八 カプリコーン
マロンの両親のあの発言を聞いて、思わず抱きしめてしまった。もう大丈夫だよ、マロンがポラリスでなくとも俺達が助けてあげる、だから辛そうに笑わないで。そんな気持ちを込めて。
「え、と……? リコ?」
「もしマロンが……じゃなくても、俺が力になるから。助けるから。だからそんな風に辛そうに笑わないで。」
「辛そう? 私が?」
呑気な声が俺の耳に入る。マロンは自分が辛そうに笑っていたことに気がついていないというのか?
「っ……」
そう思うと、なんだか胸が張り裂けそうに痛んだ。辛そうに笑っていることに気がつかないような環境で今まで生きてきたのだろうか、と。
だが出会って数分数十分しか経っていない人間に自分の過去や傷を話せるわけがないので、俺がそれを聞くことは憚られる。
それでもこれからの未来なら。未来はまだ来ていないのだから、俺がこれからマロンを守ってやらなければ。そんな使命感のようなものを感じた。
「ご、ごめんねリコ! 何か怒らせるようなこと言っちゃったんでしょ!? ごめんって! ね!?」
何を勘違いしたのか、俺が怒ったと思ったらしいマロン。違うよ、と言うためにマロンを俺の腕から解放する。
マロンの体温が離れていくのを少し惜しいと思ってしまった。
「……あー、お二人さん、そろそろいいかしら?」
恐る恐るアクエリアスが話に入ってきた。ああ、話の途中だったよね。
「もちろん。取り乱して悪かったね。」
「いえ。……で、話は戻るけれども。マロンの意志は分かったから、それなら明日朝一の船でこの島を出ましょう。」
「賛成。」
なんやかんやあったが話が纏まりそうだ。まあ、半分くらいは俺が話を脱線させたのかもしれないけど。はーい、もう俺は黙りまーす。
アクエリアスの提案に誰も否を唱えなかった。
「なら自分の私服を今のうちに渡しておく。ん。」
「ありがとう。」
そうお礼を言ってマロンは何も気にせずサジタリアスから服を受け取った。
サジタリアスの私服は機能性重視だからね、全然可愛くない。でもこの四人の中でマロンと同じくらいの背丈はサジタリアスだけ。だから仕方ないのだ。
いつかマロンと一緒にショッピングにでも行きたい所だね。その時はトーラスも誘おう。よし、決めた。
ああ、ちなみにここにいる人で背丈順に並ぶなら、
パイシーズ>俺>サジタリアス≒マロン>アクエリアス
になるね。だから多分マロンは百六十センチ以上は余裕であるかな? ああ、要らないだろうけど俺は百七十以上、パイシーズは百八十以上だよ。詳しくは知らないけど、多分それくらいだろう。
「さ、そろそろ明日に備えて眠りましょう。」
パイシーズがそう締めくくり、今日は取り敢えず解散の雰囲気になった。




