表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
××の十二星座  作者: 君影 ルナ
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/125

六十一

 あの後、結局パイシーズは(渋々)アリーズに付いた水分を取ってあげていた。


 私はというと、疲れが最高潮まで来てしまってその場に座り込んだくらいかな。体力の限界を超えた感じ。超疲れた。


「マロン、これくらいでへばっているようじゃあ……ね。体力作りのメニューを増やしてもらった方が良いんじゃない?」


 ニッコリ笑顔でアリーズにそう言われるけど、なんだろう……他の人に言われるなら素直に聞き入れると思うのに、アリーズに言われるとなんか癪。


 そんな考えが顔に出ていたのだろう、アリーズは片手で私の両頬を掴む。


「うにゅ……いででででっ!?」


 何故だんだんその指に力を入れてきた!? ほっぺ潰されるぅっ!?


 なんか怒らせることした!?


「またアリーズがマロンを虐めてる! 成敗っ!」


 そんな私を見かねてか、キャンサーが私を助けに来てくれたみたいだった。ああ、キャンサーならきっと助けてくれるっ! そう感動していたのだが。


 私達に向かって走ってきたキャンサーはハサミを振り上げて……


 ガキンッ……!!


 何かを弾き返した。まるで虚空を切るように見えたそれに既視感を覚えたので、ふとアリーズの手──それも私の頬を掴んでいない方の──に目を動かしてみる。


 するとその手には案の定銃が握られていた。さらに銃口から煙が上がっているところからして、多分キャンサーに向けて一発撃ったのだろう。いつ取り出したんだか。


 というかアリーズってすぐ銃を人に向けるよねー。人としてどうかと思……


「マロン、何か考えてた?」

「うにゅにゅ」


 今何を考えていたかって? そんなの馬鹿正直に話したらきっとまたアリーズに銃口突きつけられる。そう理解した私は首を横に振る。


「ふーん、そう。まあいいけどね。」


 アリーズは特に気にした様子もなく私の頬を掴み続ける──



 いや、ほっぺは離してくれよ!







「いやぁ……散々だった。」


 部屋に戻ってきた私は独りごちる。しんと静まり返った部屋にその言葉は響いた。


 あの後どうにかこうにかアリーズの手を振り払い、パイシーズの背後に隠れた。そうしたらパイシーズとキャンサーがアリーズに対して魔法を展開し始めたり武器を構え出したりしていた。


 私はというと『喧嘩は良くないよー』と言いながらも内心『アリーズざまぁ(笑)』だなんて考えてしまった。私はきっと性格が悪いんだろうな。


「あー、もう少し可愛い性格になりたいn……」


 最後まで独り言を呟けなかった。殺気を感じてね。私はバッと三歩程後退し、天井を睨んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ