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××の十二星座  作者: 君影 ルナ
一章

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85/125

七十二

 なんかどこかから飛んできたモノを弾いたら液体が私に振りかかったみたいだけど、何故か疲れが取れたよ!


 これなら幾らでも動けそう!


 ザシュッ、ザシュッ……


 やっぱり体力大事。体が軽く感じるもの。ウフフ、今回の討伐が終わって城に帰ったら体力作り頑張ろう! イェイ!



(マロンは疲れが限界突破し、それが一気に無くなったことで一種のハイ状態に陥っているようだ)



 ドォォン……


 すると、リオが起こした音とはまた違う地響きが聞こえてきた。なんだろう?


「まさか!?」


 私の近くにいたカプリコーンが珍しく驚いたような、焦っているような声を上げる。


「ギャース」

「うわー!」


 地響きがした方向からいろんな叫び声が鳴り響く。んー? 何があったー?


 状況を理解していない私は首を傾げながらボースハイトを切っていると、音も無くアリーズが隣にやって来た。まあ、気配で分かっていたから驚かないけど。


 ボースハイトを切り裂きながら話が始まる。


「マロン」

「アリーズ? どしたん?」

「マロンに魔物の退治を任せようと思ってね。」


「……魔物、ああ、あの魔物……え、マジですか! のたらくたらしているうちに動植物に被害が!?」

「そうみたいだ。だがそうならないように門の近くにあるボースハイトを先に殲滅する作戦だったんだけど……」

「ふぅん?」


 分かったような分からないような。そんな声を思わず出してしまい、アリーズはハァと溜息をついてから詳しく教えてくれた。


「取り敢えず向かいながら話す。」

「おいっす」


 イマイチ緊張感が出ないまま(それは私だけか?)アリーズと二人で街を駆け抜ける。その最中に話は続く。


「いいかい、街の中には植物も動物もいないだろう? 移動するために必要な馬でさえ、なるべく街の中に長時間入らないようにしているんだ。街と(それ以外)の居住空間を分けて、ボースハイトが発生したとしてもどちらにも被害が及ばないように、とね。」


「成る程。」

「だから不可解でね。何故門の外で魔物が発生したか。」

「あ、今の音は門の外だったんだ。」

「ということで、マロンには魔物を退治する役目を与える。」


 ということで、とは何。どういうことでだ? 話が繋がらないんだけど……?


 まあ、聞くにしても後でかな。まずは魔物退治に関する情報を得なければ。喫緊の課題は魔物退治だし。


「……魔物ってどれくらいの強さなの?」

「だいたいは十二星座よりは弱い。」

「それ基準にするのがおかしくない!?」


 だって十二星座って世界でトップクラスの戦力なんでしょ!? そこを基準にしたら大体のものが弱いことになるよねぇ!? 阿保なの!? アリーズって意外と阿保なの!?


「阿保ではない。マロンにとって一番分かりやすい例えを使ったまで。」

「いや、だからといってもさぁ……」


 何故心の声に返事をする。アリーズってやっぱり怖い奴だ。


「魔物退治にご協力お願いします!」


 門番がアリーズを見てそう懇願する。なんかアリーズの姿を見てホッと安堵した表情を浮かべていたけど、やっぱり(戦力面で)十二星座が一人でもいると安心するんだね……?


「今から向かう。マロン、早く来い。」

「はいよ」


 少しだけ開けられた門をくぐり、アリーズと二人で街の外へと走る。

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