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××の十二星座  作者: 君影 ルナ
一章

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72/125

五十九 スコーピオ

 マロンが投げた剣は皆の頭の上を通過して鍛錬場観覧席に向かって飛んで行った。しかしパァン……という銃声と共に地面に落ちる。


 多分マロンはちょっとした意趣返しのつもりで剣をアリーズに向かって投げ、それをアリーズは自分の所に届くまでの間に撃ち落としたのでしょうね。


 そして不満そうなマロンを見て高笑いしているのでしょう。いい性格しているわよね。あ、これは嫌味よ。


「キィィーっ!! 癪だ! 不平等だ! 降りてこいアリーズ!」


 あまりにも疲れているからなのかしら。それともワタシ達に慣れたからかしら。マロンはこれまでにない程感情を顕にしているようね。地団駄を踏み、プクーッと頬を膨らませる。あら、小さい子が駄々をこねる様を見ているような気持ちになるわね。可愛い。


「アリーズ様を呼び捨てにするなんて……」

「あれはどこのどいつだ?」

「そもそも十二星座の方に囲まれているだなんて……ちんちくりんの癖に……!」


 あらら、騎士見習い達が一層ざわつき始めたわね。さすがにこれ以上騒ぎになるのは防ぎたいわ。


「ま、マロン、落ち着いて……?」

「なんで毎日毎日疲れてるところに一発撃ってくるんだ!」


 と思ったらキャンサーが珍しくマロンを止めにかかる。しかしその言葉に耳を傾ける余裕なんて無いマロンは剣を持ったまま走り出した。


「ちょ、マロン!?」

「あー……マロンが暴走し始めたわね。サジタリアス、どうするの?」

「……まあ、危なくなければ傍観で良いだろう。」


 サジタリアスはそんな呑気なこと言ってるけど、大丈夫かしら……? ワタシ心配だわ。


 マロンは騎士見習い達の間をするりするりと抜け、アリーズがいるだろう場所へと走る。その間にアリーズに向けて投げたもう片方の剣も取り、構える。


 ガキンッ……ガッ……


「くっ……アリーズのアホ!」


 剣を構えた瞬間、アリーズが何発かマロンに向けて撃った。それを立ち止まって全て弾き返し、アリーズに向けて暴言を吐くマロン。


 そしてその暴言を聞いたらしいアリーズはまた何発もマロンに向けて撃つ。


「うがー!!」


 ガキンッガキンッ……ガキンッガキガキンッ……




 いやー、それにしてもマロンに掠る場所へ的確に撃っているアリーズもなかなか凄いけれども、それを全て弾き返せるマロンも大概よね。本当に一般人かしら。


 騎士見習い達もマロン付近の地面に転がる弾丸を見て、マロンがそれを弾き返していることに気がつき始めたらしい。ザワザワと騒がしくなる。


「あのちんちくりん、もしかして……」

「アリーズ様が撃った弾丸を剣で弾いている……!?」

「そんなこと有り得るのか?」

「しかしさっきもキャンサー様と互角……は言い過ぎだが、それ程の実力者であるのも事実。」

「だとしたらあいつはすげぇやつってことか。」

「俺は絶対敵わないだろうなぁ……」


 あら、騎士見習いの皆がこれくらいでやる気を落として貰っては困るわね。それはサジタリアスも同感らしく、眉間に皺を寄せたのをバッチリ見ちゃったわ。


 さて、どうしましょう……

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