キス
小鳥に懐かれるリス
ネモフィラの花畑に来ているリスとラヴァンド。花に囲まれたリスはラヴァンドにとっては破壊力抜群だ。何度も何度もキスをしたいという気持ちを無理矢理押さえ込んだラヴァンド。
「ラヴァンド!」
「どうした、リス」
「みて、小鳥達がお花畑に遊びにきてる!」
「ああ、可愛らしいな」
「おーい!」
小鳥達に手を振るリス。可愛すぎると独りごちるラヴァンド。しかも小鳥達もそれに応えるようにリスの足元までよちよち歩いてきた。
「可愛らしい小鳥達だな」
「うん、とっても」
「ちゅん、ちゅん」
「ふふ、ラヴァンド、小鳥達が手に乗ってくれたよ!」
「ますます可愛らしいな」
「うん、とっても可愛い!」
「…リスが、な」
「…!?も、もう、ラヴァンドったら」
顔を赤くするリス。そんなリスが可愛くて仕方がないラヴァンド。思わずリスの髪を一房とりキスを落とす。
「リス、キスしていいか?」
「もうしてるでしょ」
「髪じゃなくて、唇に」
「…え?」
「記憶を無くしてからは初めてだし、リスが嫌がるならしない。でも、したい」
「…」
リスを真っ直ぐにみつめるラヴァンド。しかし、反応しないリスをみて辞めた。
「すまない、いきなり悪かったな。さあ、散策に戻ろう」
「…」
「ちゅん、ちゅん」
「なんだ、お前達も来るのか?よっぽどリスを気に入ったんだな」
「…」
「ちゅん、ちゅん」
「はは。ほら、リス、行くぞ」
「ま、待って…」
リスがラヴァンドのシャツの袖を掴む。え、可愛すぎると戸惑うラヴァンド。
「どうした、リス」
「き、キス…して、いいよ?」
「…!?い、いいのか!?」
「う、うん…」
気恥ずかしそうに俯いて、顔を真っ赤にしながらも受け入れるというリス。ラヴァンドは胸に思いが込み上げる。
「じゃ、じゃあ…目を閉じてくれ」
「う、うん…」
そっと、触れるだけのキスをする二人。…お互いの唇が柔らかくて、なんだか胸がむずむずするようだった。しばらくそのまま時が止まったように感じたが、やがて離れる二人。
「…」
「…」
「ちゅん、ちゅん!」
「…あ、ありがとう」
「わ、私こそ…」
「…その、愛してる」
「う、うん、ありがとう…その、もっと早くしたかった?待たせてごめんね?」
「い、いや、リスにはリスのペースがあるんだからいいんだ。こうして触れさせてくれて本当に嬉しい。ありがとう」
「う、うん…いつも甘えてばっかりでごめんね…」
「リスを甘やかすのは僕の趣味だから気にするな」
「もう、ラヴァンドったら…」
「ちゅん、ちゅん!」
「ほら、リス。小鳥達も急かしているし、早く散策に戻ろう」
「うん、ラヴァンド」
その後もリスとラヴァンドは小鳥達と一緒に散策を楽しんだ。小鳥達とはネモフィラの丘で別れたが、リスとラヴァンドは終始笑顔だった。幸せな二人は、帰ってから寝耳に水な話を聞かされることになる。
さて寝耳に水な話とは