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××の十二星座  作者: 君影 ルナ
二章
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八・二

 私の学校生活、序盤からハードモードでは? だなんて頭で考えながら、ナガミーレの返答も同時に考える。


「ええ、十二星座様方は学校にも行けなかった私に『属性魔法の適正があるなら学校に通わなければならない』という常識を教えてくだすったんですから! あの時拾ってもらったからこそ自分に三属性もあるだなんて知ることが出来たのです! 感謝してもしきれませんよ!」


 明らかにアリーズの胡散臭さを意識した演技が入った物言いに、自分で言ってておかしくなってきてしまった。だ、駄目だ、笑いそう。このままだと腹筋が攣る。


「この時代に学校へ行けない環境なんてあるわけないだろう!?」


 いやいや、それがあるんだなー。だなんて言ったら私の境遇を一から話さなければなくなるからね、口は閉ざすのが吉。


「あはは〜、バレた?」


 ということで、笑って誤魔化してゴリ押すことに決めた。穏便に済めばどうでもいいや、と投げやりになった、とも言う。


「こんのっ! 平民風情がこの僕に対してその態度を取っても良いと思っているのか! 次世代のポラリスになるこの僕なんだぞ!!」


 おおっとぉ……? 聞き捨てならない言葉が聞こえてきたなあ? 君がポラリスになるって? そんな横柄なのに?


 自分が罵られていることなんて頭からすっぽ抜け、ただひたすらにポラリス云々の部分に対して注目してしまう。


「僕は現代の全属性持ちの中でも最年少。伸び代は一番と言っていいだろう! 他の二人に負ける想像すらできないね!」


 ナガミーレは随分自信満々に宣言した。その自信を見るに、さぞ苦しい鍛錬を積んできたのだろう。……昨日の剣術の授業で私にあっさり負けていたけど。


 ポラリスは剣術よりも魔法の扱いの方に重きを置いているのかもしれないね。うん、そうだ。きっとそうに違いない。


 そう言って自分を無理やり納得させる。自分の心の中に湧いてきたモヤモヤには気がつかないフリをして。









 さて時間はゆっくり進み、昼休みというものの時間になった。


 どうやらこの学園にも、お昼ご飯という概念が存在するらしい。城独自の決まり事だと思っていた私はそれに衝撃を受けたんだよなあ。入学式の次の日の出来事だったからまだその衝撃は記憶に新しい。


 と、そこで話が本筋に戻るのだが、自分のクラスには友達がいない。クラスの中心がナガミーレだからだ。ということでお昼ぼっちを回避するためにも魔法学の授業で出会って仲良くなったルッツの所に逃げようと思う。


「ルッツー、いるー?」


「ここだよー」


 1−3に向かうとルッツはヒラヒラと手を振って場所を教えてくれる。今日もほんわか癒しのオーラがルッツから醸し出されている。


「遠かったでしょう? 四クラス分離れてるし……。僕の方からそっちに行こうか?」


 そして癒しオーラだけではなく、気遣いも完璧ときた。私も見習わなければ、と思わせてくれる御仁だね。


「いや、全然! クラスにいても居心地悪いし、むしろこっちに来ることで避難してきているって感じだから! 気にしないで!」


 そう、このクラスでだけは私も息が出来る気がするのだ。それ以外の時に向けられる侮蔑の目が向けられない、というか……。すごく不思議なのだ。

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