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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

驚愕!古きものとなった人類!!!

作者: テト式

 西暦21XX年、人類は人類統合政府という国家の元、科学の発達により銀河へ飛び出しバイオ技術で生み出した食料用人工生命体(バイオロイド)により空前の繁栄を謳歌していた。



<総司令。お食事中に失礼します>

「なにかね参謀長官。君が食事中に連絡を寄越すなんて、今までになかったことじゃないか」


 総司令と呼ばれた男性は、食料生命体(バイオロイド)でできたステーキを食べつつ、ホログラム通信に答える。


<はい。12時間前から第6区間全域で通信障害。最後の第13区間方面軍司令部からの通信で『未知の軍隊から攻撃を受けている』と通信が入ったきり通信障害が発生し、不通となっています>

「非常時対応通信は? 大統領府には伝えたのか。マスコミには? 即応艦隊は?」

 参謀長官からの言葉に、総司令は手を止めてホログラム通信に集中する。


<現在あらゆる通信手段で通信を試みていますが、全て不通です。大統領府とマスコミには現在調査中であると伝えています。即応艦隊は現在急行中です>

「防衛大臣に緊急アポイントを、私が伝える。全区間方面軍にデフコン3体制。引き続き情報収集を頼む。即応艦隊も情報収集が任務であると命令を厳守させよ」

<しかし司令、大臣にはなんと?>

「ありのままだ。第13区間方面軍司令は冗談を好まないと付け加えるが」

<了解しました>


 参謀長官とのホログラム通信が終了すると同時に総司令官は立ち上がる。


「シェフすまない。食事は終了だ。すぐに大統領府に向かう」


 その時の総司令官の眼は、既に戦士の眼であったという。


――――専属シェフの記録より



 確かに人類は繁栄していた。だがその繁栄は、突如として終わりを告げたのである。



「戦艦ボローニャ撃沈!」「サラサゴ大破!!!」「空母ヘルムート・コール小破!」「空母スガ・ヨシヒデより艦載機全滅の報!!」

「嘘だろ。最新のシールドを積んだボローニャが?」

「スガ・ヨシヒデには艦隊最強の攻撃隊が居たのに……死んじまったのか!?」

 続々と送られてくる報告に絶望するクルー達。

「狼狽えるな!こちらも敵に半数以上撃破していて打撃を与えているのだぞ!!」

 それを叱咤する艦隊司令。

「しかし、こうもあっさり最新鋭艦を撃破されては……」

「こちらも敵の半数を撃破している。……抵抗はできている、できてはいるんだ」

 自分に言い聞かせるように艦隊司令はつぶやく。


「そうだ。俺達人類は、蛸野郎に負ける訳にはいかねぇんだ……」

 それを聞いたクルーがそう頷きながら呟いた。


――――第11区間方面艦隊 旗艦トウキョウのクルーの記録より



 突如として現れた敵は、同等以上の技術を持つ水棲異星人であった。彼らは別銀河より襲来し、無秩序に破壊をもたらしていた。

 人類統合政府軍は苦戦を強いられ、かつての故郷である地球も例外ではなかった……。



<我々人類統合政府軍は、人類の故郷である地球を喪う訳にはいかない。なんとしてでも死守しなければならない。それが人類史の最先端を征く我々に課せられた責務である。私、人類統合艦隊総司令官は、各員の責務の全うに期待するものとする>


――――人類統合軍総司令官の地球防衛作戦発動時の演説より



 既に人類統合政府の首星は別星系に移っていたが、それでも地球は失ってはいけない拠点として激戦を繰り返していた。

 しかし……。


「アフリカの状況は?」

「サハラエネルギー施設群は8割。ナイル食料生産施設も9割を失っています」

「先日のエクアドルマイクロタワーをやられたのに合わせて、こちらのエネルギー状況は深刻だな……」

「既に北米・南米、ヨーロッパは陥落……やはり初手で北米総司令部をやられたのが深刻です……」

「それでも、我々は戦わねばならない」


――――地球駐留部隊西アジアの仮設総司令部の音声データより



 しかし、人類統合政府軍は地上戦でも苦戦を強いられ、初手で防衛の要であった北米総司令部を喪うなど、追い詰められてしまう。

 


「俺達はこれから旧時代のイーロンマスク式ロケットに乗って、軌道上に浮いている敵旗艦でもある揚陸戦艦に殴り込みに行く。このイーロンマスク式ロケットは、当時は地上と宇宙を行き来できる画期的なロケットだったらしいが、今回ばかりは片道だけだ。先端にはシールド破壊装置でもあるドリルを取り付けてある。

 馬鹿みたいな作戦だろう? これがこの銀河を支配している星間国家様ができる、唯一の軌道上艦隊への攻撃手段なんだから笑えるだろ。

 ……この馬鹿な作戦をする為に俺達は北米を取り返したんだ。なんとしてでも成功させてやる……」


――――地球駐留部隊、北米中部基地より



 地球駐留部隊は決死の応戦により、敵旗艦の揚陸戦艦を撃沈し、敵の侵攻計画を頓挫させる事に成功する。




「我々は勝利した。だが地球は焦土になった」


――――地球駐留部隊総司令 ヘンリー・ナカムラ少佐の演説


 だが人類統合軍側も惑星内インフラ施設の9割を損失し、かつ軍の指揮系統もほぼ壊滅状態であり、組織抵抗は不可能と言える状態だった。

 特にエネルギー・食料生産施設や環境コントロール施設の喪失は致命的であった。



「ここアジアでは6月は雨期の筈だろう? なんで雪が降っているんだ?」

「氷河期ってやつらしい」


――――地球駐留部隊 アジア残存部隊の歩哨の会話より



 既に地球は氷河期を迎えており環境コントロール施設により温暖化を行い居住していた状態であり

エネルギーや食糧生産施設の損失により惑星上の居住すらままならない状況であった



「敵はいない。電力はない。食料もない。通信はできない。惑星内通信は辛うじてできなくはない……か」

「あの計画を発動させ、残存戦力をこの南極基地へ集結するしか我々がこの星を生き残れる手段はありません」

「赤道直下の部隊は、応じないだろうな……」

「それでもやらねばなりません。人類存続の為に」


――――地球駐留部隊総司令部内での会話より



 既に星間通信は出来ず、惑星内の通信すら支障を来すにまで消耗していた地球駐留軍であったが、どうにか各残存戦力に伝達を行い、唯一の軍事拠点である南極基地へ集結させた。



「地球は我々人類にとって最早住める場所ではない。その為、南極基地の全電力を用いてコールドスリープを行う。いつか来るであろう、統合軍の援軍を信じて、だ」


――――地球駐留部隊総司令の演説より



 そこで南極基地の全てのエネルギーを使いコールドスリープを行った。いつか来るであろう人類統合軍の援軍を信じて、地球の人類は眠りについた……。








………


……



「なんだここは!!!?」


 ある軍人は目を覚ますと、そこは地獄のような光景であった。

 得体の知れない生命体に、仲間が切り刻まれる屠殺所にいたからだ。


 自分たちはコールドスリープのカプセル室のカプセルで眠っていた筈である。

 だが目の前の生命体によりこじ開けられ、不完全ながら目覚めてしまった様である。


「くたばれ化け物ぉぉ!!!」


 お互いの悲鳴と雄たけびが木霊し、悲鳴が終わる頃には生存者は一人、軍人であった。


「はぁはぁ……なんなんだここは……今は一体いつなんだ……!? こいつら……ペット用の人工生命体(バイオロイド)に似ているようだが……くそったれ!!!」


 その生命体は全くの未知であった。侵略者の水棲異星人でもない。だがペット用の人工生命体(バイオロイド)が二足歩行化し、獣人のように進化したように見える。


 息を整え、部屋を見渡せば、どうやら簡易的な研究所のような造りであり機械や計器が原始的ではあるが存在している。


「随分と原始的な電子機器だ……まだ内燃機関の時代の文明レベルなのか……? そうだとしたらコールドスリープの概念そのものがない……のか?」


 軍人は独り言を言う。そうでもしなければ生きてられない状況だからだ。


「そうだったら、恐らく俺達は死体に見えたんだろうな……だからって解体すんなよ……」


 そう軍人は愚痴をこぼす。

 彼らを全滅させてしまった事に心を痛める気は微塵もないようである。


「……基地はどうなっているんだ?」


 軍人はそう言って簡易的な研究施設内を見て回る。

幸いにして、施設内には『出土』した装備があり、バッテリーも生きていた。


「これでどうにかなるか」


 これにより殺人的な外気を気にせずに基地へと帰還できるだろう。



「わかってはいたが……こうもボロボロじゃ悲しくなるな……」


 だが基地へ戻ってみればそこは廃墟であった。

 基地電力はない為、世界がどうなっているかは不明だが、結論を言えば、人類軍の援軍は来なかったようである。


「ん、こいつは……」


 ふと、指令室の片隅にメモリーデバイスがあり、再生する。日付はなんと数年前のようであった。

奇跡的に自然的にコールドスリープから目覚めた仲間がいたのだ!


 だが喜びは絶望に変わった。


 <私はカマール。階級は少尉だ。基地内にいるペンギンのような生命体には気をつけろ……見つけ次第殺せ。さもなければ殺される。……いや、喰われる。奴らは……>


 そう撮影者のカマール少尉が言おうとした瞬間に、おぞましい鳴き声が響き、何ものかに襲われてこのメモリデバイスが吹き飛ばされて映像は途切れていた。



 何かが。何かがいる。



「たす・けて。たす・けて」


 ふいに、声が聞こえる。


 振り向くと、そこには、巨大な目のない、ペンギンがいた。


「たす・けて。たす・けて」


 軍人の意識はそこでなくなった。


 だが意識がなくなる前に彼は思った。


 食用の生命体(バイオロイド)に似ている。と。














「うわあああああああああああああああああ!!!!地下鉄の電車だあああああああああああああ!!!!」

「走れ!!!走らないと死ぬぞ!!!!」



――――別行動をしていたB班の連絡が途絶え、救助に向かうも全滅しているのを目の当たりにし、なにやら見慣れぬ足跡を頼りに周辺を調査した所、謎の遺跡があり、奥へ進んだ所、地下鉄の電車と見間違う程の巨大な『何か』に追われ、決死の思いで走るミルトニック工科大学の地質学教授とその大学生の叫びより

漫画版狂気の山脈を参考に書きました。


コールドスリープしていたっぽい古のものさん、目が覚めたら得体のしれない生命体に解体されてるのを見て凄くびっくりして

落ち着いたから弔うために自分の家に戻ったら

なんかショゴスが言う事聞かなくなって喰われるとか可哀想ですよね…

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