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××の十二星座  作者: 君影 ルナ
二章
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七・二

「ちょっとアリーズ出てこいやぁ!!!」


 その日城に戻るやいなや、私はそう叫ぶ。間違った常識を植え付けやがって、だなんて内心口悪く罵っていると件の人物が嫌々そうに顔を歪めながらひょっこり現れた。


「五月蝿っ」


「五月蝿い、じゃないわ! これ! これどういうことなのさ!!!」


 そう言って双剣をどこからともなく取り出すと、何の話か理解したらしいアリーズがフッと笑った。


「あ、もうバレた?」


「バレた? じゃないわい! どうしてくれるのさ! ただでさえぼっちなのに、これ以上周りに人がいなくなったら! 同年代の普通の子とお喋りするっていう憧れが叶わないじゃん!」


「その状況をどうにかしてこそ、じゃない?」


「意味が分からん!」


 アリーズの言い分が意味分からないのはいつもだが、それ以上に何が目的なのかがサッパリ分からなかった。しかしアリーズはそれを教えてはくれないらしい。ニィッと意味ありげな笑顔を浮かべるだけだった。








 次の日。憂鬱な気分を押し殺しながら学校へ行くと、昨日までとはまた違った侮蔑の目線が私を突き刺した。


「あんな平民が十二星座様方と懇意にしているなんておかしいわ!」


「もしかしてあの平民が十二星座様方の弱味を握ったのでは!?」


「てかあの眼帯とか無いわー」


 ヒソヒソと内緒話をするように声を顰めているけど、全部聞こえてるからな? 随分な言われように内心カチンと額に青筋が浮いたが、衝動に任せて言い返してもヒートアップするだけだと既に学んでいる私は口を噤んだ。今の所実害が無いとは言え、何が火種になるかは分からないのだからね。怪我はしないに限る。


 というか眼帯が無いって何さ! これが無いと赤い片目が見えるし、あの人達に私の居場所はバレるし、今以上に気味悪がられるし、マイナスなことしかないんだからな!? と、心の中で詰るだけに留めておいて。


 と愚痴を内心で留めておきながらも歩みを進めるとクラスにはすぐ着いてしまうわけで。ガラリと戸を開けると鋭い視線がグサグサと刺さってきた。うわ、こっちもか。


「ようやっと来たか! お前どうやって十二星座様に取り入ったんだ!?」


 わー、前置きも何もなく聞きたいことを聞いてくるスタイルのナガミーレ。昨日までも絡まれているとは言え、今日は昨日までとは少し詰る内容が違うらしい。


 さて、話は戻ってナガミーレは憤慨したように全身を怒らせながらそう聞いて来たわけなのだが。


「ええと、あまりにも目が当てられないくらいの境遇なのを憂いてくれて、かな?」


 あながち間違いでもない答えを返すと、ナガミーレはハンっと鼻で笑った。


「つまりお情けってことか? それでよく取り入れたこと。さすが平民、品性がない。」


 品性ウンヌンはあなたもでは……? だなんてド正論、この人に言えるはずもなく。黙りを決める。火に油を注ぐのは目に見えるからね。


 それにしても話が通じないタイプだよな、この人。さて、どう切り抜けるかなぁ……。少し頭が痛くなってきた気がしたのだった。

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