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××の十二星座  作者: 君影 ルナ
一章

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十一 アクエリアス

 ぽてぽてと船着場へ向かって三人並んで歩く。まあ、待ち合わせには余裕で間に合うわね。さっきは二人を待たせてはいけないと思って急いだけれども。


「おはよ、リアス。」

「おはよう、マロン。あなた昨日は良く眠れたかしら?」

「うーん、まあまあかな。」

「そう。」


 マロンは昨日と同じくらいのテンションでそう言う。疲れは残っていなさそうで良かったわ。まあ、口に出しては言わないけれども。


「マロンさん、お腹空いてますよね?」

「うーん、そうでもないかな?」

「そうでしたか。でも船に乗ったら朝食を食べましょう?」

「……うん。」


 朝食を食べようとパイシーズが提案すると、マロンは顔を曇らせる。何故でしょう。


 あ、もしかしたらマロンは偏食なのかもしれないわ! だから食べられるものが出る確率を考えてしまうのだわ。成る程、それなら船のシェフにマロンの好きなものを作って貰いましょう!


「マロン、好きな食べ物はあるのかしら?」

「好きな食べ物……? 特にないかな。」

「そう。なら逆に苦手なものとか、アレルギーとかあるのかしら?」

「うーん、どうだろうね? 分からないかな。」

「そう。」


 あら? あたくしの予想は外れてしまったようね。それなら何故朝食に曇り顔をするのかしら? あたくしは結構楽しみにしているのに。


 この島に来る時に乗ってきた船で出た食事が、これがなかなかに美味だったのよ。だから楽しみなの。それなのに、マロンは何故……


 そんな風にぐるぐると頭の中で考えている間に、船着場についたわ。


「やっと来たな。遅いぞ。一分の遅刻だ。」


 既に待ち合わせ場所で待っていたサジタリアスが仏頂面であたくし達に説教をする。余裕を持って待ち合わせの時間を決めたのだから、少しくらい良いでしょう? それに一分は誤差の範囲内でなくて?


「もー、ジーったらそんなこと言わないの。女性は準備に時間がかかるのはよくあることでしょう? それを見越して待ち合わせの時間を決めているんだし、細かいことは気にしなくていいじゃないか。禿げるよ。」

「自分は禿げてはいないっ……!」


 カプリコーンの援護にサジタリアスは撃沈する。まあ、サジタリアスは髪の毛ちゃんとあるわよね。顎の辺りでパッツリと真っ直ぐに切り揃えられた金色ボブヘアは動く度にサラサラと流れる程。でもサジタリアスのことだからちゃんと手入れとかしていそうよね。羨ましいわ。


 あたくしの青髪は外ハネが酷いので、ハーフアップにして更にそれを高い位置でお団子にしているわ。それでなんとかなっているくらいよ。


 ああ、余談だけれども、パイシーズは紫ロングよ。腰の辺りまである程のロング。この人の髪もサラサラしているけれども、特別手入れはしていないらしいのよ。前に聞いた時そう言っていたのよね。実に悔しいわ。カプリコーンの金髪は短く切り揃えられて、やっぱりサラサラしている。くっ……



 そう考えるとマロンはあまり髪質良くなさそうよね。ゴワゴワしていそうだし、テキトーに自分で切りました、みたいな茶髪だもの。


 それなら後でマロンにはあたくしが使っているシャンプーを少し貸してあげても良いわね。ええ、そうしましょ。


 あたくしはそう決めて船に乗る。

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