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××の十二星座  作者: 君影 ルナ
一章
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八十七

「さあて、ちょっと動いたらお腹空いたんじゃない? どこかに食べに行こうよ。」


 気を取り直して、と手を叩き場の空気を変えたのはカプリコーンだった。


「そうしましょ。で、何かリクエストはあるかしら?」


「あたくし、ここの近くに新しく出来たカフェに行ってみたいわ!」


「それいいね!」


 ポンポンと会話は弾む。私は街に出たのも初めてだからね、お任せしようと思って口を噤んでおくことにした。


 アクエリアスが提案したその……かふぇ? とか言うところに行くことが決まったらしい。三人はゾロゾロと店を出ようとした。


「ま、待ってください!」


 それを引き止めたのはこの薬草店のおじいさん──先ほど脅されそうになっていた、あの──だった。


「先ほどは助けていただいてありがとうございました。わずかばかりですが、何かお礼を……」


 腰を90度になるほど曲げ、何度もありがとうありがとうと告げる。それを見た三人はフッと笑って言葉を紡ぐ。


「ああ、それは気にしないでくださいな。国民を助けるのも俺達の仕事ですから。」


「え……?」


「そうよ。あたくし達は当たり前のことをしたのだから、あなたは気にしないでくださいまし。」


「そうよー。……でもそうね。じゃあ、一つだけ。また来た時、ワタシの話し相手にでもなってくれないかしら?」


「そ、そんなことはいくらでも……!」


「ありがとう。じゃあ、今後ともよろしくお願いしますわ」


 スコーピオがそう提案し、双方納得してから──おじいさん方はそんなものでいいのか?と少し不満そうだったが──私達はお店を後にする。


「スコーピオが出したお礼、あれって何か意味が含まれていたりするの?」


 お店が見えなくなった頃、私はそう聞いてみた。


「そうねぇ、国民の生の声を聞きだす場所、っていうのはいくらあってもいいのではないかって思うのよ。だから、かしらん?」


「へえ……なるほどね……」


 ステラというこの国の問題、それをじかに聞くことでよりよい国を作っていく。そんな堅い志を垣間見た気がする。


 やはりこの人たちはこの世界のトップ、十二星座なのだな。そう改めて実感したのだった。

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