使用人達の変化
嬉しい変化
リスがラヴァンド、ロゼッタ、ソールと妖精の愛し子について王都の中央図書館で調べてから一週間。スリジエ家ではとある変化が見られるようになった。
「おはよ、使用人さん」
「おはようございます、リスお嬢様」
あれだけリスを毛嫌いしていたはずの使用人達の態度が柔らかくなっているのだ。リスはどうしたことかと首をかしげる。
「まあ、嫌われているよりは好かれる方がいいとは思うけどさぁ」
「どうかしましたか?リス様」
「オレガノさん、なんだか他の使用人さん達が最近妙に優しいよぅ…なんか不安になる…」
オレガノにすっかり信頼を寄せているリスは素直に相談を持ちかけた。
「ああ…申し訳ございません。おそらくは私達のせいだと思います」
「?なんで?ていうか私達って他に誰が?」
「バジルとオルタンシアです」
「んん?三人で何かしたの?」
またも首をかしげるリスに、オレガノは答えた。
「私はリス様の側は居心地がいいと他の使用人達に自慢して回っていますし、バジルは厨房仲間にリスお嬢様は尽くし甲斐のある方だ、いいだろうと自慢して回っているようです。オルタンシアは庭師のお師匠様に、リスお嬢様がお母さんを助けてくださったのだからはやく一人前になってリスお嬢様に恩返ししたいと口癖のように言っているそうですよ」
「ええ…美化し過ぎだよ…」
リスは他の使用人達に期待外れだと思われたらどうしようと考える。オレガノはすぐにそれを見抜いたらしい。
「リス様はご自分を過小評価し過ぎです。リス様ほど使用人冥利につきる方はいませんよ」
「オレガノさんは本当に私に甘いなぁ」
リスは自分がそこまでオレガノとバジル、オルタンシアに好かれているとは思っていない。せいぜいマイナスだった好感度がフラットになったくらいだと思っている。しかし、実際には好感度マックス状態である。ロゼッタの誘拐事件を解決したり、専属料理人に指名したり、投資といいつつ母親の治療費を出してあげたりと恩を売ったのだから当たり前といえば当たり前なのだが、本人には恩を売ったつもりはないのだからこの認識の相違はどうしようもない。
「でもそっか。私がロゼッタに嫉妬して色々裏でやってるっていう使用人さん達からの誤解は解けたってことでいいんだよね?」
「はい。私達がリス様の良いところを自慢しつつ、その辺りの誤解は解いて回りましたから」
「オレガノさんありがとう!今すぐにバジルさんとオルタンシアちゃんにもお礼を言いに行かないとだね」
そうしてリスはバジルとオルタンシアのところへ向かい直接お礼を言う。その様子を見ていた他の使用人達が驚いて目を丸くするのにも構わずバジルとオルタンシアを労ってから自室に戻るリス。そんなリスに、執事長が目を光らせていたことは誰も気付かなかった。
さて執事長は?




