表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
××の十二星座  作者: 君影 ルナ
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/125

五十四 スコーピオ

 ワタシと今回一緒に行動していたキャンサーはついさっき城に戻ってきたわ。


 城の玄関にようやっと着いてワタシが一息ついていたら、その間にキャンサーが急に走り去っていったのよ。あの時の走りはものすごかったわ。一瞬でキャンサーが消えたかと思う程。ワタシは玄関に置き去りにされたってわけ。


 まあ、多分キャンサーはマロンの所にいち早く行きたかったのよね、きっと。

まあ、だからと言って一緒に行動していたレディーを置いていくとはどういう了見かしらん? 一発ハンマーでキャンサーを殴っても、きっと怒られないわよね?


 そんな物騒なことを考えながらワタシも食堂へと走ったわ。今はお昼時間だろうから、きっとキャンサーも同じことを思ってそこに向かったはずだもの。





「ちょっとキャンサー。ワタシを置いていくとは良い度胸ねェ?」


 おぉっと、ドスの効いた声が出てしまったわね。キャラじゃないことしちゃったわぁ。いっけな〜い、ワタシ、うっかりさんね。


 で、肝心のキャンサーはこちらを振り向くことなく震えているわ。あら、これくらいの殺気に怯えるだなんて十二星座らしくないわねぇ? ん?


「その声は……スコーピオ、かな? お帰り。」

「ただいま、マロン。」


 目を瞑っているマロンには見えていないだろうけど、ニッコリと人受けの良い笑顔で返事をする。


「ご馳走さまでした。っと……おかえヒョエっ」


 昼食を済ませたらしいマロンは椅子から立ち上がってこちらを振り向いて奇声を発する。……あら? 右目が開いているわね? てっきりマロンは常に目を閉じているものだと思っていたのだけれども……


「スコーピオ(?)にめっさキラキラが飛んでる……」

「ん?」


 あら、マロンが何か可愛いこと言ってるわね?


 そう思ってワタシは人受けのいい笑顔で首を傾げてみると、マロンはまた『ひょえっ』と奇声を上げる。


 ……マロンの反応、なかなか面白いわね。ワタシは新しいオモチャを見つけたような喜びを感じた。


 それが表情に現れていたのかしら、マロンは先程とはまた違った奇声を上げる。


「スコーピオ、な、なんかさっきと違う笑い方コワイよ……?」

「気のせいじゃないかしらん?」

「そ、そうかな……? 本人がそう言ってるし……そうなのかな……?」


 頭の上にハテナを浮かべてウンウン唸るマロン。ふふ、こうやってすぐ人の言葉を信じるのはマロンの長所かしら?


 ……まあ、もしポラリスとなる人物だったならそれは短所にもなり得るかもしれないけどね、マロンは三属性しか扱えないから……


「ほらマロン。食べ終えたなら勉強に戻るぞ。」

「ほーい。」


 なんてぐるぐる考えていたら、もう次の展開に行こうとしていたらしい。サジタリアスがマロンを引き連れて食堂を出て行ったようだった。


 それにワタシが気がついた時にはもう既にキャンサーやアリーズもここにいなかった。あら、またワタシ置いてかれたわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ