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料理人の卵

なお今回も最初からラブラブカップルがイチャイチャしてます

オレガノがリスの専属メイドになって一週間。すっかりリス達に馴染んだオレガノである。


「ロゼッタ、こっちも美味しいよー」


「リス、口元にホイップがついてる。貸してみなさい」


リスの口元を柔らかなハンカチで拭いてやるラヴァンド。そんな二人を見てご機嫌なロゼッタと、甘すぎる…とうんざりするソール。オレガノは黙ってリスのカップに紅茶を注ぐ。


「オレガノさんありがとう!」


「あ、お姉様!アップルパイがそろそろ焼きあがる頃ではありませんか?」


「本当?食べよう食べよう!」


「貴女達、持ってきてくれる?」


「はい!ロゼッタ様!」


ロゼッタのためにリスにアップルパイを持ってくる使用人達。彼女達はリスの専属メイドになったオレガノに心底同情していた。あんなわがまま娘の専属になるなんて可哀想だと。だが、最近なんだか様子がおかしいぞと首を傾げている。オレガノはリスと一緒にいても笑顔なのだ。オレガノはリスに忠誠を誓っているし、そもそも専属メイドに自ら志願したので当然なのだがそんなことは彼女達は知らない。


「オレガノさん、切り分けてくれる?あ、使用人さん、運んでくれてありがとう!」


「え?は、はあ…」


まさかリスにお礼を言われるとは思っていなかった使用人達は気の抜けた返事を返す。使用人達はハッとして、しまった、怒られると身構えたがリスは既にアップルパイに夢中である。代わりにオレガノに冷たい一瞥をもらったが、それだけだった。思わぬ展開にぽかんと惚ける。


「リス様。どうぞ」


「オレガノさん、ありがとう!じゃあ食べよう!」


「ああ。…うん、美味いな。ロゼッタも食べてみろ」


「はい、ソール様。…美味しい!」


「リス、美味いな。僕の分も要るかい?」


「美味しいねー!ラヴァンドの分までもらっちゃいたいけど、ラヴァンドが食べる分が無くなるからやめとくね」


「そうかい。お前は本当に優しいな」


なでなでとリスの頭をなでるラヴァンド。リスは気持ちよさそうに目を細める。オレガノはそんな主人を優しく見守っている。他の使用人達はそんな光景が信じられなかった。


「これは料理人さんにご褒美が必要だね!」


「あら、お姉様、いいお考えです!」


「ご褒美か…なにがいいだろうな?」


「お前達、今日アップルパイを作った料理人は誰かわかるか?」


「は、はい。バジルです」


呆気にとられていた使用人達も、ラヴァンドに声を掛けられてハッと我に帰る。


「バジルはどんな性格だ?好きなものはあるか?」


「バジルは…料理やお菓子作りが大好きですね。まだ見習いですので、こうしてお嬢様方に振る舞う機会はなかなか無いようですが、今日は料理人の一人が風邪で休んでいますのでそれで代打に選ばれたのでしょう」


「へー。そうなんだ。…あ、じゃあ、アップルパイを作るのはバジル君の担当にしよう!そうしたらお給料も少しは上がるだろうし、何より大好きなお菓子作りがたくさん出来るよ!」


「お、そいつはいい考えだ。ロゼッタ、お前の方からご両親におねだりしてみなさい。きっとすぐにアップルパイの担当に選ばれるぞ」


「そうですね、お義兄様!さっそく今日お願いしてみます!」


「しかし、趣味を仕事にするとは大した奴だな。バジルとやらは」


「そうだね、すごいなぁ」


こうしてバジルは次の日からアップルパイ担当となった。


「信じられない…俺みたいな下っ端が、急にアップルパイだけの担当とは言え、毎日お菓子作りが出来るようになるなんて」


ロゼッタお嬢様が自分を推薦してくださったらしい。ロゼッタお嬢様は本当に天使のような方だ。そんなロゼッタお嬢様に気に入って頂けたのだから、もっと美味しいアップルパイを作れるように精進しなければ。


何も知らないバジルは、色々と誤解しつつも気合を入れてアップルパイを作る。そんな彼はすぐに真実を知ることになった。

バジル君頑張れ

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