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暗殺者

シャルドン君登場

ある日の夜。リスは夜中に目が覚めてしまった。寝ようとしても寝付けなかったリスは、なんとなくロゼッタの部屋に向かう。といっても、別にロゼッタを起こすつもりはなかった。ただ、可愛らしい今世の妹の寝顔を見れば穏やかに眠れるだろうと思っただけなのだ。


そして音を立てないよう静かにロゼッタの部屋に入った。すると、なぜか窓が開け放たれカーテンが風に揺らめいている。嫌な予感がしてロゼッタのベッドに駆け寄ると、知らない男がロゼッタの胸にナイフを突き立てるところだった。


「…っ、させるかぁ!」


リスは渾身の魔法を暗殺者にぶつける。風魔法は暗殺者を吹き飛ばし壁に叩きつける。暗殺者がナイフを手放した。


「んん…お姉様…?」


寝ぼけているロゼッタを庇うように暗殺者との間に立つリス。暗殺者はすぐさま立ち上がるも、ナイフはリスに回収されていた。


「…あんたがリスか」


「そうだよ。貴方は?」


「暗殺者が自ら名乗ると思うのか?」


「…」


「まあ、いい。俺のことはシャルドンとでも呼べ。長い付き合いになりそうだしな」


「え?」


「あんたも面倒な奴に付きまとわれてるな。同情するよ」


「…どういう意味?面倒な奴って誰?その人がロゼッタを狙っているの?」


「おっと。喋りすぎたかな?あとは自分で調べてみな。妖精さんが待ってるぜ」


「妖精さん…?…っ!」


妖精さん、と聞いて、頭が痛くなるリス。何か、大切な約束を忘れているような気がする。それがなんなのか、思い出そうとすると余計に頭痛が酷くなった。


「あんた一人の覚醒のために何度も殺されかけているこのお嬢様も可哀想になぁ。じゃあな!」


暗殺者は窓から飛び降りた。リスは、あまりの頭痛にそのまま倒れた。代わりに、やっと目覚めたロゼッタが寝ぼけながら聞いていた二人の会話を思い出しつつ、リスを自分のベッドに寝かせた。


「妖精さん…まさか、本当に妖精にお姉様が狙われている…?だとしたら、お姉様が人間から嫌われやすいのって…もしかして…」


ロゼッタはリスの手を握る。


「お姉様。絶対、絶対、妖精國なんかに行かせませんから。お姉様は私達がお守りしますから。私達がお姉様の未練になりますから。だから…どうか、人間社会に絶望なんてしないでくださいね…」


ロゼッタはリスを案じて涙を流した。


次の朝、リスはロゼッタのベッドで目を覚ます。横ではロゼッタがぐっすりと寝ていた。幸い、まだ使用人達が起こしにくる時間ではないようだ。ぐちぐちと嫌味を言われる前に自室に戻ったリスは、昨日の暗殺者の言葉を思い出す。


「妖精さん、かぁ」


妖精について、調べてみるのもいいかもしれない。自分が忘れてしまった大切なことを思い出せる気がする。けれど記憶が確かなら、妖精について詳細を知りたいのなら王都の中央図書館に行かなければならない。妖精についてはほとんど、口伝でしか伝わっていないのだ。


「どうしようかな…とりあえず、ロゼッタとソールとラヴァンドに相談してみようかな」


こうしてリスの朝が始まった。

彼ね…うん…

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