第十五話『白鳳、覚醒!? 果実の煌めきと“真なる十二姫”!!』
ついに明かされる“十二品種の姫”最後の秘密!
白鳳姫の正体とは!?
そして、桃界に刻まれる真実とは――!?
◆
白骨林での戦いの翌日。
夢みずきの導きにより、桃楼宮の奥深くにある“環の間”が開かれる。
そこは、十二姫にのみ許された神秘の聖域だった。
「ここに、最後の姫が眠っているの……」
壁の中央に刻まれていた、まばゆい白金の紋章が輝き出す。
「――白鳳姫、目覚めの時です」
◆
桃色の光とともに現れた少女は、ふわりとした銀白の髪に透き通るような白装束。
その表情は静謐で、どこかこの世のものとは思えない雰囲気をまとう。
「……わたしの名は、白鳳。“はじめの果実”の魂を受け継ぎし、最初で最後の煌めき」
夢みずきが震える声で言う。
「白鳳姫……あなたが、“真なる十二姫”の中心……環そのものなのね」
◆
白鳳の記憶が解き放たれ、桃界の過去が明らかになる。
遥か昔、桃界が一つの環だったころ、全ての果実の調和は白鳳を中心に保たれていた。
だが、調和を恐れた者たちが“果断種”として離反し、白鳳は力を封印し姿を消した。
「環を再び繋げるには、全ての姫が覚醒し、想いを一つにすること……
でも、果断種はそれを許さない」
◆
そのとき。
空が裂け、黒い渦が広がる。
現れたのは“果断種”の王、黒果王――
「ほう……ついに現れたか、白鳳。だが遅すぎた。環など、もう戻らぬ」
「黙りなさい。あなたたちの断絶こそが、この世界を歪めたのよ!」
黄貴妃が叫ぶ。
◆
姫たちが一丸となり、黒果王に立ち向かう。
清水白桃の癒しの力、川中島の芋熱波、ネクタリンの酸味の刃、さくら白桃の魅了攻撃!
葵と白鳳の融合によって、桃界の“真の環”が輝き出す――が。
黒果王はなおも強大。
闇の力が暴走し、姫たちは次々に吹き飛ばされてゆく。
「ぐっ……ダメだ……このままじゃ……!」
葵が膝をついた、その瞬間――
「遅れてごめんなさ〜いっ☆」
突如、空を割って舞い降りたのは、
加納岩白桃・あかつき・浅間白桃・美郷――
未だ覚醒していなかった、四人の姫たちだった!
「加勢するわよ、桃魂連合っ!!」
◆
加納岩白桃は鋭く美しい刃の舞、あかつきは雷のごとき連撃、
浅間白桃は包みこむ大地の力、美郷は輝く風の癒し。
それぞれが独自の果実属性を放ち、戦線は一気に逆転する!
「これが……十二の桃魂!」
白鳳が声を上げた。
「いま、すべての姫の力が揃った……!」
十二の桃魂が共鳴し合い、環が完成する――
a葵と夢みずき、白鳳を中心に、十二姫の魂が光となって渦を成し、
黒果王を包み込んでいく!
「われらは果実を繋ぐ者……断絶を越え、未来へ進む!」
最後の一撃が、桃界を染めた。
◆
静まり返った戦場に、桃の香りが満ちる。
「……やったの?」
川中島が芋を焼きながら尋ねる。
「うん……勝ったんだ」
葵が微笑んだ。
「これで、桃界の未来は守られたのね」
白鳳がそっと瞳を閉じる。
「でも……これからが本番よ。未来を育てるのは、わたしたちだから」
葵は笑って言った。
「なら、全力で楽しもう! これからの桃界もっ!!」
- 完 -