リオ(しし)
むむ、皆ヴァーゴの心配をしているように見える! だが俺様の技術を持ってすればなんの心配も要らん!
俺様、リオ(しし)は爆弾を作るだけでなく、それを正確な位置に投げる技術も持っているのだ! ふはは! 凄いだろ! もっと褒めてくれても良いんだぞ!
爆風も計算に入れて投げるからヴァーゴが吹き飛ぶことも無し! 以上!
「拙も敵と一緒に吹き飛ぶのは……ちょっと……」
むむむ、ヴァーゴは俺様を信じていないのか! それは悲しい! だが今代の十二星座が決まってからまだ日も浅いから不安になるのも仕方ないのだろう! だが安心してくれ!
「ヴァーゴ、俺様は十二星座に入るくらい爆弾を極めた男! なんの心配も要らん!」
「……そ、その自信家な所がこ、怖いんだよ。」
「ふん! 強情な!」
俺様の技術は確かなものだ!
うーん、どうすれば納得するか……それなら!
「なら、皆手を出せ!」
「え? ……はい。」
皆テーブルの上に手を出した。うむ、良し!
「今から爆弾……は駄目だから俺様の目の前にあるこのクッキーを投げる! それが皆の手の上に全員分乗ったら認めてくれるな?」
「成る程……そうだね、そうしようか? いいかい、ヴァーゴ?」
「……わ、分かった。」
「リオがクッキーくれるんだね? やったぁ!」
それぞれ思い思いの高さに手を出した。ふん、動かないならこれくらい容易い。
ぶん、ぶんぶんぶんとそれぞれの手の上にクッキーをぶん投げる。それがちゃんとそれぞれの手の中に収まるのを見て、皆は感嘆の声を上げる。ふん、さすが俺様だな!
「じ、じゃあ拙は動くよ。実戦ではそっちの方が多いでしょ?」
「ふん、造作もない!」
ヴァーゴはそう言ってこの会議室の中を走り出した。頭の上に両手を出して。ふむ、そこにクッキーを乗せればいいというわけか。
ヴァーゴは縦横無尽に走り回る。さすが素手で十二星座に選ばれた程だ。動きが俊敏だな。しかし俺様も伊達に十二星座に選ばれたわけではない!
シュッと投げると動いているヴァーゴの手の中にクッキーが収まる。ふん、さすが俺様だな!