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専属料理人

バジル君は素直な子です

今日もリスとロゼッタ、ラヴァンドとソールは中庭のガゼボでティータイムを楽しんでいた。そこにバジルが焼きたてのアップルパイを作って持ってきた。


「ロゼッタお嬢様!アップルパイをお持ちしました!」


「あら。貴方がバジル…?」


「はい!はやく感想が聞きたくて、持ってきちゃいました!ご迷惑でしたか…?」


バジルは憧れのロゼッタお嬢様を前に緊張しきりだ。


「いいえ、迷惑なんかじゃないわ。貴方のアップルパイ、お姉様が楽しみにしていたもの。持ってきてくれてありがとう」


「え?リスお嬢様が、ですか?」


バジルは目をぱちくりとさせる。


「あー…アップルパイが好きなのも、お前をアップルパイ担当にしようも言ったのもリスだぞ?」


「え、ロゼッタお嬢様ではなくリスお嬢様が指名してくださったんですか!?」


「いやあ、両親に話を通してくれたのはロゼッタだよ?私はただ、毎日バジルさんの作ってくれたアップルパイが食べたいからロゼッタにお願いしただけ」


そう言ってにこにこと笑うリスをみて、バジルは目を丸くする。イメージと全然違うリスに、バジルはやや考えたあと頭を下げた。


「リスお嬢様。すみません、俺リスお嬢様のこと誤解してたかもしれないです。お屋敷内の噂でしかリスお嬢様を知らなかったのに、嫌ってました。本当にすみません」


「ん?いやぁ、気にしなくていいよ。むしろそんな風に言ってくれてありがとう!」


「リスお嬢様…。俺に罰を与えてくれませんか?」


「え?なんで?」


「けじめをつけたいんです。これからリスお嬢様の認めてくださったアップルパイを毎日作るためにも、お願いします」


「ええ…」


バジルからのお願いにリスは困惑する。が、少し考えていいことを思いついたと手を打った。


「じゃあさ、私の専属料理人になってよ!ティータイムのアップルパイの他にも、朝昼晩の食事も作って!」


「え?」


バジルはまたも目を丸くする。思ってもない申し出だったからだ。


「両親やロゼッタは料理長直々に作った料理が出されてるんだろうけど、私は違うでしょ?」


「…気付いてたんですね」


「うん。見習いの料理人が当番を決めて作ってるんだよね。毎日味付けとかが変わるからさすがに気付いたよ。で、何人かは真面目にやってくれてるみたいだけど、ほとんどみんなやる気無く作ってるんだよね?」


「…はい」


「だったらバジルさんに専属料理人になって気合を入れて作ってもらう方がいいな。それに、専属料理人になったらバジルさんのお給料も上がるし、それなりに勉強にもなるんじゃないかな?ウィンウィンだし、それが罰ってことで!」


「リスお嬢様…本当にすみませんでした!ありがとうございます!このご恩に報いるため、精一杯頑張っていきます!改めてよろしくお願い申し上げます!」


「うん、よろしくね。ロゼッタ、悪いんだけどバジルさんを私の専属料理人にって推薦してくれる?ロゼッタがおねだりしてくれたらきっとOKもらえるから」


「はい、お姉様」


こうしてバジルはリスの専属料理人となった。バジルの同僚達は、バジルを最初同情していた。あんなわがまま娘の専属にされるなんてと。しかし、バジルがいつまでもやる気を失わず、それどころか笑顔で仕事をこなすので何故だと首をかしげる。そんな同僚達にバジルは笑った。リスお嬢様はどんな料理も美味しく召し上がってくださる上に毎回感謝の言葉と優しい感想をくださる尽くし甲斐のある方なんだ、羨ましいだろうと。

また味方が増えました

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