七
「だから誰の了承も要らない。私のことは私が決める。」
誰の意見でもなく、私自身がこの人達と一緒に行くと決めたんだ! そんな決意を固めた発言をすると、この空間が静まり返った。誰もうんともすんとも言わない。
……あれ? なんだろう、この沈黙。あれ、私なんか変なこと言ったっけ? あれ? あれれ?
何せ目を瞑っているから四人の表情は全く読めない。音を立ててくれないと何も分からないのだ。まあ、風の魔法で人がいる位置は分かるけど。でもそれだけだ。
え、なら目を開けろって? 無理無理。人前で目は開けられないよ。だからオロオロするしか無いのだ。
どうしようどうしよう。私、何かやらかした!? やらかしたんだな! そうか!
「ぶへっ!」
そう結論付けた私が『変な発言したか』と聞こうとしたその瞬間、誰かの気配がものすごい勢いで私に突進してきてぶつかる。思わず声が出てしまったよ。殺気が無かったから気を許してしまっ……
「言い辛いことを聞いちゃったね。ごめん。」
ふむ、どうやら突進してきたのはリコだったらしい。リコの方が辛そうに私の耳元でそう囁く。それにリコの腕……だろうか、私の背中を何かが締め上げる。
「え、と……? リコ?」
人がこんなに近くにいたことなんて無かったので、先程よりも困惑してしまう。リコは何を思ってこんな行動に移したのだろうか。分からない。私の体を締め上げてどうしたいのだろう。私を絞め殺したいとか? わあ、ありそう。
「もしマロンが……じゃなくても、俺が力になるから。助けるから。だからそんな風に辛そうに笑わないで。」
「辛そう? 私が?」
はてさて、私、いつ辛そうにしていたかな? あの場所から逃れられた今の私に辛いことなんて無いのに。
むしろハッピーだよ。見つかったのが優しそうなこの人達だったし。だから逆にこちらがありがたやーと拝まなければならないよね。
「っ……」
いででででっ……
リコ、力強すぎない!? 先程よりも強く体を締め上げられて、こちらは痛みを感じてしまう。それも多分これ、リコの腕で締め上げてるよね!? どんな力の持ち主だよ!
何、もしかして私リコを怒らせちゃった!? え、え、どうしよう!? と、ととと取り敢えず謝っとく!?
「ご、ごめんねリコ! 何か怒らせるようなこと言っちゃったんでしょ!? ごめんって! ね!?」
私の一所懸命な謝罪が通ったのか、リコは私を解放してくれた。




