二・二
「じゃあ、行ってきます!」
ようやくやって来ました入学式の日! 私は意気揚々と学校に向かう為に城を出る。お見送りにはアリーズとサジタリアスが出て来てくれた。
他の皆は二週間程前にポラリス探しへと出て行ってしまっている。だからその二人だけなのだが、寂しいだなんて思っちゃいけないと思いながらも少し気持ちがシュンと落ちてしまう。
「何だ、自分らだけでは不満か?」
「あ、いや、そんなんじゃなくてね、ほらこの間まで皆がいたから少し静かだなあって。」
「それが不満でなくて他に何と言う?」
「ええと……」
「まあまあサジタリアス。落ち着きなよ。」
アリーズが仲裁だと!? と少しズレた感想を抱きながら二人のやり取りを見守る。
「というか、それをいちいち気にしていたら、これから起こること全てに対してサジタリアスはどう対処するつもり?」
「なんかあっただろうか?」
「はあ……これだからサジタリアスは。学園内は部外者の侵入禁止が大原則だろう? 毎日城に戻ってくるとは言え、今までのようにはいられない。即ち、マロン離れをしなければならないということ。」
「……成程。だがそれはマロンに対しても同じことが言えるんじゃあないか? 今の今まで自分らの誰かと常に一緒にいたんだ。」
「まあ、確かに今だって見送りが二人だけであることに寂しさは感じているようだものね。」
「ちょっと二人とも何言ってんの!? 私がさみしんぼだってぇ!? 黙って聞いていれば好き勝手言ってくれて!!」
二人の言葉に黙っていられず、私はプンスカと声を荒げる。
「私は一人でも大丈夫ですー。」
「はいはい、分かったからそろそろ行きなさいな。初日から遅刻したら示しがつかないでしょう?」
まだまだ言い足りない気もしたが、アリーズに諭され渋々歩みを進めることにした。
これから人生初の学校生活が始まる。順風満帆な学校生活を夢見て校門を潜るが、これから来る未来においてまあそんなに易々と行くはずも無かった。
なんたって、入学後すぐに十二星座の面々から贔屓されていると勘違いされてしまうのだから。