二十二
ごくり、唾を飲む。正体と言う程のものではないとは言うが、偽名(仮)を使っているのだから、何かしら訳ありなのだ。それを知るのは何故か緊張する。私は話を聞くだけなのに。
それにしても……何だろう、何だろう。全く想像がつかないや。偽名を使う程の人物って誰だ?
「俺達の正体は、十二星座。今は四十二代目のトップがこの世界を取り仕切っているけど、そろそろ代替わりが行われて次の代、四十三代に俺達がなる。」
十二星座……なんか聞いたことはあるような……無いような……
あ、あの人がいつだかぼやいていた言葉に出てきたのが確か十二星座とかだったかもしれない。それか。
で、それが何者だ?
「はぁ……マロン、いい? この世界を統べる人達のことをトップと呼ぶわ。そしてそれの構成は、ポラリスと呼ばれる王と、十二星座と呼ばれる十二人の臣下。だからあたくし達十二星座はいずれこの世界のトップになるのよ。」
「ほえー……」
リアスが私の疑問に分かりやすく端的に説明してくれた。が、そのスケールがあまりにも大きすぎて間抜け声しか出なかった。
「……マロン、それだけ?」
「え?」
それだけって、どれだけ? 問いかけの意図が分からずに慌てふためく。何か感想でも言えば良かった? それとも、ええと、ええと……
「やっぱりマロンが……なら良いわね。」
「そうだね。俺もマロンがそうなれば良いと思ってる。」
「し、しかし拙は不安です。こんなに世間知らずが……になるのは……」
「そこは鑑定した後にどうするか決めればいいのではないでしょうか。」
「そ、それもそうか。」
私が慌てふためいている間に皆はワイワイと楽しそうにお喋りを始めていた。え、私『それだけ?』って聞かれたから最適解を出そうと無い頭を捻ったのに。もう他の話題に移ったっていうの?
そりゃないよー。頭の捻り損だよー。
「マロン、さん。」
「あ、ルグ、私のことはマロンで良いよ。」
「わ、分かった。ま、マロン……」
「うん? どした?」
「一応、拙達の名前を教えておく、から。まあ、外では今まで通りの呼び方でお願いする、けど。」
先程考えていた予想は当たっていたらしい。この人達が私にまず教えてくれたのは偽名、か。そしてこれからは本名(?)を教えてくれるということなのだろう。
「拙はヴァーゴ。」
「俺様はリオだ! 一応覚えておけ!」
「俺はカプリコーンさ。」
「小生はパイシーズです。」
「あたくしはアクエリアスよ。」
ほえー……一度に全て覚えられるかな。今まで使っていた呼称よりも長い名前の数々に、覚えられるか不安になってしまう。何せ覚える作業は今までそんなにしてこなかったからなぁ……。私の頭が記憶力の良いものでありますように、と一応願っておく。
まあ、しばらくの間は最初に教えられた短い名前で呼んでいてもいいよね? というかそうして欲しいとルグは言ってたし。うん。




