三
「話せるところまで……分かった。」
何も話されないまま連れて行かれるよりかは良いだろう。二人(がいるだろう方向)に向き合う。
「ではまず。小生らは探しものを見つけるためにこの島国に来ました。」
「ほんほん。」
「その探しものが、もしかしたらあなた、マロンさんである可能性が出てきました。」
「へ?」
私とこの二人とは面識も何も無いのに? 探しものが私? どういうことだ?
「ですがまだ確証は無いので、マロンさんを調べさせていただきたいのです。」
「ひっ!?」
私の何を調べるというんだ!? 内臓を取り出してとか言わないよね!? 恐怖で私はシーズからスススと離れる。
「ああほらシーズの言葉が足りないからマロンが勘違いしてるわよ!」
「え?」
「え、じゃないわよ! もーいいわ。あたくしが説明するわ! マロン、あなたは魔法が使えるのではなくて?」
「へ? 魔法?」
それって一握りの人間しか使えないっていう魔法? そんなの一般人の私に扱えるわけ無いでしょ? 人違いじゃない?
「人違いでは?」
「いいえ。あなたは先程……というか今もね。風の属性魔法を使っているでしょう?」
「……ん?」
リアスは何を言っているのだろうか。難しくて私には分からない。私の頭の上にハテナが飛び交う。
「あら、自覚なし? それはまずいわね。」
「そうですね。探しもの云々に限らず連れて行った方が良さそうですね。」
あれ? 私の決定権はどこ行った?
「マロンさん、良いですか? 魔法というのは無意識に使っていると、いつか暴走してしまうのです。だからこそ魔法を使える人間は魔法学園に通う義務があるのです。そこで知識を得て、初めて一人前と言われるのです。自覚なしで魔法を使う者はある意味爆弾ですから。」
「ち、ちょちょちょっと待って! 私、魔法なんて使えないよ!?」
そこははっきりさせなければ! 私は魔法なんて崇高なもの使えない!
「良いですか? あなたは魔法を使えます。小生も少々魔法は使えるので、見ればその人が魔法を使ったかが分かります。あなたは無意識のうちに風の魔法を使っています。」
シーズにそう諭される。ちょっと情報量が多くて、私の頭は処理しきれない。
ええと、ええと、ええと……?
「もしかして風の魔法を使っているのは視界を補う為に使っているのでは?」
「え、それは私が気配を探るのがただ得意だからじゃないの? あれって魔法だったの?」
「ええ。そうです。」
ほえー。これが魔法だったのかー……。実感ないなー。目は瞑っているけど、思わず遠い目をしてしまった。