当てる。

それは笑顔でありながら、やんわりとした“ため息”のようでもあった。


「いや、白桃さんが静かすぎるだけじゃ……?」


「いえ、わたくし、焼き加減には厳しい方ですのよ?」


「え、そんなとこで戦闘力出してくる!?」


場面は、果実王国の中でも謎の多い“桃燻ももいぶしの丘”へ。


そこには、桃の木の香りが染みついた伝説のバーベキュー台があった。

そして、すでに先客が――


「お〜い、あおい〜っ! 来た来たぁ! こっちこっち〜っ!」


元気いっぱいに手を振る少女。

陽に焼けた肌に、短い金髪。

服はすでにバーベキュー用のエプロン仕様。


「わたしが! 桃王国の元気印、なつっこ姫だよ!!

 今日は! みんなで! 魂を焼くよーッ!!!」


「だからなんでみんな焼きたがるのぉぉぉぉ!?」


♦ 試練ルール

・制限時間30分

・桃界の特産食材を使い、“最も魂が震える料理”を作ること

・審査員は「桃界のミニ神霊たち(審査基準:香り・果汁力・たのしさ)」

・使っていい調味料:「塩・光・うた」←???


「まずは仕込みだな! オレは“桃豚ももぶた”の肩ロースを狙うぜ!!」


「桃界ってなんでも“桃”つけとけばいいと思ってない!? いや美味しそうだけども!!」


「わたくしは、“香花の葉”を敷き詰め、香りの重ね焼きをいたしますわ」


「料理でも清楚貫くのね!? 清楚で香ばしいってどういう組み合わせ!?」


「なつっこはね〜! とにかくタレドーン!! 焼いたら勝ち! 甘ければ勝ち!!」


「一番原始的ぃぃぃ!! というか、焼き加減見よう!? ね!?」


三姫三様のバーベキューが始まった。


・川中島:爆炎で豪快に肉を“桃ブレード”で焼く。煙が桃色で甘い。

・清水白桃:香りで火を操る魔法的調理。肉に“香る詩”を唱えるという謎技。

・なつっこ:踊りながら肉を振る。塗りたくるタレに“桃汁爆弾”を混入。踊ると爆発。


「……な、なんだこの世界……おれ、いつか“食われる側”になる気がしてきた……」


そして試練の審査タイム。


桃の神霊たちは、清水姫の料理にうっとりし、

なつっこの爆発焼きにはしゃぎ、

川中島の“ぶん投げ肉スライス”には「ぶおおおおおん!!」と歓声を上げた。


結果:引き分け(※神霊が全部桃酢で酔ったため、審査不能)


「ってことで!! 全員合格!!!」


「いや、なんの試練だったんだよぉぉぉ!?」


次回予告

第四話『黄貴妃姫、気高く降臨! 桃界社交界デビュー大作戦!!』

今度はツンとお高い黄金姫が登場!?

葵、ついにドレスを着せられる――!?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ